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21 え?俺って非常識なんですか?

「やった!倒しました!」


 ボスであるルーラーを撃破した俺たちは勝利に浸っていた。

 しかし気になっていたことがある。


「ねぇ、ルゼル」

「ん?」


 ルゼルが返事をしてくれたので聞いてみることにした。


「ルゼルはサーチ魔法は使えないって言ってなかった?」

「あーあれね。使えないよ」


 そう言うルゼル。

 ん?おかしくないか?


「あのドラゴン人の言葉が分かるみたいだから言ってみただけだよ。絶対防御の内側にサーチ魔法を発生させるって言ってみたんだけど狙い通り外に出てくれたの」


 なるほどな。そういうことか。

 要ははったりだったわけだ。


「そういうはったりも大切だよ。敵を揺さぶるのも大事だよ」


 そう言って笑ってみせる。


「わっ!褒められた!嬉しい♡」


 喜んでくれるルゼルだが俺も嬉しい。

 そういうはったりを使えるのは大事なことだから。


 そう思いながら俺は未だ残っている絶対防御に向けて矢を数発放つとバリアは解けた。


「あそこでルゼルが動いてくれなかったらこんな風に解除しなきゃいけなかったからね」


 そう言ってみせると


「え?絶対防御って解除できるの?」


 と聞いてくるリリス。


「え?出来るけど」


 そう言って俺は説明する。


「絶対防御は時間でも消えるけど99,999ダメージ与えれば解除できるよ」

「え?今数発しか放ってなかったよね?あ、あれでそれだけのダメージを?」


 そう聞いてくるリリス。


「いや、今のは矢が変形するようになってるんだ。例えば」


 俺が1本の矢を作り出して右手で持ち左手に当てた。


「これなら1ヒットで1ダメージだけど」


 俺は矢をその状態で変形させた。

 すると先端が髪の毛のように細かく分かれて大量の槍の集合体になる。


「これで大体1万ヒットくらいだからだいたい10発も放てば削り切れるよ」


 そう説明すると


「え?何これ。こんな技初めて見たのだけど」


 口を開けて呆然とした様子で呟くリリス。


「わ、私も。何これ。こんなこと出来るの?!」


 ルゼルがそう聞いてきたけど


「できるよ?」


 ちなみに、と言って矢を1本だけ天井に向けて放つ。

 それが落下し始めたその時


 ドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!


 1本の矢が細かく分かれて幾万の矢となって辺りに降り注ぐ。


「こんな事もできるよ」


 そう言うとポカーンと口を開く3人。


「え?ご、ごめん。まさか当たり前の事すぎて今更だった?」


 あ、じゃあ。と言ってからクルルにジグザグに歩いてもらってから遅い速度で矢を放つ。

 すると矢は自動でクルルを追尾する。


 勿論攻撃することはない。


「こ、こんな風に追尾させることもできるんだ!」


 俺がそう言うとまたもや3人は顔を見合せた。

 矢を消してから聞いてみる。


「あ、ごめん。普通過ぎて見飽きてつまんないかな?」


 そう言ってみると不安そうな顔をしてクルルが口を開いた。


「あ、あのリリス様とルゼル様は分裂する矢とか。追尾する矢とか見たことありますか?」

「良かった。見たことないの私だけじゃないんだな」


 そう言って胸を撫で下ろすリリス。


「見た事ある訳ないじゃん?」


 ルゼルもそんなことを言って


「で、ですよねー。って、えぇぇぇぇぇぇ?!!!!!」


 クルルが驚く。


「き、聞いたことありませんよ?!こんな矢?!そもそもこれ矢なんですか?!普通真っ直ぐにしか飛びませんよね?!分裂もしませんよね?!こ、こんなの非常識すぎますよ?!」


 え?俺の矢はするんだけど?俺がおかしいのか?

 まぁいいや。


 そう思いながらやっていなかったことをやろうと思いルーラーだったものに近付いた。

 空中にウィンドウと共に丸い水晶が現れた。


【裁定者の許可証を入手しました】


 俺がそれを取ると、ガガガと音を鳴らして先に進む通路を塞いでいた扉が開き、階段が姿を表す。

 それを見てから死体に目を戻す。


「えーっとこれをこうして」


 素材を剥ぎ取る。

 これでギルドへの証明はOKだ。


 そう思って立ち上がると改めて皆に顔を向けた。


「ありがとうみんな。ここのボスを倒せて俺は嬉しいよ」


 ここのボスはゴリ押しが出来ないため全員がきちんと動かないと倒せないボス。

 そんなボスをこのパーティで撃破出来たことを本当に嬉しく思う。


 ガバル達と組んでいたらこうすんなりは行かないしまた負けた事だろう。


「いえ、私は教わったことをやっただけですので」


 そう謙遜するクルル。

 その時だった。


「ゼノン」


 ジェイスが声をかけてきた。


「じぇ、ジェイスさん!」


 周りのメンバーだろうか?そいつらが制止しようとしているがそれを無視して俺に声をかけ続けるジェイス。


「同じ冒険者として今の戦闘は評価する」

「そりゃどうも」


 嫌なやつだが礼を言っておく。

 そうすると


「ゼノン、俺とパーティを組まないか?」

「あんたと?」

「あぁ。俺とお前が組めば最強を目指せる」


 そう言って握手を求めてくるが。


「ふっ」


 鼻で笑ってその手を弾いた。


「なっ……」


 目を見開くジェイス。

 断られると思っていなかったのだろう。


 そんな顔をしていた。


「悪いけど仲間を大事にしない奴と組むつもりはなくてね。勿論握手する手も持ち合わせていないよ」


 ワナワナと手をふるわせるジェイス。

 対して


「ぜ、ゼノン……」


 嬉しそうな顔で見てくるリリス。


「俺はあんたを認めないジェイス。お前とは死んでも組まない」


 そう言ってクルル達に目をやり俺たちは帰路を急ぐのだった。


 今回はこれ以上の冒険はしない。

 とりあえずギルドに報告、だな。

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