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ノヴァリアの魔導師〜転生したら全属性使いだった〜  作者: にゃふ
第7話:ザイロスとの再会

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第70章:遺跡に迷い込んで

森での初日を終えた翌朝――日の光が差し込むより早く、レイは目を覚ました。魔力の調整と感覚の拡張を続けていたためか、疲労は残っているが集中力は研ぎ澄まされている。


「起きたか、人間」

焚き火の残り火を弄びながら、ヴァルゼリオが振り返る。

「ああ。三十分後に出る。朝飯頼んだぞ、セラ」

「はいはいっと……食べる前から命令とか、夫としてどうなんだかねぇ?」

言いながらも手早くスープを煮始めるセラ。その横でミナとリィナが携帯食料を温めている。


食事を済ませ、結界を解除したレイたちは再び西に進路を取る。森を抜ける頃には、湿った空気は澄んだ風へと変わり、視界も一気に開けた。



やがて丘陵地帯に入り、そこには古く崩れかけた石造りの柱や、蔦に覆われた階段――中規模の遺跡が姿を現した。


「……あれ、地図に載ってたか?」

「いや、少なくとも王国側の資料にはなかったはずだ」

レイは眉をひそめながら遺跡に近づく。


入口らしきアーチ状の門は半壊しているが、中央にはかすかに魔力の痕跡が残っていた。レイは地面に触れ、魔力感知を行う。


「古代文明か、それか封印タイプの神殿遺構……可能性は高いな」

「入る?」とセラ。

「ああ。ザイロスの拠点じゃなくても、通り道なら利用価値がある。罠があればつぶす」

「わかった。私たちは周囲を見張るわ」とミナが了承する。


内部は薄暗く、石畳には崩落の跡が無数に見られた。天井は高く、壁には文字のような模様が刻まれているが、現在の言語では判別できない。


その奥――苔むした床の中央に、直径三メートルほどの円形魔法陣があった。魔力が切れて久しいが、明らかに空間魔法由来の構造だ。


「転移陣……ただし方向指定式じゃない。呼び出し型だな」

「ということは、昔誰かを呼んだ施設?」とリィナが首をかしげる。

「魔王軍の召喚陣と形式が似てるぞ」とヴァルゼリオ。


レイは魔法陣の縁に手を置き、分析を行った。

「……劣化してる。蘇らせる価値はないな。ただ――ザイロスが再利用に来る可能性もある」


レイは陣の核石に指を触れ、魔力回路だけを破壊した。淡い光が走り、刻まれた紋様が音もなく崩れる。


「これでよし。次は町に出よう」



遺跡を抜けると、視界の先に小高い街並みが見えた。石造りの壁、煙突、そして広場の噴水。商業都市ほどの賑わいはないが、旅人や物資の流れで栄えた中継地のようだった。


「補給するならここね」とセラ。

「魔法素材も買えそう。リィナ、セラと一緒に荷物頼む」

「うん!」


レイとヴァルゼリオとミナは別行動で情報収集を開始する。町の宿屋前には依頼掲示板があり、盗賊や失踪事件の貼紙が目立った。


そんな中、一枚だけ異質な紙がある。焼け焦げた羊皮紙に、黒い紋章が押されていた。


――【目撃情報:黒衣の男/禁呪行使の疑い】


「……ザイロスか」とミナが呟く。

「時期的に符合するな。森に入る前にこの町を通った可能性がある」

「なら確定で山方面ね」とヴァルゼリオ。


合流したセラたちに話を伝え、レイは出立前に空間魔法で転移印を刻んでおく。何かあった時いつでも戻れるように。


日暮れ前、一行は再び進路を山脈方面へ向けて歩き出した。


次の目的地――ザイロスの潜伏地へと繋がる峠道は、すでに山影の冷たい風を運び始めていた。

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