第26話:欲望のコスプレファッションショー…開幕
「はい、翔君。お薬持って来たよ♪」
「う…ありがとう澄…クソッ…優の奴…行かなかったからって、暁の料理をあれだけ食べた後にあんな量の料理食わせやがって…」
そう言って澄から薬を貰って水と一緒に飲み干す。
「でも、私も料理は一番食べて欲しい人に食べてもらいたいし。今回は翔君が悪いよ」
「…反省します……」
澄がジッと見つめてくる。何だか迫力があるんだよなぁ澄のこう言う表情って、何か逆らえないし…
「さぁ!残る参加者も8組16名になりました!」
その8組の中に優、魔夜組と美里、命組は勿論、白夜、暁組までいる。まぁ美形集団だしなぁ。優達は勿論だが暁にも残って欲しいなぁ…何か無条件で応援したくなるよ
「今回はコスプレショーです♪審査員は私達が公平にやらせて頂きます♪さて、取り敢えず。会場!へ〜んけいっ!!」
パチンッ
『へ〜んしんっ!』っぽい口調で言った後指を鳴らす。何だかこれにも慣れてきたな。三回目だし。それとさり気なく先生も毎回着替えてるんだよな。今回はピンクのフリフリドレスのゴスロリファッションだ。奏がくるりと回ってポーズを取ると会場中から歓声が沸く。まぁ先生自体かなり美少女な人だから分かるけどね?それ言ったら隣りで睨んでくる人に何か痛い事されそうだから言わないけど。
「さて、それではいきます♪審査方法は至ってシンプル。私達の前にありますこの『萌えボタン』を私達5人が萌えたら押しますので、合計20萌えに達するまでの時間を競います♪一人に絞って狙うもよし、私達全員を狙うもよし。そこら辺はチームの作戦に任せますので頑張って下さいね♪」
…何だかどっかで聞いた様な審査方法だな。大体どっから持って来たんだよその『萌えボタン』…市販しても絶対売れな…いや、そうとも言えないか…
「あのボタン…何だか学園の将来を不安にさせるわよね…」
「もう充分過ぎる程に不安だ…」
あそこで楽しそうにボタンを押してる理事長を見ると本気でそう思う…。司先生は相変わらず…いや少し興味持っちゃってる?押してみたいけど、でも押したら何か終わる的な雰囲気を身体中から発してる。誘惑に負けるな先生!
「それではトップバッター♪ライトオン♪」
パッとライトが付く。さて、皆はどんな格好でくるのかな?
「只今の最高タイムは8、3秒!!それでは4組目に入ります。愛沢、小波ペアー♪ライトアップ!!」
パッっと会場の中心が明るくなる。その瞬間に天津がニヤリと笑い、奏が一気にボタンを叩く。開始3、2秒、圧倒的だ
「ま、まさか…これは反則です…」
奏がツボに来たらしくクッ…と倒れる…ふりをする。
「ふむ…現在トップだ。良かったな美里」
「でもこれさっきより恥ずかしい…」
美里が身体をくねらせて胸を隠そうとすると会場が、おおっ!!っと言った感じで沸く。どんな姿なのかと言うと…
「学ラン前開けサラシ…応援団スタイルですと…?」
水着の時は命のスタイルでかなり稼いでたけど…今回は美里だ。胸を隠しながら、見ないで下さい…。と涙眼で訴えかけてくる。ヤバい、恥じらいというのはあんなにも破壊力があるものなのか…
「天津…美里ちゃんの性格まで見抜いたか…」
「ふっ…水着審査とコスプレ…二つを完璧にクリアするには二人の性格も考慮する必要だあったわけ。」
と二人で何やら話を進める天津と進。天津さん…あの衣装持ってたんだよな?着たのか?
「ふぅ…とにかく、現在トップを叩きだしました…天津さん。姐さんと呼ばせてもらっても良いですか…?」
「好きに呼びなよ」
何か妙な姉妹が生まれちゃったよ…。何か姐さんの辺りから澄の顔が引きつってたが…どうしたんだ?
「ふぅ…生徒のあんな姿を見れるなんて…私ここの先生で良かったです…。さぁ次のペアは…桜院、才媛路ペアです♪ライトアップ♪」
次は白夜、暁ペアか…また白薔薇が舞うのかなぁ…。パッと明りがつく。その瞬間、審査員の内、俺にウィンクをして来た人の眼が光り、手が残像を生むスピードでボタンを叩きまくるのを見た
「こ、これは才媛路さんでしょうか…?可愛い…」
奏先生が感嘆の意を示す。そこに現われたのは今から結婚式などにでてもおかしくない格好の白夜と暁…。問題は暁の格好だ…
「女装…?」
暁はウェディングドレスを来ている。それも無茶苦茶似合ってる…髪はウィッグを使って長くしてるし。元々女顔なのに化粧してるし。会場中が声も出ない様な美少女へと生まれ変わっている
「えーっと…只今のタイムは3、3秒…最高タイムです…。あの理事長…?」
何だかフラフラと暁の方に歩きながら物凄く怪しく笑っている理事長に奏が近寄る。
「奏先生…私を止めないで…」
流石の奏も理事長の怪しい笑みに固まる。奏をスルッと避けて理事長は暁の元へたどり着く
「才媛路さん…?」
「な、なんでしょう理事長…」
理事長の笑みにぎこちなく返す暁。うわぁ…暁が震えてるよ…
「ふふふ…理事長命令です…私の物になりなさい…拒否したら…ふふふふふ…」
「わ、わたしの物…!?」
震えが増す暁。会場の皆様は固唾を呑んで見守る。これは…止めに入った方が良いんだろうか…。良いんだろうけど何か澄が涙眼で首をブンブン振ってる。行くなって事か…?
そこでずっと傍観に徹していた白夜が口を開く
「フッ…理事長…暁は僕の大事なパートナーです…暁を渡す訳にはいきません…」
「び、白夜君…」
おお…白夜…流石にここで黙ってる訳はないか…。だが、理事長は笑みから影を無くし…いやそっちの方がもっと怖いんだけど優しく微笑んだ
「邪魔しないの♪私は今才媛路さんとお話をしてるのよ?入学届…クーリングオフ出来るのかしら…」
そう言って笑みを深めた。その笑みと言葉には流石の白夜も絶句。遂に、強権まで使おうとしてるし。怖すぎるよ理事長…スイッチ入った理事長が此所まで変貌するなんて…
「どう…?才媛路さん…?」
少し笑みを和らげる仕草も怖すぎる。さっき抱いた何か子供見たいって言う感想がふっとんだな…『萌えボタン』を嬉しそうに押していたあの表情はどこえやら…。翔がしがみついてくる澄を撫でながらそんな事を思っていると、暁が普段の笑みを取り戻して口を開いた
「保留と言う事で如何でしょう?僕もまだここに入ったばかりですし…いけませんか?」
言い終わるとまたニッコリと微笑む。暁…あんた凄いよ…
「…それもそうですね♪それでは保留と言う事で♪それにまだめぼしい方はいらっしゃいますし…♪」
「…っ…!?」
理事長はそう言うとこっちを向いて微笑んだ。それと同時に澄の顔が強張る。え。なんでしょうか。生徒会席に座ってる男はっと…あれー居ないなぁ…
何か澄が俺に抱き付きながら理事長と睨み合ってるし…
「ふふふ、冗談ですよ♪人の物は取らない主義ですから♪今は…」
「…まぁ信じましょう…あくまでも今はまだ…ですけど」
何か勝手に和解したっぽいし。俺は物ですか?それにいつの間にか澄の物決定?優に殺されそうだからこんな所でそんな事言うの止めて欲しいなぁ…
と思っている内に暁は開放されて理事長が席に戻っている
「…さ、さて、気を取り直して行きましょう♪次は…葉山、未倉ペアですね♪ほら、照明さーん!ぼーっとしてないで早く現実に戻って来て下さーい!!…それでは、ライトアップ♪」
パッっと会場にまださっきの余韻を残したままライトがつく、果たしてこの状況でトップを取れるか見物だな…。…と思ったが、ここにもいるんだよなぁ最強のフェチストが…
翔は審査員席の内の一つで二つの瞳が煌めくのを見た。光の中に浮上がる二人の姿は…
「「逮捕しちゃうぞ♪」」
『『『ウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!』』』
『萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌萌っ!!!!』
優と魔夜のポーズ&セリフと同時に会場が沸きある一人のフェチストの手の速さが光を超越する
優達の服装は婦人警官…当たり前の様に猫耳装備。琴先輩の眼がヤバいよ…危ないよ…。
「ね、猫耳婦人警官だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!何だか治安を守りたいんだか、ぶっ壊したいんだか分からないが可愛いぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!!!」
奏先生の言葉で更に沸き上がる会場。優のファンクラブの方々ノリ良いなぁ…。えーっとタイムはっと…
「タイムは1、2秒…審査員の内、一名の心をガッチリ掴んだようですね♪」
審査員の内の一名…勿論琴先輩だな…一人で20回押しちゃったよ…1、2秒って…あの人は理事長をも上回るのか?
「優ちゃん…?」
「え…はい…な、なんでしょう…?」
優がたじろぐ。さっきのは優達も見ていただろうし、琴先輩の雰囲気がさっきの理事長のそれに似てるし…。そして犯罪的猫フェチ会長は少し間を置いて言った
「その衣装…後で私に貰えないかしら…?まゆま…もとい、ちょっと似合いそうな子がいるのよねぇ♪」
「ええ、勿論♪」
琴のその言葉と同時に真夕の表情が引きつり、優の返答と同時に固まる。真夕先輩…頑張って下さい…スイッチオン状態の琴先輩には真夕先輩もかなわないんだな…
「またお姉ちゃんのコレクションが増えたわね…真夕先輩…御愁傷様」
澄が哀れんだ眼できっと後で琴の着せ替え人形にされるであろう真夕を見た。そして欲望に満ちたコスプレファッションショーは幕を閉じた
冬休みに入りました八神です。 何だか風邪をひいたっぽいです。 恋:「冬なのに窓を開けて寝るのが悪い…自業自得だな」 掃除した時に開けてそのままだったんですよ…恋先生って一応保健の先生でしょ。何かアドバイス下さいよ… 恋:「評価に更新が遅いなんて書かれない様に頑張りなさい。」 それ風邪へのアドバイスじゃないですよ…。こんな風邪っぴきの作者ですが、評価感想を頂けると作者がとても喜ぶので宜しくお願いします♪それではまた次の後書きで…