第30話:トーナメント終了!!新たなる生徒会メンバー!!
「…お姉様…そんなに落ち込まないで下さいませ…」
「そ、そうです!またチャンスはあります!」
「元気を出して下さいお姉様…」
結論から言うと僅差で真夕の勝ち。だが本当にギリギリの勝利であった。真夕の大勝だろうと皆予想したが、琴サイドの女子が予想以上に居た結果だろう。
「み、皆ありがとう!!皆は私の宝よっ!!絶対に来年はユートピアを築きましょう!!」
「「「はい!全ては我らがお姉様の為にっ!!!!」」」
琴は自分を囲んでいる複数の女生徒と同時に腕を振り上げた。それを見て翔は悪寒を感じた。現在地はホールの外の廊下で先生達は表彰式謙任命式の準備中、優達は控え室だ。
「琴先輩…おい、澄。あれを止めてくれ…」
「えぇー!?わ、私が止めるの!?」
澄は嫌そうにそう言った。まぁ俺もあれを止める勇気ないしな…。誰か止めろよ、あれ…。
「ま、まぁ慕われているって意味では…」
「……いや、良くないだろ。というか、あの双子姉妹以外にも、ああいう慕い方をしてる人っていたんだな…。お姉様って…ここは何処の女子校だ?」
翔はスッカリ元気になって取り巻きと会話している琴を見て嘆息した。そんな翔を見て澄はクスッっと笑う。そうしていると不意に肩を叩かれた
「あ、天津さん、お疲れ様です」
肩を叩いて来たのは今回のゲスト天津だった。ちなみに良く見ると余所行きの服装だったりする
「いやいや、楽しかったよ♪シンちゃんが連れて来てくれたから来たけど、皆良く似合ってたしね。あの小さい先生とかはもう素人とは思えなかったよ」
「えっと…あの先生は常にコスプレしてますし…」
翔が苦笑を漏らすと、天津は良い学校だなぁと感慨深げに頷いた
「ところでカケちゃん、その子は誰?トーナメント中はずっと一緒にいたみたいだけど」
天津はニヤリと笑って澄を見た。翔は瞬時にまた何か誤解してるんだろうなぁと思ったが、取り敢えず紹介する
「この学園で俺のパートナーやってくれてる澄です」
「先程演説をしていた御島琴の妹の澄です、初めまして」
そう言って澄が頭を下げる。うん、さっきまで暴走してた琴先輩の妹とは思えないね
「うんうん、礼儀正しくて良いね♪私は天津だよ。しかし、お姉さんも残念だったねぇ…もうちょっとで夢の様な学園が出来たのに」
天津が本当に残念そうに言う。此所にも居たか…琴先輩側の人間が…
「俺は夢のままで終わる事を希望しますけどね…」
翔がそう言って苦笑すると、天津が少し首を傾げた
「あれ、カケちゃんは反対派なの?シンちゃんがカケちゃんは猫耳好きで、演説してた猫耳少女を家に連れ込んだ事もあるって聞いたけど?」
「そう言えばそんなこともあったねぇ…。ねぇ翔君?」
澄と天津がニヤニヤと見つめる。そんな眼で見られても困るって言うか、見ないでって言うか…。いやー、あのジジイは何を言ってくれてるんだろうね?夕飯はネコ缶でも食ってもらうかな
「そんなの嘘に決まってるじゃないですか!」
「どうだろうねぇ?なんたってあのシンちゃんの孫だし…」
「それに翔君、トーナメント中も結構反応してたし…」
ニヤニヤとした笑みを深める天津と澄。あのジジイの孫ってだけでそんな…くそっ…説得力がありすぎる…!!トーナメント中は…うん、しょうがないよねあれは…
「あ、澄ちゃん。そろそろ閉会式が始まる見たいだよ?」
「あ、本当ですね。それじゃあ天津さん、行きましょうか♪」
そう言って澄と天津が踵を返しホールに入って行く
「おい、澄!ちょっと待て!!誤解はちゃんと解くべきだ!!」
「皆さーん、お待たせしました♪只今より閉会式を始めまーす♪」
今度の衣装は最初に戻っている。ちなみに会場の変形は終わっており、これまた最初の形に戻っている
「それでは授賞と任命式を一気に行きましょう♪4名は前にどうぞ♪」
奏の声に優、魔夜、美里、命が立ち上がり奏の前に立つ
「えー。こほん、愛沢美里殿…ねぇ、司ちゃーん、これなんて読むのぉ…?」
「…はぁ……」
奏の情けない声に、溜息をつきながらも司が代わりに司会を引き受ける。まぁ見た目は不甲斐ない妹をフォローしてあげる姉の図なのだが実際は同い年らしく、二人とも教師だと言う事を考えると、この学園の未来が不安になる絵だ。しかし、流石は司先生スラスラと文章を読み上げる中に何か上品な物を感じる
「奏先生と司先生が同い年なんて信じられないよなぁ…」
「うーん、でも私はあの二人がパートナーだった時にも何度も会ってるからそうでもないかも」
澄がサラッと聞き流せない事を言う。パートナー?
「あの二人ってここの卒業生だったのか?
翔が聞くと澄が言ってなかった?と返して続ける
「二人は去年の生徒会長と副会長で、お姉ちゃんを生徒会長にしたのは去年生徒会長だった奏先生だったりするの。ちなみに、制服の種類を増やしたのも奏先生で、生徒からの人気も高かったんだよ?」
「そうだったのか…。道理で琴先輩と仲が良かったわけだ」
そう一人ごちて奏と司の方を見る
「……を認め、任命します。どうぞ」
「流石は司ちゃん、慣れたもんだね♪」
み、見えねぇ…。司先生はともかく奏先生が会長だなんて…。大体漢字が読めなくて助けを求める生徒会長なんて居ちゃダメだろ…
「琴先輩が会長ってのにも驚いたけど…」
「まぁ、見ての通りに司先生が腕利きだからね…。奏先生も何かと実績あるから…」
そんなことを話している間に4人の任命は終わり4人共席に戻る。
「しかし、暁は惜しかったよなぁ…。皆で生徒会にってのは無理だって分かってるんだけど…」
「うーん…。確かにねぇ…」
澄も翔と同意見の様で苦笑した。さり気なく白夜は忘れられているが気にしない方向で。
再び司会が奏に戻り司会を進行しようとしたのだが…
「え〜、続いては…。…って、どうしたんですか?」
何か実行委員らしき人が奏に耳打ちし、奏が、ええっ!?っと驚いた様な顔をする
「えーっと…。ここで少し理事長の話を…」
奏がそう言うと年齢不詳の理事長がスタスタと来てマイクを受け取る
「桜院白夜、才媛路暁、前へ」
理事長がそう言うと白夜と暁は戸惑いながらも前に出る。すると理事長は二人の前でとんでもない事を言いやがった
「桜院白夜、才媛路暁、両名の能力を認め、そして生徒会への参入を認め、任命します♪どうぞ♪」
理事長はにこっと笑い、任命書を差し出した。…一体どういう事だ?白夜達も意味が分からない様で理事長に質問をする
「理事長、確か今回の枠は4名では…?」
「予定を変更しました♪」
白夜が聞くと理事長は笑みを崩さずにあっさりと返した
「へ、変更しましたって…」
白夜が困惑するのも無視。
「で、でも、僕ら以外にも同一3位が居ますよね?」
続いて暁の質問
「ああ、あの二人にはもう話をつけてありますし。心配しなくても平気ですよ♪そう、貴方が覚悟を決めてさえくれれば…ね…?」
ゾクッ
妖しく笑う理事長に暁もタジタジだ。いや、と言うか人としてのモラルとかないのかあの人は…
結局暁は任命書を受け取り理事長が微笑む結果となった。