旅立ち~海に到着~お家探し
「ねぇナメオ、そんなにお家が欲しいなら探しに行こうよ。僕も一緒に探しに行くよ」
デンデンは、まだぐずぐず泣いているナメオを連れて歩き出します。
近くの木の上で見ていたリスが声をかけます。
「お家が欲しいなら私みたいに木のウロに住んだらいいんじゃないかしら?」
ナメオは首を横に振ります。
「木のお家にしたら背負えないから、どこにも行けないよ…」
リスは肩をすくめて巣の中に入ってしまいました。
森の広場でダンゴムシに会いました。
デンデンが聞きます。
「お家がもらえる場所を知りませんか?」
「おらはお家は無いけど、こうやって丸くなれば、おめぇの家より無敵だべ」
ダンゴムシはゴロゴロと転がって行ってしまいました。
「あんな風に丸くなっても僕の身体はフニャフニャ柔らかいから、お家の代わりにはならないや」
ナメオは暗い気持ちになりました。
森を抜けて山を越えて、2人は進んで行きます。そして大きな大きな海に辿り着きました。
するとどうでしょう! デンデンのお家に似たお家がここにもあそこにも、たくさんあるではありませんか!
「ああっ! やっと僕のお家が手に入る!」
ナメオが一つのお家に入ろうとすると、入り口の扉が閉じていて入れません。
これは誰か住んでるお家ですから、ナメオのお家にはなりません。
「これだけたくさんあるのだから、一つくらい空いてるお家があるかも知れないよ。順番に探していこう」
デンデンはしょげてるナメオを慰めて進み始めます。
「やぁ、君は陸の仲間だね」
デンデンに似たお家の貝が声をかけて通り過ぎて行きました。
「僕はお家が無いから仲間じゃ無いんだ」
ナメオは悲しくて泣きそうです。
「ナメオはお家が無いだけで姿は僕やさっきの貝と同じだもの、仲間だよっ」
デンデンが慰めます。