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Cyvival / サイバイバル  作者: 原作:Rebecah Creative Studio / シナリオ原案:桃太郎V
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5/5

05:運ゲーだよ!

 2016年11月30日(水)ニューヨーク10時 / 12月1日(木)東京0時


 「シティデベロップメント・シンクロ高校(CDS)」にて、「セレーネ」のタブレットに通知音が鳴る。


[セレーネ]: なにこれ...?20って?


 "20"という数字がタブレット画面に表示されたのち、恒例のネクストミッション動画が流れる。


[ゲームマスターCy]: 諸君、生きてるか?さて、恒例のネクストミッションの知らせだ。だがその前に、この前のミッションを達成したプレイヤーの諸君、見事だ。実に見事だ。とはいえ、数が相当減ってしまったがな。それはそれとして、本題に入ろう。諸君の画面に「20」という数字が映っているに気付いたか?この数字を0にまで減らすことが今回のミッションだ。数字を減らす方法に関しては、全ては諸君の運にかかっている。端末のスピーカーに耳を澄ませよ。この音色をよく覚えておけ。運次第ではこの音色を流す者を見つけられる。20を0にしないとどうなるか、諸君には理解しているはずだ。ククク、今回は個人戦だ。時間との勝負になるだろう。期限は12月24日23時59分まで達成せよ。生きるか死ぬかは運次第だ。では、幸運を祈る。


 ミッション開始告知になると出現、終わるとドロンと下がる。質問は一切受け付けない。他のプレイヤー達は当然のように消えたプレイヤー同様、動かない者も少なくはないだろう。


 2016年12月1日(木)ニューヨーク17時50分 / 12月2日(金)東京7時50分


 消されたプレイヤーはこの世から存在を失い、周りの人の記憶から消える。それを確認するべく「セレーネ」は電子世界の繁華街に潜り、「インポスター」から届いた他のプレイヤーの座標を目的地とし、「レベッカ」並の足の速さで駆け巡る。


 そこには「通りすがりのプレイヤー」、かつて「エリオ」と交流したプレイヤー2人「女探偵」「男子高校生」が集まっている。


[セレーネ]: エリオくんと知り合った人が2人か3人、レベッカさんから教えてくれた情報だけど。エリオくんが消えていなくなった今、2人か3人は接触した覚えはあるのか、実際に検証してみようかな。


 「セレーネ」は早速、3人に接触する。


[セレーネ]: こんにちわ、あたしはセレーネと申します。あなたたちに聞きたいことがありまして、黒い髪の男に合いませんでしたか?名前は"近藤エリオ"っていうんです。彼と交流していたなら、詳しい話を聞かせてください。

[男子高校生]: え?黒髪のって、この前のミッションで会って交流した...や...つ......?あれ......?

[セレーネ]: ...!?


 それを聞いて「セレーネ」は確信した。「近藤邦雄/Elio Condo」はこの世に存在せず、最初からいなかったように、他人の記憶から忘れ去られるということ。交流した痕跡も全て。信じられないと否定する「セレーネ」は、自身のデータを漁る。


[セレーネ]: エリオくんの連絡先が消えてる...。ボイスデータ、写真まで...。勝手に消されたっていうレベルじゃなく、最初からいなかったことにされてる...。


 彼のデータと記憶の抹消とは信じられない、彼のいない現実を受け止めがたい、「セレーネ」は取り乱す。


[セレーネ]: ...ごめんなさい。ちょっと混乱してて。


 他人に限らず、自身の記憶から「邦雄」がじわじわ消えていきそうだ。


[セレーネ]: 彼を忘れてしまいそう......。そんなの嫌......。


 悲しみを紛らわすためなのか、タブレットゲームを遊ぶ。


[セレーネ]: あたしの横に置いてある護身用道具を好きなだけ持っていっても構わない。


 ...とはいえ護身用を手に取ることはなく、3人は解散していった。


 2016年12月1日(木)東京23時2分 / ニューヨーク9時2分


 「セレーネ」が行動に出る前の時間帯。「インポスター」は電子世界の繁華街にて、交流仲間3人「女子高生A」「女子高生B」「警察捜査課の刑事(デカ)」とともにミッション攻略方を話す。


[インポスター]: "消えたプレイヤー"の末路とエネミーの生態は置いといて、このミッションの攻略法について話そうか。


 その攻略法とは何なのかは「インポスター」の口から説明する。聞くといい。


[インポスター]: 3人ともよく聞いとけ。大切なのはこの地味なやり方を続けられるかどうかだ。いいか、途中で投げ出すことなく続けることだ。どんなにつらくてもな。探し回ってでは体力がもたない。あえてじっとすればきっと幸運が来る。それを繰り返す!!それが時間と根気の勝負だ。ついでに、通りすがりのプレイヤーにこの必勝法を教えなきゃな。


 スマートフォン(SO-03G)を操作しているうちに、画面の数字が20から11に変化した。電子空間のどこから来るその音が数字を減らす。「インポスター」の背後に指揮棒を持ったロイドが立っている。


[インポスター]: ...なるほど、そういうことか。


 さらに、横から飛びかかる「エネミー」を彼女の剛腕で心臓部をもぎ取る。もぎ取った心臓部を見つめる「インポスター」は「エネミー」の生態を考察する。


 「ゲームマスターCy」が放つ「エネミー」のステータスは現実世界の動物と同等のものに過ぎない。半数以上が前回のミッションをこなすことなく、哀れな獣へと化したプレイヤーの成れの果て。心臓部は「エネミー」の動力源であり、命の源でもある。


[インポスター]: しょせんは低レベルのエネミー。ワンパターンの獣型は手応えのない。他の形のほうが戦い甲斐あるんだがな。それなのに、主催者は一体何考えてるんだ?


 この言葉で「さあ、哀れな獣へと化しなさい。」という「ゲームマスターCy」の言葉が脳裏をよぎる。


 バトンロイドが未だに「インポスター」の背後に立っている。


[インポスター]: なんだ、まだここに留まるのか。さらに6まで減らしてくれるとは、ツイてるな。


 画面の数字が11から6に変化。「インポスター」の頭上に「鳥型エネミー」が降りてくる。「レベッカ」を名乗る詐欺師に攻撃をかわされ、「鳥型エネミー」は踏みつけられる。


[インポスター]: よわっ。主催者のペットめ、来るなら来い!!また獣型が来ようとも、まとめて一掃してやる!!


 戦い続ける「インポスター」。未だに離れないバトンロイド。2まで減らした。


[インポスター]: 本当にツイてるな、私!!


 3体目の「エネミー」をタコ殴りにする。「インポスター」の足元に転がる「エネミー」の残骸。心臓部は砕けてある。


[インポスター]: こりゃあもう、気晴らしにちょうどいいかもしれん。あと少しでミッション達成だ。次は群れる弱エネミーより強いやつ、てごわいエネミー、手応えのあるやつと戦いたい!!


 それは驕りだということに気づいていない「インポスター」。さすがのバトンロイドも、「インポスター」のペースについていけず。とはいえ、数字がついに0になった。これにてミッション達成だ。


[インポスター]: どんなもんだ!!


 「エネミー」相手に手こずっている3人の姿。「インポスター」は「エネミー」の心臓部を踏み砕く。


[インポスター]: どんな時でも、決して諦めるな!!ありとあらゆる全てのプレイヤーを守る。私はそのために、このゲームに参加したんだ!!


 3人を奮い立たせるようなことを言う「インポスター」であった。その後、3人の奮闘を見守るために電子世界に留まり、ミッションが終了するまでの間、電子世界を出ることはなかった。


 2016年12月1日(木)ニューヨーク19時 / 12月2日(金)東京9時


 その頃「セレーネ」は、悲しみを紛らわすためのタブレットゲームに浸っている。


[セレーネ]: ...?この音色は......?


 待ちに待った数字の減少だ。画面の数字が20から12に変化。


[セレーネ]: ...通知バーに表示されている数字が12になっている。あたし、他の3人より遅れてるって感じかな......。


 タブレットゲームの内容は、6年前の小作「タチの悪い女」だった。


[セレーネ]: 悲しみを紛らわすとはいえ、エリオくんのことを忘れてしまうあたしは愚かなのか。


 時間が経つうちにじわじわと忘れていく。それが「Cyvival」という命がけのゲームだ。


[セレーネ]: エリオくんの親玉になんて言えばいいのやら......。


 タブレットゲームが進むたびに通知バーの数字が12から4に変化。


[セレーネ]: ...その音色、ミッション達成必須とはいえ、気にする。忘れたくないな、エリオくんの顔や声を。全部忘れて親玉に何て言われるか、たまったものじゃない。...それにしても、やけに寂しくなったし。


 バトンロイドの音色が途絶え、数字が変化しなくなった。


[セレーネ]: ...音色が途絶えた?ということは、運に見放たれたのかな。


 「セレーネ」はタブレットゲームを止めて、動画を見ることにした。


[セレーネ]: ...そろそろ飽きてきたので、動画を見ようかな。雪郎先生の顔が見たい。


 ところが、再びバトンロイドの音色が流れてきた。通知バーの4が0に変化したことでミッション 達成。動画のエンディングを見て、ホッとする「セレーネ」。


[セレーネ]: ずっと平和か。いい台詞だね、雪郎先生。さて、そろそろここを出なきゃ。ラファ兄とディア姉の顔が見たいし......。それと雪郎先生、必ずやこのゲームに打ち勝ってみせるから。......あたしの護身用道具、結局誰も使わなかったのね。


 護身用道具を懐に入れ、「セレーネ」は電子世界をログアウトし、現実世界に戻るのであった。


 2016年12月1日(木)ニューヨーク23時 / 12月2日(金)東京13時


 「セレーネ」は今回のミッションを記録するための日誌を書く。


[セレーネ]: このミッションが始まってから数時間、動かないプレイヤーが少なくない。このゲームは「協力性」でも「競争性」もなく、「半競争」のようなものであることがはっかりした。動かない者は必ず死ぬ。あまりにも酷なものだけど、それが現実ということ。


 1通のメールが来た。差出人は「黒澤ジャック/Jakob Kurosawa」で、その内容は「消えた人物の顔と名前がわかるのか?通りすがりの刑事の名前は"清生誠治郎"、前回のミッションで交流したはずだ。」とのこと。


[セレーネ]: 清生誠治郎って...誰の事?ごめんなさい、ジャック。交流した覚えはないの。


 彼女の反応を見る限り、完全に抹消されたようだ。


[セレーネ]: 今年の終わりまで30日くらいある。したがって、あたしはまだミッション達成していない他のプレイヤーの幸運を祈るだけ。今日の日誌はここまでっと。


 日誌を書き終えた「セレーネ」は、他のプレイヤーの幸運を祈ることにしたのであった。

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