お家が欲しい
ナメオはデンデンのお家が羨ましくて仕方ありませんでした。
デンデンは鳥に嘴で突かれても、殻のお家にしっかり篭っているので鳥は諦めて行ってしまいます。
ナメオは大きな鳥に食べられないように、石の下に隠れなくてはなりません。
葉っぱを背負ってお家の代わりにしたけれど、歩くとひらひら靡いてしまい、お家の代わりにはなりません。
「いいなぁいいなぁ。お家はいいなぁ」
ナメオはデンデンに聞いてみました。
「デンデンはどうやってお家を手に入れたの?」
「僕は生まれた時からお家を背負っているんだよ。きっとお家ごと生まれてきたんだね」
デンデンはニコニコして答えます。
ナメオは思います。
デンデンはお家以外は僕と同じ姿なのに、僕はなんでお家と一緒に生まれてこなかったんだろう。
神様が忘れちゃたのかな?
僕はなんて運が悪いんだろう…
僕もお家が欲しい!!
「ねぇデンデンちょっとの間、僕にお家を貸してよ。一度でいいからお家の中に入ってみたいんだ」
「ごめんねナメオ、お家は僕の身体にくっ付いてて全部出ることは出来ないんだ」
「ケチっ!! お家を独り占めなんて、ずるいぞ! いいから出てこいよっ」
ナメオはデンデンをぐいぐい引っ張りました。
「痛い痛いっ!! お願い止めて!」
デンデンは泣きながら叫びました。背中が伸びて今にもちぎれそうです。
「本当にくっ付いてるんだ…」
ナメオは絶望して泣き出しました。
デンデンと2人しばらく泣き続けました。