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追放①

 思いつきで書きました。二話で終わる予定なのでよろしくどうぞ

「オヴァン!! お前はクビだ!!」

「はぁ?」


 俺を指さしシンヤが叫ぶ。シンヤの後ろには、シンザイスト帝国の第一皇女ヒストリア、オルクール教の聖女シンシア、シンザイスト帝国随一の魔術の使い手で賢者レイアの三人が立っている。もちろん、シンヤの後ろに立っているというのはこの三人もシンヤと同意見というわけだろう。


「おいおい、いきなりどういうつもりだ?」


 俺は努めて冷静にシンヤに問いかけてみた。この四人の俺を見る目が好意のかけらも無くなっていることにはとっくに気づいていたのだが、正直なところ契約内容にこの四人の心のケアは入っていないために放っておいたのである。


 シンヤは俺の言葉に大きく顔をゆがませた。俺の返答が気に入らなかったようだがそんな事は些細なことだ。


「わかんねえのかよ!! お前は足を引っ張るばかりじゃないか!!」


 シンヤの言葉に後ろの三人もうんうんと頷く。


「何言ってる? 現状の戦力で考えなしに突っ込めば全滅するのがわかってるから俺は止めた。それの何が悪い?」

「ふざけるな!! お前のは慎重っていわねぇ臆病ってんだよ!!」

「お前は16にもなって無謀という言葉の意味を知らないのか?」


 俺は思いきり嫌味たらしくシンヤにいった。俺という人間は敵意には敵意で応じるというのがモットーなのだ。


「な、勇者であるシンヤにあなたのような傭兵が何という口を!!」


 そこに聖女シンシアが割って入る。シンシアが先ほど言ったとおりシンヤには勇者という肩書きがある。勇者とは神により特別な力を授けられたものであらゆる魔の点滴「天敵?」となりうる。シンヤはもともと異世界の人間だったらしく、神の手によってここに召喚された。勇者として召喚されたとはいえ、未熟なシンヤに対して帝国は訓練を課し、十分な実力をつけてから魔を討伐する旅に出させたのだ。

 シンヤの仲間として一流の者達が集められたのは言うまでも無いことだ。シンヤの後ろにいる三人もそのメンバーだ。他に騎士団、冒険者、傭兵なども選りすぐりが四十人ほどいる。


「確かに俺は傭兵だがそれが何か?」

「う」


 俺が一段声を低めてシンシアに言うとシンヤが庇うように前に立つ。


「オヴァン、お前は確かに俺にいろいろな事を教えてくれた。だが、いつまでも俺を下に見るな」

「俺はお前を下になんか見てないさ。対等(・・)に見てる」

「勇者の俺と臆病者の傭兵のおっさんが対等だと!!」

「そうよ!! あなたのような薄汚い傭兵がシンヤと対等なはずないでしょう!! 分をわきまえなさい!!」

「そもそも傭兵なんかシンヤの輝かしい経歴に傷をつけるだけ」


 ヒストリア、レイアも俺に敵意のこもった視線を向けつつ言い放った。


「皇女様、一つ聞くが俺を解雇するのはお前の親父は知ってるんだろうな?」

「おや……無礼者!! シンザイスト帝国の皇帝陛下に対して何という不敬!!」

「いいから答えろよ……お前の独断か? それとも帝国の意向か?」

「帝国の意向に決まってるでしょう!!」

「……ほう」


 ヒストリアの言葉を聞くと俺は黙って立ち上がった。脇に置いていた自分の荷物を肩に担ぐとクルリと背を向けて歩き出した。


「おい、待てよ!!」


 三歩目を歩いたところでシンヤが声をかける。


「なんだ?」

「お前のその荷物は置いてけよ」

「はぁ?」

「お前は俺のパーティの一員だった。その時に手にれたモノは当然没収するのが当然だろう?」

「解雇されたからといって私物を没収するなんて理不尽が通ると思ってるのか?」

「ふん、言われたとおりにしろよ」

 

 シンヤの顔がさらに歪む。その顔のゆがみはシンヤの心根がすでに腐っていることの証拠だ。俺を弱者として見ていて嬲ろうとしているのだな。


 チラリと視線を向けると騒ぎを聞きつけた騎士達が走ってくるのが見えた。騎士達の顔には明らかな焦りの表情が見えた。


「シンヤ様、一体何の騒ぎです」


 騎士達のリーダーであるエメンストがシンヤに尋ねる。エメンスト自身は伯爵家の次男であり、家を継げないので騎士として身を立てるために騎士団に入った中々骨のある男だ。


「オヴァンを追放する」

『え!?』


 シンヤの返答に駆けつけた騎士達は一斉に声をそろえて驚いた。


「エメンスト、シンヤが言ったとおりだ。俺は解雇された。ついでにいえばこれは帝国の意向でもあるそうだな?」

「へ?」

「帝国は随分と舐めた真似をしてくれるじゃないか……ん?」


 俺の言葉にエメントス達は顔を青くした。

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