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5 ギルド登録と能力測定をしました

 ギルドに向かう道の途中。


「疑問だったのですけど紙飛行機で私が右か左かどちらに避けるかわからなくないですか?」


 クルルが先程の話を歩きながら口にした。

 それに対してリリスは苦笑いした。


「紙飛行機じゃなくて太い丸太がクルルの右側に飛んできたらクルルは左に避けるよね?ゼノンの矢は紙飛行機じゃなくて丸太の方が分かりやすいと思う。短い間に何発も放って避ける方向を限定させてるんだよゼノンは。だから相手の行動を全て誘導できる。はっきり言っておかしいよゼノンは」


 そう言われて言い返す。


「だよなぁ。俺の戦法はやっぱりおかしいよね。わざわざこんな回りくどい事しないと倒せないなんてさ。その時点でやっぱり無能な気がする」


 俺ももっとビュン!と矢を放って直接倒したいんだけどそれが出来ないんだよな。


「弱い支援職はこれだから困るんだよね」

「おかしいってそういう意味じゃないよ?!」

「え?そうなの?」

「あ、あのさぁ?!弓って1発1発に時間をかけてしっかり狙いを付けて放つ人が大半なんだよ?!それを短時間に連射って化け物だよ?!しかもさっき1度の引きで10発くらい放ってたよね?!」


 そう言われてもずっとやってきたことだから分からない。

 そんなに凄い事なのかなぁ?


「でも俺これで敵倒したことないんだよね」


 全部手柄はガバルのものだし。

 そもそも俺に活躍することは許されなかったしね。


「まぁいいや。俺はギルドに向かうけどリリスはどうする?」

「私は向こうの店で装備でも整えておくよ。終わったら声をかけて欲しい」

「分かった」


 そう返して俺はクルルを連れてギルド前にやってきた。

 中に入るとカウンターに向かう。


「ギルド登録は初めてですか?」


 女性の問いかけに答える。

 初めてであること、横の少女も一緒に登録したい、ということを。


「では、こちらを御記入ください」


 俺は女性に言われた通り記入を済ませた。


「では、こちらへどうぞ。能力測定を行います」


 その後カウンターから出てきた女性に連れられて俺達は別の場所に移動することになった。

 ギルドの裏手から出て前にはダミー人形が置かれている試験場だった。


「おいおい、新規だってよ」


 その時声が聞こえた。

 そちらに目をやると俺たちの後ろで男3人がこちらに目を向けていた。


「よう。お前ら新規か?」


 その内の1人が声をかけてきた。


「さ、サイモンさん。今からテストなので」


 女性はそう言っているがサイモンと呼ばれた男は意に介さずに剣を抜いた。


「へっへっへ。まぁ見てな坊主」


 そう言ったサイモンは俺たちの見ている前でダミー人形に突っ込んでいきそして

 ガーン!!!


 一撃叩き込むとダミー人形の上にウィンドウが表示される。


 ダメージ425!


「まぁ、こんなもんってわけだ」


 ドヤ顔で戻ってきたサイモンは続ける。


「ダメージ100未満は人間じゃねぇぞ。それから坊主?お前みたいな弱そうな奴は冒険者なんてならなくていいぞ」


 ガハハと笑って去っていくサイモン。


「今サイモンさんがやった通りあの人形を叩いてダメージを測定します。制限時間は30秒です」


 彼女がそう説明したあとにクルルが手を挙げた。


「わ、私が先にやります!」

「武器はお好きなものをどうぞ。こちらでも用意しておりますので」


 そう言って女性は武器の詰まった樽を指さすとそれに向かうクルル。


「これにします」


 そう言って取り出したのはナイフだった。


「ではスタート!」

「やー!!!!!!」


 駆けていったクルル。


「終わりです」


 そして終了。

 表示されるウィンドウにはこうあった。


 ダメージ25


「100いきませんでした」


 しょんぼりしながら戻ってくるクルルにサイモンが笑いながら声をかける。


「おいおいおい30秒もあって25?俺なら4000は出せるぜ。お前初心者とかいうレベルじゃねぇよ?女。冒険者なんてやめちまえ。お前がなってもゴブリンに殺されて終わりだ」

「な、は、初めてですもん!仕方ないですもん!」


 そうやって言い返すサイモンだが面白いものを見るような目で彼女を見る。


「お前は男のおもちゃにでもなってろ。そっちの方が向いてるからよ」


 ぎゃはははと下品に笑うサイモン。

 それを見て泣きそうになるクルル。


「サイモンって言ったな?」


 その間に立って俺がサイモンと話す。


「あ?」

「お前のダメージは425だったな?俺がそれを超えれば俺の勝ちだ。そして勝ったらクルルに謝れ」

「やれるもんならやってみろよ」


 鼻で笑うサイモンに軽蔑の目をやってから俺は手持ちの弓を取り出した。


「おいおい!あいつ初心者が持つような弓でAランク冒険者の俺に挑戦しようって言うのかよ!」


 ゲラゲラと笑うサイモンの声が聞こえるが無視して開始位置に立つ。

 ノーコンの俺にどこまでやれるか分からないが本気でやらせてもらおうか。


「スタート!」


 女性の合図と共に俺は弓を放つ。

 ビュン!ビュン!ビュン!ビュン!


 矢がひたすら飛ぶ音だけが響く。


「お、終わりです!」


 その声で丁度放つのをやめ、ウィンドウに目をやった。


 ダメージ85,880

 New Record!!


 備考

 命中率100%

 ヘッドショット率100%


 意外と出たな。


 訪れる静寂。

 響くのは俺の声だけだった。


「約束通り謝れよ?それから30秒あって4000なんて冒険者やめた方がいいんじゃないか?」


 ただ静かに告げる。

 ついでに先ほどクルルをバカにしてきた事へのお返しもしておく。


「な、何だよ。8万って……」


 俺のスコアを見て後ずさるサイモン。

 そして


「な、何だよこのバケモン!」


 そうして走り去っていった。


「おい、待てよ」


 俺の声はとうに聞こえない位置まで走っていっていたサイモン。

 仕方ないな。


 そう思って女性に目を向けた。

 とりあえず次のステップに進もうと思ってだ。


「な、何これ……」


 しかし女性も固まっていた。


「もしもーし?」


 俺は目の前で手をブンブン振ってみた。

 それでやっと反応をくれる。


「あ、あなた何者なのですか?こ、こんなのおかしすぎますよ」

「そのおかしいってダメージが出てなさすぎるって意味だよね?やっぱり俺は冒険者にはなれないのかな」

「ぎゃ、逆ですよ?!このテストの平均はSランク冒険者が本気を出しても1万程度なんです!貴方はEランクの武器で大幅に上回っているんです!!ありえないことですよ!」


 そう言ってまた「ありえない」と繰り返し呟く女性を見てからクルルに目をやった。


「す、すごいです!ゼノン様!」

「そんなことないよ」


 そう言ってみると


「えぇ?!私が約3500人いてようやくゼノン様に追いつける数字じゃないですか?!これ?!」

「でもクルルは初心者だしさ」


 実際のところ俺は腐っても経験者だしクルルは初心者だ。

 これくらいの差が出て当然だと思うのだけど。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 有名作品のネタ使いたかったんだろうけど、さすがに数値として現役冒険者より圧倒的に高いものが出てるのにその発言はキモすぎるな。
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