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24 きな臭いです!

 新しく入手したアイテムを早速使ってギルドに戻ってきた俺たちだが異変が起きていた。


「ガバルのランキングが上がった?」


 今のランキングではガバルのランキングが12位から10位に戻っていた。

 そういえば前回の変動から少し違和感があったが。


 だって今まで1→5→10→12と急に落ちる順位が減ったからだ。

 そして今回のこのランキング上昇。


 何かおかしい。


「アネモネ。何か変じゃないか?」

「え、えぇ変です」


 困惑するアネモネ。

 やはり彼女もおかしいと思っているらしい。


「そ、そういえば急にランキングが落ちたパーティがあるんです」


 そう言って彼女はそのパーティ名を教えてくれる。


「この黒き疾風というパーティなんですけど前は8位だったのに急に12位に落ちてるんです。時期的に何か関係がありそうですけど」


 一応聞いてみるか。

 一流のパーティと言えど不慮の事故などでメンバーが欠けてしまえばこんな事になる事もあるかもしれないからだ。


「まさかメンバーが欠けるような大打撃を受けた、とか?」


 そうやって聞いてみたが首を振る彼女。


「いえ、違います。ほら、あちらに」


 そう言ってアネモネは指で隅っこのテーブルを指した。

 そこには黒い髪の男が座っていた。

 遠目だがピアスを付けてチャラついている。かなりのイケメンであることが伺えた。


 その周りには立っている女の人が複数人。

 どうやら話をしているようだが。


「あれが黒き疾風のパーティリーダー。ディオンさんです」


 そう言ってくれたアネモネ。


「今は彼1人ですけどいつもはパーティ全員で来ていますよ。前回来た時に見ていたのですが誰も欠けていませんし怪我をしている様子もありませんでした。ですが、ココ最近の依頼は失敗続きですね」

「失敗続き?」

「はい。黒き疾風はこのままいけばTOP5に入れるだろうと言われてたパーティだったんですけど急にこうなってるんです。理由は受けた依頼を失敗しているから、ですね」


 見てくださいと言って資料を出してきたアネモネ。


「この10件の依頼。全て失敗しています」

「妙だね」


 TOP5に入れるくらいの実力があるならギルドにある程度の依頼をこんなに失敗する訳がないと聞いたことがある。

 それを失敗している。


「ガバルのここ最近の動きは?」


 そう聞いてみたら


「えーっと。素材の納品ですね。それで冒険者ポイントを溜めていましたよ」

「何の素材を持ってきた?」


 彼女は素材を口にしていく。

 それとディオンが失敗したという依頼のモンスターを照らし合わせていく。


 結果


「同じじゃないか」

「えぇ?!」


 少し大きな声で驚いたアネモネだったが読み上げた素材はディオンが本来討伐するはずだったモンスターのものだった。

 なるほど、大体検討がついた。


「ディオンが討伐したモンスターの素材をガバルに流してる。それをガバルが討伐の証拠として持ってきてポイントを溜めてるんだ」


 現にこのリストにあるモンスター達はガバルに倒せるものではない。

 こんな短期間であいつらが倒せるような努力をするとも思えないし。


「確認してくる」

「ぜ、ゼノン様?!」


 引き止めてくるアネモネだが俺は答えずにディオンの方に向かった。

 こんなこと許せない。


 冒険者ポイントの獲得は冒険者ランクの維持にも繋がる。


 自分の実力以外でランクを維持してしまえばランクだけ見て指名で依頼をする人が困るからだ。

 だってクリアできないクエストを無駄に依頼することになってしまうのだから。


「ディオンだよね?ちょっといいかな?」


 俺はディオンの向かいに座ってそう声をかけた。

 彼は俺を見るなり不機嫌そうな顔をした。


 女の人達に目をやってから俺に目を向けた。


「君失礼だね。僕は今のこの子達と話してるんだよ?目が付いていないのかな?あ、この状況を理解するだけの頭もないのかな?」

「あ、貴方が1番失礼じゃないですか!」


 その言葉を聞いて反論するクルルだがそれを見てクスクスと笑う女の人達。


「全く礼儀がなってないのですわね」

「大声なんて出しちゃってはしたないわね」


 そう言われて拳をぐっと握りしめるだけのクルル。

 でもそれに対して半笑いで答えるディオン。


「まぁまぁ、僕も悪かったよ。君たちの礼儀のなさを考えてなかったんだからさ。いやぁ頭の悪さを考えられなくてごめんね?」


 完全にバカにしている態度のディオン。


「それでどうしたのかな?僕は迷子センターの職員さんじゃないよ?」


 くすくす笑ってそう口にするディオン。


「話がしたい」


 単刀直入にそう言ってみたら


「僕と話がしたい?笑わせないでよ。君たちみたいなのと話して僕に何のメリットがあるんだい?僕は今忙しいんだよ」


 そう言って周りの囲いと話し始めるディオン。


「ほら、こんな風にレディー達と話すのに忙しいんだよ。僕は君みたいなのと話してる時間はないの」


 そう言ってくるディオン。

 現状まともに取り合うつもりはないようだな。


 だが少しだけ俺たちに視線を戻してこう口にした。


「君たちが僕と話すだけの価値がある。とそう証明出来るなら話してあげないこともないよ。見ての通り僕はこんな風に予約がいっぱいだ。でもその予約を蹴ってでも話したいと僕に思わせることが出来たらね」

「分かった」

「話が早いじゃないか。なら、フレイムドラゴンを討伐してきてくれないかな?」

「いいよ」


 直ぐに返事を返した。

 すると


「くすくす。倒せるといいね」


 ディオンはそう言って笑っているが周りの女性達が止めに入った。


「そ、そんなの無理に決まってますわよ?!こんな子供たちがフレイムドラゴンの討伐なんて!」

「そ、そうですわよ?!Sランクのモンスターでも最上位に位置するフレイムドラゴンを討伐するなんて!こんな子供達に出来るわけが!」


 ディオンはその声を受けて笑う。


「そうだよ?勝てないのなんて分かってるよ。もう鬱陶しいから死ねって言ってるんだよ」


 べーっと舌を出して馬鹿にしてくるディオン。

 こいつ……だが


「その言葉忘れるなよディオン」


 俺は聞き耳を立てるためにか近くにいたアネモネに目をやった。

 巻き込むようで悪いが証人になってもらおう。


「今の会話聞いてたね?アネモネ?」

「は、はい。聞いていました」

「彼女が証人だ。その言葉忘れるなよ」


 ディオンにそう言って立ち上がるが相変わらずくすくすと笑っている。


「忘れないよ。その代わり早く死んでね」


 笑顔でそう口にするディオンだった。

 絶対倒してやる。



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― 新着の感想 ―
[良い点] 読みやすくて面白いです。文章の長さがちょうど良い。 [気になる点] 特にありません。 [一言] 介護という表現をどうこう言う人がいるみたいですね。ファンタジー世界の話にまでそんなことでって…
[気になる点] 何この謎展開 一言ギルドの受付嬢にでも懸念を伝えれば良いだけじゃね?普通にギルドが対処する問題でしょこの手の問題って そもそもなんでいつまでもウンコの事気にしてるの?
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