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12/30

12 名前を決めました

 翌日。


「出来ましたよ!ゼノン様!」


 ギルドで休憩しているとアネモネが何かを持って駆け寄ってきた。


「何が?」

「これです!」


 そう言って俺に見せてきたのは


「世界パーティランキング?」

「はい!」

「何なのですか?これは」


 質問するクルルに答えるアネモネ。


「Sランクパーティの中の格付けを行うランキングです。1位から100位まであるんですけど。なんとゼノン様のパーティがランキング入りしました。100位ですけど」

「そうなんだ」

「反応薄いですね?凄いことなんですよ?」


 俺の顔を見て首を傾げるアネモネ。


「そうなのか?」


 そのランキングとやらだけど俺は1位を取ったこともあるし特に気にしたこともないし。


「はい!ランキング入りするだけでも1から始めた場合10年くらいかかるんですよ?!本来は。それをゼノン様は数週間で達成です!これは偉業ですよ!」

「そ、そうなんですか?!やっぱりすごいです!ゼノン様は!」


 そう言っているアネモネとクルルだが。


「チームガバルのランキングは?」


 気になることを聞いてみた。

 俺が抜けてランキングは上がっただろうか。


「チームガバルですか?えーっとわっ!何ですかこれ!少し前まで1位だったのに今は5位になってます?!」


 驚くアネモネ。

 というより俺も驚いた。


「4も下がったのか?」

「は、はい。そうみたいです。ちなみに累計ポイント制になっていて依頼の失敗を重ねてもこんなに下がることは普通有り得ませんよ?!」


 火力を出せない俺が抜けて逆にランキングが下がるのか?意味が分からない。


「ちなみに何故チームガバルについて聞かれたのですか?」


 アネモネの質問に答える。


「俺が前にいたパーティだよ。火力不足の原因だから抜けろって言われた」

「えぇぇぇぇ?!!!!火力不足ですって?!どう見てもゼノン様の火力はおかしいですけど!?」


 そう言われて少ししょげる。


「そうだよね。俺の火力はやっぱりおかしいくらい低いと思うよ。追放されるくらいだもんね」


 実際俺がガバルと行動して敵に与えたダメージはほぼ0に近いだろう。

 おかしいと言われても問題じゃない。


「今でもあいつらには申し訳ないと思ってるよ。火力がおかしい程低くてさ」


 結局攻撃を外していたというのは攻撃出来ていないのと同じだ。

 邪魔だよな。

 

「ち、違いますよ?!ゼノン様の火力がぶっ飛んでるって意味ですよ?!」

「そ、そうなのか?」

「はい!あのダメージ測定であれだけダメージを出せる人他にいませんよ?!Sランク冒険者の平均が14,000程度ですよ?!」

「で、でも俺は普通の人が知らない人形の弱点を調べ上げた上でやるって、不正まがいのことをしてたのは確かだからさ」


 あの火力はノーカンでいいと思う。

 サイモンもあの話を知っていればもう少し火力を出せただろうし。


 心は痛まないけどさ。

 勝つためにはなんだってやるから。


「ゼノン様。戦場に卑怯も何もありません!勝った方が正しいんです!」


 そう言ってくれるアネモネ。

 話を変えようかな。


「ところでさ。そのランキングに入ったら何か得する事とかあるの?」

「はい!ありますよ!依頼が名指しで来るようになるとかありますよ!」

「そうなんだ」


 あ、と何か思い出したような反応をするアネモネ。


「その事で相談があるのですけど」

「なに?」

「その現状のランキングですけどこうなっていまして」


 ランキングを見せてくれるアネモネ。


 俺達は100位だなって思ってそっちを見てみると


「パーティ名が名称不明になってるね」


 そう口にしたリリス。


「そうなんです。このままではゼノン様のパーティは名称不明になってしまうので名前を決めていただきたいのですが」


 とアネモネ、それに対して


「チームゼノン神様はどうでしょう?」


 ものすごくネーミングセンスはどうなの?と聞きたくなる名前を提案したクルル。


「悪いけど却下」

「あ、それならルゼルちゃんとゼノンの愛の巣で♡」

「却下。人名はなしで。もし仮にそいつがパーティを抜けてたりしたらどうするんだ」


 しょげる2人だが死んでも嫌だ。

 そう思いまだまともなセンスを持ってそうなリリスに目をやった。


 とりあえず意見を聞いてみよう。

 いい名前なら採用しようか。


「リリスは何かないだろうか?」

「私か?」


 うーんと悩むリリス。


「では、千、」


 お、出だしがチームとか人名じゃないだけで期待出来そうだ。


「千矢のゼノンはどうだろう?千の矢を放つゼノンという意味なのだけど」

「却下。人名はなしだ」


 期待した俺が馬鹿だったのかもしれない。

 それにしても何故皆俺の名前を入れたがるんだ。


「えぇ?!いいパーティ名だろう?!きちんと誰が本体か分かるし!」

「アネモネはどうかな?」


 何やら言っているリリスを置いてアネモネに聞いてみることにした。


「わ、私ですか?」

「うん。とりあえず人名はなしで」


 人名を使っているであろうパーティ名は余り見ない。

 それこそチームガバルくらいだ。


「では、千矢一条(せんやいちじょう)などどうでしょう?」


 10秒くらいしか考えてないけどマトモなのが出てきたな。


「千の矢というのはゼノン様を差すのではなく、パーティメンバーを差します。一条は繋がっているというのを差していてこのパーティは繋がっているという意味です。いつでも」


 そう説明してくれたアネモネ。


「いいじゃないか。採用」

「あ、ありがとうございます。採用してくださって」


 凄く嬉しそうな顔をするアネモネを見てからクルル達に目をやった。


「皆には考えさせたけど悪かったな。でもこれで行こうと思う」


 そう言ったら


「そ、そうですね。ゼノン様繋がっちゃいましょう私達」


 顔を赤くしてそんなことを言うクルル。


「いや、何の話だよ?」


 聞き返したら


「ゼノン。私はいつでもいいから。ゼノンはこんな私を優しく受け止めてくれた。だから私もゼノンを受け止めたい」


 そう言ってくるルゼル。

 リリスに目をやるとリリスは顔を赤くしているだけだった。

 最後にアネモネに目を戻すと


「もう色んな意味で繋がっちゃいましょう。私達」

「ど、どういう意味だよ?!」

 

 俺がただただ困惑しているとアネモネが口を開いた。


「ゼノン様私も仲間に入れて下さい。あの時サイモンから守ってくださって、一目惚れしてしまいました」


 そう言った後に続けるアネモネ。


「なので、ゼノン様も私に入ってくださいませんか」

「お、おい?!」


 これはやばい流れではないだろうか。

 そう思うのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 僭越ながら、冒険者ギルドのアネモネのセリフの中の異形と偉業が誤字ですので報告させていただきます [一言] まだ始まったばかりの物語ではありますがこの先の展開に期待しております!無理をな…
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