第10話:沈黙メイカーと姉妹勢力図について
「んじゃあ、改めて澄あ〜んど翔ちゃんの歓迎パーチーを始めまーす♪いえ〜い、ぱふぱふ♪」
琴がそういうと生徒会の皆もそれに合わせて騒ぎ立てるちなみに澄も。
「本当に仲良いですね…」
「仲が良いのは良い事…」
「良過ぎる気もするんですが…店ん中ですよ…?」
真夕が隣りに座って話しかけてくる
あのあと、琴が歓迎会をやろうと言い出し、爺ちゃんが待ってると断ったのだが琴や真夕達生徒会の面々が駄々をこねて、澄まで眼を潤ませて見つめてきたので陥落…じゃなくて説得されてしまった。済まない爺ちゃん…あとでなんか買ってくよ…
「ほらほら!翔君も何か頼みなよ生徒会の資金から出すからお金の心配はいらないよ♪」
「いいのかそれ…?」
「へーきだよぉ?かえちゃん先生の許し出てるし♪」
琴がこっちを向いてウィンクする、流石会長
「そう言えば…澄ちゃんと翔くんってどこで知り合ったの…?気になる…」
真夕がそう言った瞬間、時間が止まる。
「そう言えば澄も教えてくれないのよね…」
「琴…今なら逃げられない…自白剤…」
自白剤って…ちょ、真夕さん何を出そうとしてるの…!?
「まゆまゆ、それは不味いから…ねぇ翔ちゃん♪お姉さんに話してみようよ♪澄と何があったのかな?まさか!…言えないようないけない事とか?」
「ち、違います!澄も反論を…!」
「そ、そうよお姉ちゃん!まだ何も…」
琴がすかさず、まだと言う言葉に反応する
「まだ…?」
「な、何でもない!言い方を間違っただけ!」
「とにかく何もないですよ!まだって言葉に反応しないでください!そこ、ひそひそ話しない!」
「琴…澄ちゃんの事は今度聞く…今は…」
真夕が意外にも助け船をだして一旦話が戻る
「まゆまゆがそういうなら仕方ない。翔ちゃん、もう一つの方を話してみなさい♪」
先輩…理事長に口止めされてるんですが…
「あれれぇ?どうしたの翔ちゃん♪」
「翔君…早く話した方が身のためだと思うんだけど…?」
生徒会2強からの片や楽しそうに、片や脅迫染みた攻撃
「そんな…普通ですよ?クラス同じだからたまたま…」
「たまたまあってパートナー?」
「怪しい…」
「入学式の時、迷ってた私に翔君が案内してくれたのよ、それで気があって、私もパートナー探してたし、翔君と組む事にしたのよ♪」
おお、流石澄、助かった…
「なんかお姉さんには、ヤバい事話しそうな翔ちゃんを澄が口止めした様に聞こえるなぁ♪大体澄がそれを話したがらなかった理由が見当たらないじゃない?」
流石は姉、お見通しか
「ちょ、お姉ちゃん…本当に変な事なんて無いから!もう良いでしょ!?」
「ほらほら、翔ちゃん♪お姉さんに全部…」
だ。だれか…
「やっぱり二人ともイケない関係に…♪」
「だから先輩…」
うんざりしつつ話題をどう動かすか思案に入る
「琴…さっきからイケない関係って…何…?」
再び沈黙…
「えっと、まゆまゆは知らなくても良いかなぁなんて…♪」
「真夕先輩…相変わらずの…」
琴が慌て、澄が引きつった笑顔を作る
そう言えば澄が言ってたな…真夕先輩の天然ってこういう事か、えらくピンポイントだが…
「…?琴…?皆もどうしたの…?」
真夕が訪ねた答えはもちろん誰も返せなかった
「さてさて!そろそろ定番の王様ゲームといきますかぁ♪」
なんの定番ですか…コンパ?
沈黙メイカーが発生させた沈黙を琴はなんとか払拭しいつものペースに戻っていた
「あ、翔ちゃんに先言っとくけど、これ特別ルールだから♪それじゃあ皆クジ引いてぇ♪」
特別ルール?なんだそれは、まぁ俺にとって喜ばしくないのは確かなんだろうなぁ…
「皆引いたね?じゃあー王様だ〜れだ♪」
引いたクジを見てみると赤い印…喜んでいいのか?
「俺…みたいですね」
瞬間、周りの、正確には先輩方の眼が輝く…怖いんですけど…
「それじゃあ特別ルール始動!まゆまゆ、あれを!」
「いえっさー…」
了解らしい合図を返すと箱を取り出した
「これから翔ちゃんには箱から紙を引いてもらいます♪そんでそこに書いてあるキーワードを使って文章を作ってね♪ちなみに最初は、王様と、から始めないとダメよぉ?」
「なんかはめられた気がする…」
「翔君どんまいだね♪早く引いて♪」
渋々真夕の持っている箱から一枚の紙を引く
「えーっと…ぶっ!!!」
「ん〜どうしたのかなぁ♪」
琴が悪魔に見える…そこにあったのは、抱き合ってキス、という文字…幻覚か?それでないならこれは夢か?
「翔君…それ私がいれた…」
「さいですか…」
ガックリとうなだれて助けを求めて周りを見るが皆ニコニコしてるばかり…澄まで…くそっ…敵地で四面楚歌か…
「翔ちゃん?覚悟決めた?」
「拷問だ…」
「何言ってるの♪ハーレムじゃない?個人指名はダメだけどね♪」
ヤバい…本気だ…眼が…眼がなんか怖い…
「でもさすがに抱き合ってキスはちょっと…」
翔がそう言葉をこぼす
「ふぇ!?き、きす!?真夕先輩、なんて物入れたんですか!」
キスと言った瞬間に澄が反応する、どうやら前はこういうのは無かったらしいな
「お、お姉ちゃん!ダメだよ!そういうのは色々まずいよ!」
「そうですよ…真面目にこれはちょっとまずいですよ」
よし味方が一人ついた、希望はまだある!
しかし琴は、えぇー、と言った感じの顔をして残念そうに俯く
「まだまだお持ち帰りとか籍入れるとか色々あるのに…」
「絶対ダメぇ!どーせまた私の時見たいに翔君が王様になるように仕組んだんでしょ!」
あっさりとネタをばらしてくれた
仕組んだのか、道理で…都合良く俺に王様がくるわけだな…
「お姉ちゃん…前も、ウェイターさんにダメ出しするとかメニューに無いフランス料理頼めとか、色々むちゃくちゃだったけど…」
澄は人が変わった様に声の音量を落として琴を睨む
「ちょっ、澄ちゃん…?なんかちょっと怖いなぁなんて…お姉ちゃん思ったりなんかして…」
琴が澄から逃げようとするが琴の座っている位置はちょうど一番奥なので逃げられない。
「澄ちゃん、やっぱり前のあれ…根に持ってたんだ…」
「会長、安らかに…」
「琴も懲りない…自業自得…」
先輩方が一歩離れた所から澄達を見守る。というか真夕先輩が書いたんじゃ…?
「お姉ちゃん…?無効よね…?」
「そ、そうね!無効よね!あははぁ〜…澄ぃ…怖いからもう許して…」
もう夜も遅かったが店内の一角はまだまだ騒がしかった