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朝起きたら、君になっていた。

掲載日:2025/10/14

しいなここみさんの

朝起きたら企画に、参加させていただきます。


『朝起きたら、〇〇になっていた』というタイトルで作品を書くという企画です。


知り合いの戯言士さんにすすめてもらって、参加することにしました。


恋愛ものは、初めてなのですが、頑張って書いてみました。

 朝起きたら、僕は君になっていた。




 え、なんで??


 僕は確か男だった。でも、今鏡に映っている姿は、クミだ。


 何が起きたのかはわからないけど、昨日寝る前に、クミのことを考えていたのは確かだ。クミというのは…名前は堂本ドウモト 久美子クミコ、女子大生である。


 ちなみに僕はリョウ。田中 涼、ごく普通のサラリーマンだ。


 ちなみに、クミと僕の関係はというと、彼氏彼女…

だった関係なのだ。そう、今は別れている。だいたい1年前くらいだったかな。クミと出会ったきっかけは、友人が誘ってくれたコンパ。そこで気が合って連絡先を交換した。すごく可愛かった。というか今でも可愛いけど。


 でも、なんで別れたクミに、僕がなってるんだろう?とりあえず起きようかな。えーと…き、着替え…。


 自分で自分の姿を見て恥ずかしくなる。クミの体だもんな。そっと、胸のふくらみを確認してみる。うん、女だ。そして柔らかい。


 唇も念のため、指で触ってみる。うん、やっぱり柔らかい。あの時のままだ。これ、あとで戻って、怒られるやつなんだろうか。んーでも、どうしようもないし。自分の部屋…じゃない、クミの部屋を見渡す。2〜3回くらいしか来たことないけど、僕が知ってるクミの部屋だ。


 クミはまぁまぁいいとこのお嬢さんで、すごく広い家に住んでいた。お父さんお母さんとクミの3人家族だと思う。でもお父さんの姿は見たことがない。ふかふかのベッドに、天蓋がついている、もろお嬢様仕様のベッドだ。部屋自体は広くなく、学習デスクと、横に洋服ダンスが並んでいる。


 ぶ、ブラジャーはどこだろう。



◇◇



 10分ほど格闘した末に、無事着替えに成功した。学校ていつ行ってるんだっけ?


 僕は土日祝が休みのない仕事だから、クミとはいつも休みが合わなかった。まぁそれも別れる原因のひとつだったんだけどね。今日が何曜日かもわからない。あ、携帯電話…僕の、じゃなくてクミの携帯が充電器につながれて置いてあった。


 土曜日。休み…かな?あ、僕は仕事だ。あれ、そういえば僕はどうなるんだ?僕はクミになったけど、逆にクミは僕になってたりするのか?


 携帯を開く。メール画面をひらいて、僕のメールの履歴を探してみた。なぜか、僕のメールは消去できないようにプロテクトがかかっていた。これは覚えてる。僕が送ったきり、返事もなかったメールだ。


『もう2度と連絡しないでくれ。そして、あいつにもそう伝えてくれ。クミのことは好きだったけど、厄介事に巻き込まれるのはごめんだ』


 バカだな。僕は大バカだ。




 別れた理由は、ひとつの原因は休みが合わなくて、なかなか会えないこともあった。あともうひとつは、クミが同じ大学で、男を作ったからだ。名前聞いた気がするけど覚えてないな。別れの言葉はクミからだった。


「ごめん、同じ大学で好きな男の人ができたの…」


 僕は何も聞かなかった。少し前から、メールしても返って来るのが遅かったり、電話がつながらなかったりが増えていた気がする。結局はそういうことだったのだ。


 ペアリングをその場で外して投げ捨てた。


 そして、すぐその場を去ろうとした。クミは僕の腕をつかんで、泣きそうな顔をして見てきたけど、僕はそれを振り払った。


 僕は、悔しかったんだ。僕が大好きだったクミの、1番になれなかったことに。


 付き合った当初、僕は浮かれていた。クミが僕の職場にお弁当を持ってきてくれたこともあった。そして、仕事の帰りにも、会いにいった。


 でも、僕はきっとクミの気持ちをちゃんと考えてあげれてなかったんだ。もっとゆっくり会いたい、って言ってたっけ。


 クミがいっぱい示してくれた愛情に、僕が答えてあげれなかったのかもしれない。同じ大学で、できた彼氏なら、いつでも会えるし、休みも合うだろう。きっとすぐ僕のことなんか忘れてしまう。


 クミに最後のメールを送った晩の、その日の日中のことだったと思う。アイツから電話があったのは。僕は仕事中だったかな、着信通知はクミ。そして、出てきた声は男の声だった。


「あのさー、お前がクミの元カレ?」


 なんとなくは想像ついた。


「いきなりなんですか?これはクミさんの携帯じゃないんですか?」


「あー。俺、クミと今付き合ってるんだけど。なんでお前がクミの初めての相手なの?処女じゃねえっていうから聞いたら、お前が初めてだって言うからさ。どんなやつなのか話してみたくなってさー」


 めちゃくちゃ気持ち悪い。こんなやつとクミは付き合ってるのか。


「ちょっと…クミと変わってもらえますか」


「え〜、まぁいいや少しだけだぞ」


 まぁまぁムカついていたけど、なるべく冷静を保つように努力する。


「ごめん、リョウくん…ホントごめん。リョウくんに迷惑かける気、全然なくて。ユウサクが電話かけさせろ、ってうるさくて…あっ」


「はい、終わり〜。まぁそういうことで、クミはこれから俺がいただくから。リョウくんは仕事がんばってね〜」


 電話が切れた。いったいなんなんだ。新手の嫌がらせか。


 そして、その晩にさっきのメールを送った。そして、電話とメールを拒否設定に変えた。



◇ ◇ ◇



 1年くらいぶりに見た自分が送ったメールを、クミの携帯で見ている。


 …!!


 なぜか。頬に涙が伝っていた。


 僕は悲しくない。何も感じていない。


 この涙は、クミの感情が流しているのだろうか。


『リョウくん、大好き!なーのだ!」


 少しクセのある語尾も好きだった。 いつもお風呂あがりみたいないい匂いがしていた。照れるとピンク色に染まる頬も好きだった。笑った時に見える八重歯も好きだった。あんなやつと別れろと何で言えなかったんだろう。別れたくないと何で言えなかったんだろう。




 僕は、自分の身体に手を回して抱きしめた。


 なぜか涙が止まらない。




◇◇◇◇




 気づくと、僕は。僕に戻っていた。今のは、夢だったんだろうか。近くに転がっていた携帯をつかむ。


 そして、電話をかけた。




「もしもし。クミ…?僕…今でもクミのこと、大好きだ」




 おわり

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― 新着の感想 ―
な…………なんだ、コイツはーっ!? ユウサク!? 昭和スターみたいな名前をしやがって! こんなヤツ吹っ飛ばせーっ!! こんな電話が来たら喧嘩を売られたと判断してもいいんじゃないかな!?(▼皿▼) かな…
 やはりこのジャンルは苦手だなぁ……。  寂しがりやな女性が新しく嫉妬深い彼氏と付き合うとこんな感じになりそう……。  ドライなはずの主人公がこんな夢を見たのは何の暗示だろう……。  元の彼女への罪悪…
ユウサクやばいやつすぎですね……(´・ω・`) クミちゃんは寂しさにつけこまれてしまったんでしょうか。 リョウくん、自分の気持ちに素直になれたのはよかったですが、もうこれ以上傷付くようなことにならない…
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