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13 【チームガバル視点】新メンバー(このパーティEランクじゃないの?)

「俺は思うんだよ。そもそも俺達は元々4人で行動してたよな」


 ガバルが酒場でそう口にした。


「うん」


 とディッチ。


「そうだな」


 ガランも口にしたのを見て頷くガバル。


「だから勝てないのも当たり前なんだよ。ってことで助っ人を用意した。こいよ」


 そう言って呼びつけたのは黒髪のエルフの少女だった。


「皆も知ってる通り支援に特化しているSランク冒険者のミオンだ」


 そう説明されたミオンが3人に頭を下げる。


「説明された通りミオンと言います。本日はよろしくお願いします。腕にはあまり期待しないで欲しいです」

「ミオンってあのミオン?支援職ながら各ジョブをこなせる万能のミオン?」


 そう質問するのはディッチだった。


「はい。そうだと思います。そこまで万能ではありませんが」

「これは勝ったな」


 そう言って不敵に笑うのはガランだった。

 

「だが、よく雇えたな?ガバル。ミオンは引っ張りだこと聞くが」

「なぁに。貯金してた分だよ」


 この貯金していた分と言うのは言うまでもなくロクでもない金で大体が本来ゼノンに渡るものだった。

 それを渡さず貯金と表現しているのだ。


「前払い金は説明した通り金貨3ってことで後は活躍に応じて払わせてもらう」


 そう説明するガバルに頷くミオン。


「チームガバルですよね。ここにいる全員がSランクでレベル99という話は伺っています」

「おうよ!じゃ早速デッドアビスに向かおうぜ!」


 満更でもなさそうな顔をするガバル。


 よろしくと答えたミオンを連れて一同はダンジョンに向かう。


 デッドアビス1層。


「ところで司令塔はやはりディッチさんですか?」


 そう聞いたミオン。


「ん?司令塔?」


 司令塔という言葉に納得出来なさそうな顔をしたディッチ。

 その言葉に頷くミオン。


「なるほど。皆さんは司令塔がいなくても連携出来るほどなのですね」

「お、おうよ!俺らは何たってチームガバルだからな!」

「流石ランキング一位を維持していただけはありますね。頼りにしています」


 柔らかい笑みで口にしたミオン。

 現時点でチームガバルの冒険者ランキングは1位でミオンの顔に不安げな色はない。


「そう言えば私の前任はどうしたのでしょう?」

「あぁ、使えない奴だったんでクビにしたんだよ」

「なるほど。そういう訳ですか。ならば私もクビにされないよう頑張りますよ」

「まぁ今日は初陣だ。気軽にやってくれ」

「流石ガバルさん。頼もしいです」

「おうよ!頼りにしてくれ!夜の方も頼りにしてくれていいぜ!あんた美人さんだからな!」


 それには苦笑いで返すミオン。


 そんな彼らに一体のゴブリンが近付いてきていた。

 ここに登場するモンスターシャドウゴブリンだ。


───────

名前:シャドウゴブリン

レベル:86

───────


「来ましたね。敵は一体です。あなた方の動きを観察したいので先ずは相手をお願い出来ますか?」


 ミオンが下がる。

 これは一体くらいなら3人で何とか出来るだろうと踏んでいるからだ。


「給料泥棒か?」


 笑いながらそう声をかけるガバルだがその後直ぐに突っ込む。


「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」

「フン!」


 しかしタイミングを合わされたゴブリンの棍棒をモロにもらった。


「ぐえっ!」


 吹き飛ぶガバルを見て、若干顔に不安そうな色を浮かべて声をかけるミオン。


「は、ハンデですか?」

「あ、あぁ、ハンデだよ。これくらいしねぇと面白くねぇからな」

「な、なら良かった」


 そう答えるミオンだが不安そうな表情は消えない。

 普通Sランクになれるなら今の攻撃は貰わないからだ。

 それなのにガバルは貰った。


「ガランさんそこで何をしているのですか?」


 そこでガランの不審な動きに気付いたミオンが声をかける。

 ガランは今ディッチの後ろで盾を構えているだけだ。


「ん?何ってタンクの役割だが」

「は、はぁ……まぁ、ゴブリンの出方を見るのも大事ですよね」


 雲行きが怪しすぎて困惑を隠しきれないミオンが次にディッチに声をかけようとしたが


「ちょ!誰か!このゴブリンを何とかしなさいよー!!!!」


 雑魚ゴブリンに追いかけ回されているディッチ。

 それを見て顔を引きつらせながらミオンは駆け寄ると


「はっ!」


 ナイフでゴブリンの首を狩る。


「な、ナイスよ!ミオン!噂には違わぬ実力ね!」

「あ、ありがとうございます。そ、それよりも」


 ミオンはパーティのプロフィールを見て確認する。


───────

ガバル

体力:500/999

───────


 それを見てからディッチに声をかける。


「ガバルさんの回復を」

「あ、か、回復ね!」


 言われて気付いたような顔をするディッチ。


「えい!ヒール!」


 ディッチが魔法を使ったことによりガバルの体力が回復した。

 50だけだった。


「でぃ、ディッチさん?」

「な、何かしらミオン」

「い、今のシーンは全回復で良かったですよ?」

「な、わ、分かってるわよ!」


 不安そうな顔をしているミオンにそう答えて回復させるディッチ。50×10のヒールだ。


 普通この場面は500回復させるだけの魔力を使ってヒールさせるのだが。

 ディッチは普通ではなかった。


 そして今も吹き飛ばされ続けているガバルに体力が減る様子がないゴブリン。


「いつまでハンデをあげるつもりですか?ガバルさん?」


 ミオンの問いかけに返事はない。

 それだけ集中してガバルが戦っているせいで聞こえていないのだ。


 だが


「ぐえっ!」

「おごっ!」


 向かう度に弾き返されるガバル。


「が、ガランさん!ガバルさんが前に出てるから一緒に前に出ないと!」


 ミオンの焦りが篭った声にこう答えるガラン。


「待て。焦りは禁物だ。奴は必ず隙を見せる。その時に前に出る」

「そ、その時っていつですか?!」

「その時だ。今はじっくり時を待つ」


 その答えを聞いてミオンの中にあった漠然とした不安は確信に変わる。


(この人たち本当にSランクなの?!うそ!私Eランクか冒険者登録すらまだのパーティに混ぜられてない?!)


 そんな受け答えをしている間も殴られ続けるガバル。


「ごえっ!」

「おごっ!」

「ぐえっ!」

「ぐわっ!」


 ゴブリンは鼻歌混じりにガバルを殴り吹き飛ばし続ける。

 まるで遊んでいるかのように。


 普通同レベル同士でモンスターと冒険者が闘えば先ず負けることがない。

 それなのに


「な、何なのこの人たち……ま、まさかわざと負けようとしているの?」


 そうとしか思えないミオンだった。

 その後ミオンが助けに入った事によりゴブリンは無事に撃破された。


 しかしその時にはガバルの体力とディッチの魔力が殆ど無かったと言う。


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