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短編集

なつきくんはつたえたい

作者: 海蒼柊

 なつきくんはいま六さい、このふゆ七さいになります。なつきくんには、みゆきちゃんという、おさななじみがいました。

 なつきくんは、みゆきちゃんのことがすきでした。だから、なかよくなろうとして、はなしかけてみました。

「あっあの! みゆきちゃん!」

「なぁに? なつきくん」

「えっと、あの、あのね……」

「なつきくん、かお、まっ赤だよ?」

 でも、はなしかけようとするとかおがまっ赤になって、いつもふしぎがられます。

 なつきくんは、かおがまっ赤になるのがいやでした。どうやったら、かおがまっ赤にならずにみゆきちゃんとなかよくなれるのか、わかりませんでした。


 十二月のある日、おかあさんがいいました。

「クリスマスになったら、サンタさんにプレゼントをひとつ、おねがいするのよ」

「そうなの!? じゃあぼく、かっこいいひこうきにする!」

 なつきくんは、ひこうきがすきだったので、そうこたえました。

 おかあさんはいいました。

「じゃあ、サンタさんにおねがいしておくね」

 なつきくんは、おかあさんにききました。

「おかあさん、サンタさんって、なんでなつきにプレゼントをくれるの?」

 おかあさんはびっくりして、うーんとかんがえこんだあと、こうこたえました。

「せかいじゅうの子どもたちをよろこばせるために、プレゼントをくばってまわるのよ」

 なつきくんはひらめきました。

「そうだ!」


 なつきくんは、つくえのひき出しにかざってある、ちょうちょのひょうほんをとり出しました。じゆうけんきゅうのためになつやすみにつかまえて、おとうさんとつくったものです。

 おかあさんはききました。

「それ、なんにつかうの?」

 なつきくんはこたえました。

「プレゼントする!」

 おかあさんはふしぎにおもって、もう一かいきいてみました。

「だれに?」

 なつきくんはいいました。

「ひみつ」


 つぎの日、なつきくんは学校に、きのうつくえからだしたちょうちょのひょうほんをもっていきました。

 そして、みゆきちゃんにはなしかけました。

「あの、みゆきちゃん!」

「なぁに?なつきくん」

「これ、プレゼント。あげる!」

 そういって、ちょうちょのひょうほんをわたしました。

「うわあ、むし、いや!」

 みゆきちゃんはむしがきらいだったので、それをなげてしまいました。ちょうちょはぼろぼろになってしまいました。

「あ……」

 なつきくんは、ぼろぼろになったちょうちょをみおろしました。

「……ごめんなさい!」

 みゆきちゃんはそういって、そのままどこかへはしりさってしまいました。


 なつきくんは、じぶんのすきなちょうちょなら、きっとみゆきちゃんもよろこんでくれるとおもったのです。それで、じぶんでつくったちょうちょを、プレゼントしたのです。

 でもみゆきちゃんはうけとってくれませんでした。

 なつきくんは、すわりこんで、しくしくなきはじめてしまいました。


 きづくといつのまにか、先生がとなりにすわっていました。

「どうしたの? ちょうちょこわされた?」

 なつきくんはだまってくびをよこにふりました。

「このちょうちょのひょうほん、なつにつくったのだよね?」

 なつきくんは、こんどはうなずきました。

 先生はちょっとかんがえて、またききました。

「どうして、学校にもってきたの? いえにもってかえったよね?」

 なつきくんは、またうなずきました。

「ゆっくりでいいから、しゃべってごらん」

 なつきくんは、なんでだいじなちょうちょをもってきたのか、ゆっくり、じかんをかけてはなしました。みゆきちゃんがすきなことは、ひみつにしました。

 先生は、しずかになつきくんのはなしをきいていました。

「そっか。わかった」

 先生は、こんなことをいいました。

「なつきくんははずかしがりやさんだね。でも、はずかしがりやさんでも、きもちをつたえられるほうほうがあるよ」

 なつきくんは、ゆっくりとかおをあげました。

「それは、なに?」

「じゃあ、ついてきなさい」

 先生は、きょうしつに、なつきくんをつれてきました。そして、おしゃれなかみとびんせんと、えんぴつとけしゴムをわたしました。

「なつきくん、てがみをかこう」

「てがみ?」

「そう。それにつたえたいことをかいて、びんせんにいれてわたせば、かおもあかくならないし、つたえたいこともつたわるよ」

 なつきくんはおおきくうなずいて、てがみをかきました。


 つぎの日、なつきくんはみゆきちゃんにはなしかけました。せなかには、きのうかいたてがみを、かくしています。

「みゆきちゃん」

「なつきくん。きのうは、ごめんね」

 みゆきちゃんはもうしわけなさそうにあやまりました。

「ううん、だいじょうぶ。きにしてないから」

 なつきくんはそうこたえました。

「これ、あげる。」

 なつきくんは、せなかにかくしていたてがみを、みゆきちゃんにあげました。

「……なに、これ?」

「てがみ。……じゃあね」

 なつきくんは、かおがまっ赤になりそうだったので、それだけしかいえませんでした。


 みゆきちゃんは、なつきくんがどこかにいったあと、一人でてがみをひらいてよみはじめました。

『みゆきちゃんへ

 みゆきちゃん、なんでちょうちょをプレゼントしたのかというと、みゆきちゃんにはなしかけようとしたら、かおがあかくなるから、プレゼントをしたらいいとおもいました。それに、ちょうちょはきれいだから、みゆきちゃんもよろこぶとおもいました。

 でも、みゆきちゃんはむしがきらいだったから、よろこばせることはできませんでした。ごめんなさい。

 せんせいが、てがみならつたえたいことをつたえれるっていってたので、てがみでごめんなさいっていいます。

 みゆきちゃんがいやなことをぼくがやってしまったから、みゆきちゃんはぼくをきらいになったかもしれないとおもいます。

 でも、ぼくはみゆきちゃんのことがすきです。かおがあかくなってしまうから、てがみでしかつたえれないけど、ぼくのきもちをうけとってほしいです。

 なつきより』

 なつ×みゆがしんどすぎるというかなつきくんがかわいすぎる話でした。

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