表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/1

第一話 謎のカード


目が覚めると、俺は四角い空間にいた。

前方は先に道が続いていて、後ろが壁に囲まれた行き止まりになっていた。


壁、天井、床はレンガばり、

天井からは雫がぽたぽたと落ちてきていた。


部屋全体は2本の壁掛けたいまつのおかげで

かろうじて明るさを保っている。


「どこだ、、ここ、、、」


服装は会社のスーツ、服からは焼肉の匂いが伝わってくる。


「たしか上司との飲み会で俺は居酒屋で飲んでいたはず。」


どうにもそこからの記憶がはっきりと思い出せない。


とりあえず俺は立ち上がって当たりを見渡したが、なにもこれと言ったものは見当たらなかった。


、、が、なにやら長方形の物体が足元に落ちているのが目に入る。


「ん?なんだこれ。」


俺はその物体を拾い上げた。


「これは、、カード、、?」


一面黒塗りのように見えたが、よく見るとその中央に“2”という文字が書かれているのが分かった。


そして俺は何気なくカードを裏返した。


そこには見たことのある画風で、ハツラツとした顔をして笑う幼女のイラストが中心に大きく描かれ、カードの下部にはこう書かれていた。


「“ジブリの女の子のきれいな心”、、?」


まるで遊◯王のようなデフォルトのカードだったがそれとは違った。



突然迷い込んでしまった謎の場所、そしてそこに落ちていた謎の一枚のカード。


俺が置かれた現状に困惑していた矢先、

“何か”が目の前の暗がりから現れた。


グルゥゥゥ、、、


“何か”は手首を曲げた両手を前に伸ばし、ゆっくりと俺の方に向かって一歩ずつ迫ってきた。


「だ、だ、誰だお前!おい!ここどこなんだよ!」


“何か”は返答してこない。

こちらの声が聞こえていないかのようだ。


しかし依然としてその“何か”は俺の方に

一歩ずつ段々と近づいてくる。


「おい!くんな!こっちにくんな!」


ん?ある程度“それ”が近づいてきたところで、

その頭上の文字が目に入った。


「“ きれいなものゾンビ ”、、、?」


確かにその文字が“それ”の頭上に浮かんでいて、“それ”に付いているように動いていた。


グルゥゥワウゥ


だんだんとそれが近づいてくる中で、

俺は後退りしながらも背後に壁が迫ってきるいるのを感じる。


「おい、返事をしろよ!ここはどこなんだ!おい!」


俺はもうパニック状態になっていた。

この奇妙な状況に、恐怖しか感じられなくなっていた。


とうとう壁が背中にギリギリまで迫りきった時、


グルゥゥワァァ!


ボロボロの布の服を着た全身緑色の、まるで人間のように見えた“それ”が俺に勢いをつけて飛びつこうとしてきた。


「うわぁぁあぁぁあ!」


俺は思わず両手で顔を覆う。



その時だった。


ズカァァァアン


“それ”に斜めに大きく斬撃が入り、胴体が真っ二つになった後、すぐにもろとも消えて無くなってしまった。


「ハァハァ、なんだ今の、、!」


俺はまだ目の前で起きたことの理解が出来ていなかった。


そこでふと違和感を覚え、手を見る。


そこにはカードが、、消えていた。


“パチパチパチパチ、“きれいなものゾンビ”を

撃破しました。今回のカードの攻撃力は6800 でした。モンスター撃破により、カードが2枚ドロップされます。”


「うわぁっ!誰の声だ!」


突然どこからか女性のような声で謎のアナウンスが聞こえた。


パサ、パサ


そして次の瞬間、何もなかった空中に白い光が瞬いたかと思うと、床に薄い板状の物体が2つ落ちた。


「な、何が起きてるんだ、、?」


俺は慎重にその床に落ちた物体を手に取り拾い上げる。


それは予想した通り、先ほどのによく似たカードだった。


「“上京して初めて見た東京タワー”、

“口笛がワンパターンなやつ”?、、なんなんだ、、これ。」


またしても変な名前のカードだった。


さっきから、なんと変な名前のカードばかりなんだ。


俺はとりあえずカードをズボンのポケットにしまい、この謎の場所を散策することにした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ