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後悔~ナメオの生還~見解の相違

 デンデンは青黒い小さな塊を抱きしめて、泣きながら元来た道を戻り始めました。

「僕がお家が探しに行こうと言ったから…僕のせいでナメオはこんな姿になってしまったんだ」

 ナメオにポロポロ涙が降りかかります。


「ごめんよナメオ。謝っても謝りきれない。どうすればいいんだろう…」

 さらに涙がポタポタと硬い塊に落ちます。


 泣きながら歩き続けたデンデンは、ふと小さなナメオの塊が、なんだか少し柔らかくなって大きくなったような気がしました。

「ナメオ? ナメオ?!」

 返事はありません。気のせいなのかな…デンデンの涙は止まりません。


 ずっと泣きながら歩き続けていたので、涙は枯れ果てて、もう出なくなってしまいました。デンデンも少し萎びて小さくなっています。

 でもナメオの塊は気のせいでは無く、確実に柔らかく大きくなってきていました。


 デンデンは湧水が流れ出て苔生した岩場を見つけて、湿った苔の上で初めての休息を取りました。

 清らかな水が身体中に染み渡り、流した涙分が補給されていきます。デンデンはまたポロポロ涙が出始めてしまいました。

 泣きながらナメオの体も苔の上にそっと横たえます。

「ナメオ、ナメオ、元に戻って! お願いだよ!」


 デンデンが呼びかけると、ナメオの身体がピクリと動きました。

「ナメオ!?」

 青黒い小さな塊は、水を吸ってゆっくりとゆっくりと大きく柔らかくなっていきました。だんだんとナメオの姿に戻っていきます。

 すっかり元の大きさに戻ったナメオは、もぞもぞと動き始めました。

 デンデンは今度は嬉しくて涙が止まりません。


 ふぅっと息を吐いて、ナメオは起き上がりました。

「アレ? ここはどこかな? なんかとても気分が良いや」

「ナメオぉ〜良かったぁ〜!!」

 泣き顔のデンデンが抱きついてきました。


「どこも痛いとこ無い?」

「大丈夫、どこも痛くないよ。でも僕はどうしてここに居るの? 海に飛び込んでからの記憶が無いんだ…僕は溺れて死んだんじゃ無いの?」

 ナメオは思い出して、ちょっと嫌な気分になりました。


 デンデンは、ウミウシがナメオにした事を話しました。

「それでね、ウミウシの言ってた魔法とプレゼントの意味が分かったんだ、今!」

「生き返った君のその姿だよ! とても美しい青い姿なんだよ。ウミウシと同じ、空より青い海より碧い美しい色!」

 デンデンは、うっとりとナメオを見つめました。


「ええぇ? 僕はあのウミウシと同じ色になったの? 僕には自分の姿、見えないもの…分からないや」

 ナメオはあまり嬉しくはありませんでした。

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