◇恐怖
誤字・脱字などがありましたらお伝え下さい
「もう一度聞く、なぜ私から逃げるんだい?」
「えっと……」
話してくれない、か…
予想はしていたが
「無礼にも不敬罪にもならん。正直に言ってみよ」
父は無言のシャルティア殿に言った
これなら話してくれるだろうか
少しの沈黙のあと、やっと声を出した
それは、私にとってかなり衝撃的なことだった
「怖いから、です…」
「怖い…?え、怖い?私は自分で言うのもなんですが優しいと定評があるのですが…」
そんな…
私が怖いだなんて…
だが、理由も衝撃的だった
「笑顔…能面みたいに、貼り付けた、笑顔……裏でどう利用しようか、その価値はあるのか、見極めている……そういう人は突拍子のないことをする…だから、怖い……」
っ……ハハ、
そうか……
全てバレていたのか…
それにしてもその言い方はまるで…
「まるで突拍子のないことをされたかのように言うな。確証があって言っているのか?」
「うん………殺されかけた…」
「「は…?」」
殺されかけた?
神に愛されし者が?
シャルティア殿はそのような経験があるのか…
貴族でもないというのに
そうか…バレるんだ……
そういう人を見てきた人には………
ふふ、そうか
これは………利用価値がある
「そうか…これからは気をつけてみるよ。だからこれからは逃げないでくれるかい?」
「え……えっと…」
「いいよね?」
「……」
「ね?」
「……………はい」
よし、言質はとった
「話は終わったか?」
「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ありません、父上」
「では次は余の番だな。シャルティア、どのような用で来た」
「その…交渉、です…」
「交渉?」
私のようは終わったので父とシャルティア殿の会話をただ聞いていた
シャルティア殿と父との会話は実に面白い
錬金術というのも実に興味深い
とつぜん金を創り出した時は驚いた
なにも詠唱をせず創り出した
錬金術には詠唱が存在しないのか?
それにしてもシャルティア殿は欲がない
本当にシャルティア殿は興味深いなぁ
すると会話の中で面白いことを聞いた
父がシャルティア殿の手伝いをするらしい
「シャルティア殿、手伝いとは?」
後に私は思う
聞かなければよかった、と
「村の………復讐、です…」
「復讐……?」
なんだそれは…
私は完全に思考を停止した
「あの人たちはボクの村を壊した…どんな理由か知らないけど……笑いながら、それはもう楽しみながら………ふざけるなっ!……あんな奴ら…あんな、あんな……その時気づいたんです
この世は弱肉強食だと」
!??!??
肌がビリビリする程の魔力を感じる
これはっ…
シャルティア殿が発しているのか!
私は恐怖を覚えた
この膨大な魔力もだがなにより…
シャルティア殿の表情に
目には憎悪、恨み、怒り、悲しみ…
そのような暗いドロッとした感情が渦巻いている
なのに……
とても美しい笑顔だった
「壊した理由なんてどうでもいいんです…アイツらは己よりも非力な村人を殺した、ボクの大切な人たちを奪った…唯一を奪った……………なら、仕返ししなきゃですよね」
この者は一体どのようなものを抱えているのだろうか
こんなにも大きなものを小さな体で…
私は知ってる
この大きなものを私は知っている
中身は違うが似たようなものを……
「シャルティア、抑えろ」
「え?」
「魔力が暴走している」
「ごめんなさい…」
「いやいい」
父のおかげでシャルティア殿の魔力は収まった
このままだと私は圧し潰されていた
大きなシャルティア殿の感情に…
父とシャルティア殿は何かを話しているようだが私の耳には入らなかった
「クリス」
「……」
「クリスティル、現実にもどれ」
ハッ……!
あれ……私は…
「申し訳ありません、父上」
「お前の言いたいことは分かる。あの者は大きなものを抱えている。我らには理解できぬ程の大きなものを」
「父上?」
「だから見ていろ……いつか壊れてしまう」
父がそこまで気にかけるとは…
いや、私にも少し理解はできる
あの者は放っておけない
あまりにも危険すぎる
「はい、分かりました」
父上には何が見えているのだろうか
私にはまだ父上には追いつけない
◇◆◇
シャルティア殿が来て一月がたった
シャルティア殿と会う機会は少ないが、話すときはなるべく自分を隠さずにしている
シャルティア殿付きのメイドに邪魔をされるが…
そんなある日、事件が起きた
父に呼び出され向かったのだが
「シャルのことだ」
シャルティア殿のことか…
ん?いつからシャルと呼び出したのだろうか
「拐われた」
「・・・え?」
「シャルの食べ物に毒を盛られていた。体に害はなく意識を失う程度だ。おそらく睡眠導入剤の類だろう」
「シャルティア殿は今どこに」
「分からん。今捜索隊を出している」
なぜ誘拐された
この城の者以外はシャルティア殿のことを知らない
それに知っている者のほとんどはシャルティア殿にいい感情を持っていない
おそらく内部の者の犯行だろう
あんなにつらい思いをしてきたのにまた………
◇◆◇
結局捜索隊を出しても見つからなかった
そんな日が続いた
父は上層部の者を呼び出し会議をはじめた
「余は近衛をだそうと思う」
「近衛、ですか」
近衛…
近衛は皇族に絶対的な忠誠を誓う者たち
皇族のための騎士たちだ
普通子供一人のために近衛などださない
重大なことでないと…
だがその子供は錬金術師
この世界で唯一の存在
この場に錬金術師の大切さ、そして恐ろしさを理解できない者はいない
たとえ錬金術師だと信じていなくても………いや
この場に信じていない者などいないか
この者たちは父を崇拝するような人たちなのだから
「ですが居場所が発見されていません」
「せめて大体でも居場所が分かれば…」
たしかにそうだ
この国は広い
誘拐された日から考えてそこまで離れてはいないだろうがそれでも範囲は広い
そこを探すとなったら非効率極まりない
すると父がつけている見覚えのない指輪が光りだした
『帝王様、聞こえてる…?』
シャルティア殿!?
どこから声が…
声の聞こえる方を見ると父の指輪からだった
「シャルか!?今どこにいる」
『分からない。閉じ込められてる』
「大丈夫なのか?」
『うん…』
無事か、よかった
しかしどこにいるのか…
『その鉱石、GPSになってます』
「GPS…?」
なんだそれは…
『発信機、どこにいるか分かる』
「そうか、分かった。明日絶対に助けにゆく」
それを最後に通信が切れた
同時に指輪から小さな光る紙?のようなものがでてきた
宙に浮くそれは国の地図が映っていた
そして光る赤い点が
「この赤い点滅の所か」
「遠くはないですね」
「ん?ここはたしか、奴隷商の…」
「あぁ、元アジトだな」
「明日救出に行く…いいな」
「「「はっ」」」
父は今すぐにでも助けに行きたいのだろう
だが人一人でも救出には準備に時間がかかる
だが、これで救出する目処がついた
私も同行を許可してもらい準備を始めた
今回はこれまでと比べて文字数が多いです
読みにくいですよね
本当にすみません……




