表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/9

弔辞

 霜田さん、私の教え子であった君の訃報を受け取った私は、すぐには信じることはできずにしばらくの間、茫然とするばかりでした。君の訃報を受け取る前、私はもうすぐ始まる学校の準備をしていました。夏休みが終わり生徒たちが皆元気に投稿してきてくれるのを、夏休みの思い出を話して聞かせてくれるのを本当に楽しみにしていました。生徒たちの顔を思い浮かべ、何をしているのだろうかと思いを馳せました。そのため君の訃報を聞いた時はにわかに信じられず、本当なのだろうかと何度も自問自答しました。

 霜田さん、君はクラスから、いや学校中の皆から好かれる人気者でした。誰にでも親切で成績も優秀で、それを驕らず皆に平等に接していましたね。君の死によって悲嘆と哀惜の念に打たれない者はありません。また17歳まで大事に育ててこられたご両親のお気持ちを思うと慰めの言葉も見つかりません。しかし、一番に悔しくて無念なのは君だと思います。どうか今は安らかにお眠りください。

 さて、君が私に強い印象を与えた出来事がありました。それはあなたが高校1年の頃の文化祭のことです。高校に入ってすぐの学級会ではクラス委員と文化祭実行委員を決めなくてはなりませんでした。しかし高校に入学してまだ間もない生徒たちは周りの様子を伺い、誰も立候補しようとしませんでした。そんな中、誰もやりたがらないのならとおずおず手を挙げたのが霜田さんでしたね。クラス委員と文化祭実行委員の兼任は学校で禁止されていたので、君には文化祭実行委員をお願いしました。私は最初君に文化祭実行委員が務まるのかと不安に思っていました。普段から君は自己主張する生徒ではなく、どちらかというと皆の話の聞き役に回ることが多い大人しい生徒だったからです。何かトラブルがあれば早急に対処できるようにと当時はハラハラしながら見守っていたことを覚えています。

 しかしそんな私の心配は無用でした。

 君はその持ち前の穏やかさでクラスの意見を聞き、しっかりとまとめ上げました。喧嘩にならないよう公平に意見を取り入れていたその手腕は本当に見事なものでした。君が指揮者を務めた学内合唱コンクールでは見事に優秀賞を受賞しましたね。1年生が賞を受賞するということは本当に珍しく皆で大いに喜び合いました。また模擬店では創意工夫商品賞を受賞しましたね。あの限定発売だった、紫キャベツの塩焼きそばは武田さんと関谷さんの意見を君が組み合わせたものだったと聞きました。文化祭が大成功を収めた裏には、君の尽力があったのですね。

 君は元々人気のある生徒でしたが、文化祭を境にさらに周りに人が集まるようになりましたね。それでも決して驕らず、君はいつも誰にでも親切でした。今年の文化祭代表が君ではなかったことを私は少し残念に思っていましたよ。

 そんな君が17歳という若さで私やご両親より先に逝ってしまうとは、無念としか言いようがありません。ご家族のお嘆きを思うと、おかけする言葉も思い浮かびません。あまりにも早すぎる君の死は、同級生にも衝撃を与えています。今日も君を悼みにたくさんの生徒たちが参列しています。どうか安らかにお眠りください。

 冥福を祈り、お別れの言葉とさせて頂きます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ