第16話:波乱の御島家!?(琴の策謀編2)
「ただいまぁ♪」
澄がそう言って玄関のドアを開けと、琴が奥から走ってきた
「澄!もう、心配したじゃない!」
そう言っていきなり琴が怒鳴りだす。…ん?…心配した…?まだ夕方なのに…?
「…お姉ちゃん?まだ夕方だし、翔君もいるのよ?杖もあるし」
澄は何故怒られなくちゃならないの?といった感じで琴に言った。
「…え!?…あ、ああ、それもそうね。私どうかしちゃってたかなぁ何て…♪」
琴はまるでいたずらを自分から言ってしまった子供のようだ…と翔は思った
「…見てましたね?先輩…?」
「え!…あれぇ?何の事かなぁ…?」
え!の時点でバレバレだし、眼を合わせてくれないし、全くこの人は…
「お姉ちゃん…?尾行なんてしたら、お仕置しちゃうよ?って言ったはずなんだけどなぁ…?」
澄は顔を引きつらせて言った。それと同時に琴がピシッっと音を立てて固まる、いやよく見ると震えてるな。お仕置かぁ…何するんだろう?
「で、でも喫茶店で澄が何か叫んだ後は知らないよ!?見失っちゃったし…もう、しょうがないでしょ!気になってしかたなかったんだから!」
うわぁ…開き直った。それに自分からどこまで付いてったか言っちゃってるし。
「開き直ってもダメです!…本当にしょうがないんだから…まぁ今回は許してあげるけど、今度やったら…わかるわよね…?」
澄が語尾を震わせる
「も、もうしないから許してぇ…翔ちゃん…助けてぇ…」
澄がじーっと琴の眼を見て脅す。ああ、琴先輩が圧倒されちゃってるよ…ちなみに俺は助けませんよ琴先輩。
「もぅ…それじゃあ翔君は私の部屋で待ってて。夕食の支度を手伝ってくるから。場所はわかるよね?」
「ああ」
翔に確認を取ると澄は奥の方に歩いて行った。
「澄の部屋は…確か向うだったな…」
翔はそう言って澄の部屋に向かうために歩きだそうとしたが…
「ちょーっと、待って翔ちゃん!」
琴に肩をつかんで引き止められた。
「どうかしましたか…?喫茶店の後の事なら教えませんよ」
翔は琴の方を振り返って聞いた。
「そんなこと聞かないって♪それより、私の部屋にこない?澄の部屋に行ってもやる事無いだろうし。まぁ翔ちゃんが変な事考えてたりしてたら別だけどね♪」
「考えてません!先輩の部屋ですか…まぁいいですよ、確かに暇ですし…」
というかそんなこと言われて断れるはずがない断ったら変態のレッテルを問答無用で張られそうだし…でもまぁ、また何か企んでるんだろうなぁ…先輩の事だし
「じゃあ決まり♪ほらほら、早く行こ♪」
翔は琴に案内されて琴の部屋に向かった
「…独創的な部屋ですね…?」
琴の部屋に入った翔はそう感想をもらした
「可愛いでしょ?澄はこの部屋の良さがわからないのよねぇ…」
部屋に入った瞬間に眼に入ってきたのは猫、右を見ても猫、左を見ても猫、天井を見上げても猫…どんだけ猫が好きなんだこの人…にしてもこれだけぬいぐるみがあって本物の猫がいないって言うのも不思議な感じだな
「いや、まぁ猫は良いと思いますが、凄い数のぬいぐるみですね…?」
「えー!?眼の保養になって良いじゃない猫よ猫!」
琴は机に置いてあった白い猫のぬいぐるみを持って言った。
「翔ちゃんにはこの良さがわかってもらえると思ったのになぁ…」
よほど猫が好きなのか本当に落ち込んでいるようだ。持っているぬいぐるみを抱き締めながらいじけてしまった。何とか話題を変えようとさっき疑問に思った事を聞いてみる
「そんなに好きなら本物の猫は飼わないんですか?」
翔がそう聞くと琴は泣きそうになって…いや泣きながら言った
「だって、澄が…生き物やだって…お母さんとお父さんも天で我慢しなさいって…」
「…琴は私に不満なのかしら…?」
いきなり背後から少女の声がした。翔が振り返るとそこには幼い少女の様な外見だが、その体の小ささが人では無い事を強調している所謂『護』が不機嫌そうに浮かんでいた
「翔様、先日は失礼しました…あんな卑劣な…我が主ながら信じられません…」
天は本当にすまなそうに翔に頭を下げた
「ああ、いやそんなに謝らなくても…でも何で護が普通に出てるんですか…?」
爺ちゃんの話ではあまり外に出す事はないと言ってたような気がする
「ああ、家では外に出すようにしてるのよ、外に出てなくても話は出来るけどオセロとかチェスするにも実体ないと不便だしね?」
「そうなんですか…流石は生徒会長ですね。召喚の維持にも魔力を使うのに…」
翔がそういうと天はそんなこともない、と溜息をついた
「そうなんだけど…せめて杖か魔道具の携帯をしてほしいです…この前なんて翔様がいなかったら…本当に翔様には頭が上がりません…」
こうして話をしているとまるで琴の保護者の様な感じがする
「ねぇ翔ちゃん聞いてよ、天ったらネコミミ付けようとしても逃げるのよぉ?せめてネコミミで我慢しようと思ったのに…」
そう言って天専用のミニチュアの様なネコミミを取り出して天を恨めしそうに見た。天はと言うと心なしか少し後ずさっている。というかネコミミと言う事はもしかして…
「真夕先輩にネコミミを付けたのも先輩ですね…?」
「あ、正解♪まゆまゆって犯罪的にネコミミが似合うよねぇ♪」
やっぱりか…パートナーってそんな理由で選んだんじゃないだろうな?
「翔ちゃんもどう?結構似合うかもよ♪」
「遠慮しておきます…」
そんな物を付けた瞬間に檄写されて写真をばらまかれるのが落ちだしな。そんなことを考えていると琴の部屋のドアが開いた
「あれ?翔君お姉ちゃんと一緒に居たんだ?」
ドアの外側からエプロン姿の澄が顔を出して言った
「ああ、琴先輩に洗脳されかけてた」
「洗脳じゃないもん。ただちょっと猫の素晴らしさをアピールしてただけだもん♪」
「そうなんだ、翔君の声が何故かお姉ちゃんの部屋からしてたからてっきりお姉ちゃんに遊ばれてるのかと思っちゃったよ」
「あのなぁ…」
遊ばれてるって…まぁ琴先輩に遊ばれる事が多いのは確かだけどね…?
「澄が来たって事は食事の準備が出来たんでしょ?」
「そうそう♪翔君も早く行こ♪」
こうして御島家の食卓にお邪魔する事になった
「やぁ翔君!我が食卓へようこそと言った所かな?」
御島家の大黒柱、裕治にそういわれて席に付く、澄に連れられて部屋に入った翔だが特に驚いたのは使用人…いやメイドとか言った方がいいのかもしれないがそのメイドがいた事だ
「翔君に紹介しておくね?家でただ1人のメイドさんの灯さんだよ」
「澄お嬢様から御紹介に与かりました灯と申します。よろしくお願いしますね♪」
そう言われて笑いながらお辞儀をする。メイド服に身を包んだ彼女の髪は茶髪のロングでなんと言うか使用人と言う感じがしない、どっちかと言うと澄のお姉さんだ、本物のお姉さんよりお姉さんっぽいし…
「灯さんですか、こちらこそよろしくお願いします。」
「それでこっちがお母さんとお父さんね♪」
澄の母親は澄に雰囲気や顔立ちが似ている。澄は母親似なんだろう
「母親の詩乃です、翔さんの事は澄から…」
「お父さんの紹介は済んでるみたいだし紹介は終わりね!」
詩乃が何か話かけたのを澄が無理矢理に完結させる。それを詩乃が残念そうにしているが澄はスルーの方向らしい
「ま、まぁ、紹介も終わった事だし頂くか。」
全員が席に付いて料理に手を付ける。見慣れない料理だったが料理の食べ方は爺ちゃんから聞いていたのでその通りに食べる
「ん。うまい!これは灯さんが…?」
「私一人ではありませんよ?料理は澄お嬢様と一緒に作っていますから♪」
「へぇ、これを澄がねぇ…」
翔はそう言ってもう一度料理を見てみる。翔も自分で作ったりはするが流石にここまで上手くはないし、最近は料理をしない女性が増えてると聞いたが澄はそうでもないらしい
「良かった…翔君の口に合ったみたいで♪」
澄がホッとした様に笑う。これだけ料理が上手ければ口に合わない人は滅多にいないだろうけどな…
「良かったですねお嬢様♪いつもより一生懸命に作っていたみたいですし♪」
「ち、ちょっと灯さん!?私はいつも通りに…!」
そう言って澄は顔を赤くして抗議するが灯は聞いていない
「翔さん、澄はお買い得ですよ?どうせならこのままお持ち帰りの方向で如何ですか?」
詩乃はそう言って笑う、なんというか凄い上品な笑い方をするけどその冗談は怖いですよ…?
「お母さんも…恥ずかしいから止めて…お姉ちゃんも笑ってないで何とか言ってよ!」
澄が更に顔を赤らめる。しかし、次の裕治の一言で場が氷ついた
「お持ち帰りって、翔君は今日は泊まっていくと聞いたのだが…?」
「はい…?」
泊まっていく…?また何を言い出すんだこの人は、澄も完璧に氷ついてるし灯さんと詩乃さんも、そうなの?と首を傾げてるし、取り敢えず琴先輩が何か凄い嬉しそうなんだけど…
「琴先輩…?」
引きつった笑顔で琴を見てみる
「心配しないで翔ちゃん、着替えとかはもう澄の部屋に届いてるし、お爺さんの許可もとってあるから、夕飯も作ってきたしね♪」
…そう言えば朝は様子がおかしかったんだよな…俺の部屋にちょくちょく入ってたし…
「さて…そろそろ帰っ…」
「家は空いてないわよ?鍵はちゃんと掛かってるはずだから」
やられた…そう言えば琴先輩も朝からかなり様子が…さっき澄の部屋に行かせなかったのも…うん、納得がいくな…
「ちょっと!さすがに不味いですよ!おじさん達も何とか言ってください!」
「私達は構わないよ?翔君の事は最初から泊まると聞いていたしね」
…この人、絶対楽しんでる…眼が笑ってるもん…やっぱり琴先輩はこの父親に似たんだな…
「もうお姉ちゃん!私も聞いてないよ!?大体、私の部屋に届いてって…どういう事!?」
「家の客室は随分の間人が来てないから物置化してるし、それ以外の部屋も散らかってるし」
だから澄の部屋しかないのよ。と琴が説明を終了する
「でも澄の部屋っていうのは…」
「はぁ…もうわかったわ。翔ちゃんは私の部屋に…♪」
「ダメ!!それだけは絶対にダメ!!翔君は私の部屋に泊まってもらうから!!」
澄が琴の言葉を遮って言った。それに裕治は満足そうに、琴は少し残念そうに頷いた
翔は完璧に琴のペースに乗せられているのを感じつつ、皆にバレない事を祈った
始めに謝罪を、度重なるタイトル変更申し訳ありませんでした。これからはずっとこれでいかせて頂こうと思っていますのでよろしくお願いします。さて、最近更新が遅れてきてしまっているような気がしますね… 恋:「自覚はあるみたいだな…」 でもしょうがないじゃないですか…ちょっと昔買ったシリーズ物の本とかの誘惑って凄い強力なんですよ!? 恋:「…少しちゃんと話あった方が良さそうだな…」 すいません…次はもっと早く更新出来る様にします… 恋:「さて、この作品を気に入ってくれた方の感想評価をお待ちしています」 それでは次回また会いましょう