鳥の急襲~青い涙~誠実なデンデン~ナメオの毒
「とりあえずさ、元の森に戻ろうよ」
デンテンが言います。
ナメオはお家をまだ諦めていませんでしたが、海に行くのは懲り懲りだったので、素直にデンデンに従い歩き始めました。
ナメオの派手な青い身体は、山の中でも草原でも森の中でも、どこに居てもとても目立ちます。
大きな鳥達が集まってきました。
急いで石の下に隠れようとしましたが、捕まって引っ張り出されてしまいました。
「コレは空の色だな」
モズが言います。
「コレは水の色だな」
トンビが言います。
「コレは毒の色だな」
カラスがナメオを突いて言いました。
「食べられるモノではなさそうだな」
カササギが残念そうに言いました。
鳥達は去っていきました。
「ナメオすごいなぁ。美しい色だと食べられることも無くなるんだねぇ」
殻のお家の中に隠れて、目だけ出して覗いていたデンデンが出てきて言います。
「食べられなくても、あんな怖い思いは嫌だっ!! デンデンはお家に隠れてたから、鳥に突かれることもなかったじゃないかっ! ぼくだってお家に隠れれば、突かれることも無かったはずだよっ」
ナメオは叫びます。
「僕はっ殻のお家が欲しいんだっ!!」
ナメオは泣き始め、ポロポロと青い涙を流しました。
ナメオの青い涙が草の上に落ちると、草がくたくたと萎んでしまいました。
「………??!!!! なにがどうなったの?」
「僕の涙で草が枯れちゃったの? 僕はホントに毒の身体になっちゃったんだ!!!」
ナメオはさらに大声で泣き始め、涙もたくさん流れます。
「ナメオ、大丈夫だよ泣かないで。毒じゃ無いよ。ずっと僕がナメオを抱きしめて、ここまできたけど全然平気だったよ!」
デンデンは躊躇なくナメオを、ぎゅうぅっと抱きしめました。
ナメオの涙が、デンデンに降りかかります。
「ほらね? 全然平気! ねっ…」
デンデンはゆっくりと目を閉じて、くったりと崩れ落ちて、萎びた草の上に横たわってしまいました。
「デンデンっ!! デンデン…デンデンが僕の毒で死んじゃったっ!! イヤだよ! 起きてよ、デンデンっ」
デンデンに毒の涙がかからないように、平たい石のところまで這っていき、ナメオは涙が枯れて身体が青黒く縮んでしまうまで泣き続けました。
平たい石は、ナメオの涙で真っ青に染まってしまいました。
どのくらい時間が経ったのでしょう…夜が来てまた朝が来ました。