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夢見の三島シリーズ

春に見る夢

作者: 颪金

俺は今、飛んでいる。


目の前に見えるのは、草原。地平線の先まで続いていて、終わりが見えない。


俺はその上空を、飛んでいた。


真っ白な羽を背中から生やし、その羽があるのになぜか両手を水平に広げて飛んでいた。


草原とは言ったが、所々に花畑が見えて、鳥がその周囲を飛び回っていた。



風は清々しいし、高所恐怖症なのに、高度を上げてもほとんど恐怖を感じない。


何故か?それは―――



「―――おい…!」



あれ、誰かの声が聞こえる。ここにいるの人間は俺だけのはず……。



「おいっ、三島!起きろ!!」



何者かに肩を掴まれ、俺の意識は一気に現実に引き戻された。


ドライアイ気味の目を薄らとあけると、目に映ったのは、数学の教科書云々。


「……?」


頬杖を突きながら俯いてた所為でガチガチに固まってしまった首を何とか上げると、目の前に見知った友人の姿が。


「あ……神埼」


友人―――神埼は、何故か眉間に皺を寄せて俺を睨んでいた。


「あ、じゃねぇよ!もう数学の授業終わってんだぞ!?」


「ふぇ……?」


素っ頓狂な声を出しながら周りを見渡せば、教室にいるのは俺と神埼だけだった。


どうやら、授業中に寝てしまっていたらしい。一番窓側の席で日の光がさして気持ちよくて、且つ一番後ろという好条件で、誰にも気付かれる事なく眠ってしまっていたらしい。


「……俺、寝てた。そんで、夢見てた……」

「だろうな」

「うん……」

「どんな夢なんだ?」

「空を飛ぶ夢……草原と花畑が見えて、鳥も何羽か飛んでた。風が気持ちよくて、それで―――」

「もういいよ……やけに鮮明だな」

「俺の見る夢は基本鮮明だから……」


目を擦りながら立ち上がる。


「次の授業何だっけ?」

「体育」

「やりたくない……」

「立ちながら寝れば?先生気付かないかもよ」

「俺もそこまで器用じゃない……」


「そういえば、昨日は何の夢を見たんだっけ?」


「確か……小鳥を助ける夢だったはず。木の上にある巣から落ちちゃって鳴いてた小鳥を、右手で持ちながら左手で木を登って、巣に戻した時に足を滑らせて落ちて、そこで目が覚めた」

「うわ、昨日言ってた内容とドンピシャ……普通一日経ったら忘れるもんじゃね?」

「そうか?俺、一年前の夢も鮮明に思い出せるぞ……」

「流石、"夢見の三島"だな」

「その二つ名、止めてくれって言っただろ」


ジャージの入ったバッグを持って、神埼と一緒に教室を出た―――。

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