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 俺達はフレイムドラゴンの居場所を聞いて生息地である火山にやってきていた。

 そこでクルルが口を開く。


「ほ、本当に行くのですか?フレイムドラゴンはとても強いと聞きましたけど」

「行かないと。倒してディオンに喋らせないといけない」


 本当のことを聞き出さないといけない。

 そう思い頂上まで昇ってきた。

 しかし


「おい!フレイムドラゴン!出てこい!」


 シーン。

 フレイムドラゴンとやらはいない。


 まさか偽の情報か?

 そう思っていたら突如火山の上にデカいドラゴンが現れた。


「フレイムドラゴンは何処?!」


 俺はそのドラゴンに向けて矢を放った。

 氷属性の矢だ。


 それはさっき現れたドラゴンに当たりドラゴンが落ちてきた。

 この火山にはすごく沢山のドラゴンがいた。


 大きいのも小さいのも。

 そしてこいつも恐らくその中の1匹に過ぎない。

 雑魚だ。


「あ、あのゼノン様?」

「どうしたの?」


 何処からフレイムドラゴンが現れてくるか分からない。

 俺は警戒しながら振り向いた。


「あ、あのフレイムドラゴン倒しましたよ?」

「え?クルルが?!凄いじゃないか!」


 一体いつ倒したのだろうとそう思って聞こうとしたが


「い、いえ!私では無いです!」

「じゃあ誰が?」

「ぜ、ゼノン様ですよ?!」

「え?俺?フレイムドラゴンなんか倒してないよ。ここまで倒してきたのは全部雑魚ドラゴンだよ?」


 そう聞き返したらルゼルが口を開いた。


「今のフレイムドラゴンだよ?」

「え?」


 俺はそう言いながらさっき倒したドラゴンに目をやった。

 すると表示されるウィンドウ。


───────

フレイムドラゴン

死亡

───────


 と表示されて驚く。

 え?今のがフレイムドラゴンだったんですか?!


 そう思いながら俺は皆に目をやった。


「な、何か倒しちゃったみたい」

「な、なぁゼノン」


 そこにリリスが声をかけてきた。


「ゼノンって矢返しの無効化なんて出来るの?」

「矢返し?」


 そう聞いてみたらリリスが口を開いてくれた。


「フレイムドラゴンはその体に炎のバリアをまとってるんだ。それに触れた矢は自動的に反射されるようになってて。それが矢返しって言われてるみたいなんだけど」

「え?そうなの?何かモヤモヤしてる炎があるなぁって思ってそこを避けて通しただけだよ?1ミリくらいの隙間かな?」


 俺がそう言うと


「い、1ミリ?!!!!」


 リリスが驚いた。


「え?うん。1ミリだね」

「い、1ミリなんてどうやって通すんだ?!」

「え?ふ、普通にだよ?」


 どうしたんだろう?

 え?普通に通せるんだけど。


 そう思って待っていたら


「あ、あのねゼノン。普通はそんな隙間通せないんだよ?」

「え?そうなの?」

「そ、そうだよ?!」



 そうしてフレイムドラゴンを討伐しギルドへ戻ってきた俺たち。

 そこでディオンを待っていた。


 カランカラン。

 音を鳴らしてギルドに入ってきたディオンはこの前座っていた隅っこのテーブルに向かおうとした。

 その前に


「ディオン」


 俺はディオンを呼び止める。

 その瞬間不快そうな顔になった。


「何かな?子供と話してる時間はないんだがね」


 そう言っている割に先に待っていた女性達の呼び声には快く答えていた。


「前の約束のこと覚えてるか?」

「約束?そんなのしたっけ」


 本気で忘れているような顔をするディオン。


「あのさ?僕男の顔は覚えない主義なのよ」


 そう言うディオンにフレイムドラゴンの素材を見せつける。


「でも、俺は覚えてる。フレイムドラゴンを倒してきた。話は聞いてもらう」


 俺がそう言うと


「お前……あの時の生意気なガキか」

「そうだよ。さぁ、話を聞かせてもらうよ」


 俺はそう言ってアネモネを呼び付けた。

 証人だ。


「はぁ……分かったよ。まさか本当に倒してくるとは思わなかった」


 そう言いながらディオンがいつもの席に俺を案内した。


「で、何?僕に何の用さ?何?パーティを組みたい?ならいいよ。男でも戦力は歓迎さ」

「いや、そんなことじゃないよ」


 そう言って俺は小声で口を開いた。


「ケルベロスの素材が欲しいんだが売ってはくれないか?」

「金貨100かな」


 そう答えたディオン。

 こんな簡単にボロを出すとは思わなかったな。


「何だ。ちゃんと狩れてるじゃないか」


 そう言って立ち上がるとディオンの顔が青ざめる。


「ギルドには虚偽の報告をしてたんだね。お前の行動は見させてもらったけどこの前失敗したと報告した依頼以外でお前がケルベロスを倒せた状況はないよ。だからお前がここで倒していないとケルベロスの素材は売れない」


 俺がそう言うとザッザッと音を鳴らして近衛兵が左右から現れてディオンを拘束した。


「つまり、倒せてるのに倒せてないと嘘をついた」

「ま、待て!」


 拘束されたディオンがそう喚いているが無駄だ。


「ほ、僕はただ素材を売っただけだ!」

「虚偽の報告は?」

「ぐっ……」

「俺たち冒険者は皆の信頼で成り立ってる。それを損なうような事があってはならない。だから起きたことは正直に報告すべきだったね」


 そういった後にもう一度口を開いた。


「ガバルに金を積まれたんだろ?」

「あ、あぁ。素材を金貨200で買うって言われて。ついでにランキングも下がるようにすれば追加で払うって言われてさ」

「きちんと報告していれば良かったのに。残念だよ」


 そう言うとディオンは兵士に連れていかれた。

 素材の売買は問題ではない。

 嘘の報告が不味かったのだ。

 あいつはこれからギルドの制裁を受けることになるだろう。


 冒険者を辞めさせられるのかどうなるのかは分からない。

 でも何らかの制裁を受ける。


 さて、助け舟もなくなった今ガバルはどうするのだろうか。


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