革命の始まり
初めての投稿です。
それと、ハーメルンにて東方の二次創作とこれと同じものを投稿してます。
良ければ見ていってください。
この世界に平等などない。平等とは差別なく皆等しいことを言う言葉だ。だがこの世界は平等か?
人には才能がある。だが無い者もいる。才能がある者と無い者は平等なのか?否、不平等だ。
では人の生まれた環境は平等か?否、不平等だ。環境によって死ぬ者もいれば、死なない者もいる。
次に人は平等を訴えながらも地位を持とうとする。これからして既に不平等ではないのか?
例を挙げれば総理大臣、天皇、大頭領、これらは人間だ。しかし地位のおかげで一般の者より裕福な生活を送れるだろう。
学校での先輩と後輩や生徒と教師もそうだ。後輩は先輩を敬わなければいけない。生徒は教師の言うことを聞かなければいけない。
何故だ?
何故後輩は先輩を敬わなければいけない?何故生徒は教師の言うことを聞かなければいけない?同じ人間でありながら何故?
では最初に戻ろう。この世界は不平等だ。そして、矛盾だらけだ。
この世界が平和になるのはそんな平等でない平等に気付いた時だろう。
『修司?準備は良いかい?』
「あぁ、俺はすぐにでも行ける」
『わかった。それじゃあ、今から作戦内容を伝えるね』
だから彼らのような反乱分子が生まれる。革命の風を起こすために彼らは戦わんと武器を手に取る。革命の風を起こすその為なら、命すら捨てられる。
『まず今回のターゲットだけど、政府軍直轄の貴族、ウルネスト・バーミットだ。彼は政府軍に武器を提供していて、自分のやりたい放題に軍を動かしている。そのため、彼の護衛が何人いるかは不明だ』
「構わない。何人居ようが殺すだけだ」
『流石だね、修司。日本の侍なだけはあるよ』
「誰が侍だ」
『話がそれたね。それじゃあ、続けるよ。だけど今のところ彼の屋敷周辺には軍兵はあまりいなくて、門番が5人、屋敷内に7人、その他見回りが屋敷の回りを歩いているだけ。しかも見回りは門の前までは見に来ないようだ。これはチャンスだよ、修司。今回は門番5人を“1秒以内”に殺して屋敷に入ってくれ』
「わかった。0.5秒以内だな」
『誰も0.5秒とは言ってないよ』
「俺にはそう聞こえたが?」
『そうなの?まぁ、早く終わるなら構わないよ』
これが彼らのやり取り、いつも通りのやり取り。だから彼はリラックスして仕事に取り組める。彼の獲物は双刃剣、いわゆるダブルセイバーを持つ。ただしその双刃剣はそこら辺にある片手直剣型のタイプではなく、太刀型のタイプである。
『それじゃあ、作戦開始と行こうか』
「了解」
通信機から聞こえてくる声はいつも彼を支えてくれるパートナーであり、親友。白川 優真、優真がいなければ今の彼はいなかっただろう。
『頼んだよ、銀狼こと、神夜 修司君』
「お前まで言うか」
修司はそんな親友の悪ふざけを聞き流しながら、今だにあまり発展していない町にあるビルの屋上から屋敷の門を見る。兵は優真が言うように5人、そこから屋敷に入って優真からの指示を待つ。それだけの簡単なお仕事。
「行ってくる」
『うん、行ってらっしゃい』
ビルの屋上から門番に向かって飛び降りる。
(距離は約50メートル。このスピードでなら一秒も掛からずに到着する。なら)
彼は双刃剣を右に持って、左側に構える。そして、門番二人の間に飛び込む瞬間、双刃剣を振り抜いて、二人同時に首を断つ。
左側にいた門番は前から首を切り、右側にいた門番は後ろから首を切り落とす。そのまま地面を蹴って三人目の首を切り落とす。そして、回転させながら双刃剣を投げる。
回転して飛んでいく双刃剣は残り二人の門番の首を切り落として自分の手に戻ってくる。それを掴んで歩き出す。
『お見事。今のタイムは0.39だよ』
「普通だな」
『そう思うのは君だけだよ』
彼は門を開けて敷地内に入り、玄関の前まで歩いて扉を開ける。そしてそのまま屋敷の中に入る。
『敵を殺すまでの速さは誰にも追い付けず、着ているマントからたまに見える銀髪、そしていつも一人で行動していることから付いた異名は『銀狼』。一匹狼とでも思われてるのかな?』
「知るわけが無いだろう。勝手に変な異名付けられて、鬱陶しくてしょうがない」
『マントから銀髪が見えてるのに誰も素顔を見たことがない。なんというか、そこがプロの技だねー』
「後で殴っても良いか?」
『冗談だって』
屋敷の中にある階段を探しながら彼は優真と軽い会話をする。
『こほん、それじゃあ、指示をだすよ。ウルネスト・バーミットは屋敷の三階にある自室にいる。そこまで案内するから指示通りに進んで』
「わかった。階段を見つけたんだがどうすれば良い?」
『む、また勝手に移動したでしょ。指示を待ってっていつも言ってるのに』
「すまない、もしかするとあの時の奴らのうち、一人がいるかもしれないのだからな……」
修司は拳を強く固めてドスの効いた低い声で返事を返す。優真はやれやれと肩を竦ませて修司に話し掛ける。
『いるかもしれない……まだ、憶測の域を出ないんだ。あまり考えても意味は無いよ』
「………………それもそうだな、ごめん優真」
『素が出てるよ、まだ仕事中だ。集中を切らさないで』
「……あぁ、了解した」
修司は固めた拳を解き、階段を登り始める。道中敵は全くと言っていいほどいない。修司は違和感を感じながらも階段を登って行く。そして目的の部屋の階でまた違和感を感じる。
「……?優真、この階をもう少し詳しく調査してくれ」
彼がいる場所はここの近くではなく、街の外なのだ。そして周りから出てくる魔物に気を付けながら車の中で機材を使い、こちらに指示を出しているのだ。
『え?……わかったよ、一体何が出るかな、っと…………っ!?』
「優真?何かわかったのか?」
『………うん、ごめん。ミスった』
「なっ……!?」
修司が驚くのも無理はない。優真という少年が仕事でミスをする事は今まで指で数えるくらいしか起こしてない。しかもそれは全て部下の情報通達のミスだ。しかし、今回はそんなことは無い。部下は信頼出来るものが今回の担当をしていた。確認も取っていた。つまり今回は正真正銘、白川 優真のミスなのだ。
「優真、いったい何をミスしたんだ……?」
『うん、相手に幻属性を持つ敵がいるみたい。しかも機械の類も誤魔化せる程のね』
属性、それは現代の世界で言う超能力、昔の言葉を借りるなら魔術。人には体に属性という魔力を持っておりそれを媒体にしてあらゆる魔術を使う事が出来るのだ。
属性には種類があり、一番有名な属性を八第属性という。炎や熱気を操る火属性、水や水分を操る水属性、風や大気を操る風属性、雷や電気を操る雷属性、砂や大地を操る地属性、今だ原理がわからない無属性、この六つの属性を六第属性といい、そして光を操る光属性、闇を操る闇属性、この二つの属性を合わして八第属性と呼ばれている。
しかし、人にはこの八第属性に属さない属性を持つ者がいる。その者達の属性のことを特殊属性という。先程優真が言った幻属性もこの一つだ。他にもう1つあるのだが、それはまたいつか話すことになるだろう。
「機械類をも誤魔化せる幻属性……だと!?」
『……修司、さっきの憶測の域を出ないって言葉、訂正させてもらうよ。この情報は本物だ、奴は間違えなくここにいる…!』
「………そうか……ハハ……奴はここにいるのか…!」
修司は怒りを抑えきれないのか、笑って怒りを流している。優真は自分のミスと奴がいるという事になんとも言えない後悔が生まれた。
『奴の幻術のせいで目的の部屋にいる人数がわからない。屋敷の中にいる兵も幻覚……このために雇ったんだろうね』
「いつ来るかもわからない暗殺者に対して周到なこって……」
『修司……素が出てるよ……』
「おっと、すまない。奴が……レオ・ガイナードがいることが心底嬉しくてな…」
レオ・ガイナード、その名を知らない者はこの世界にはいないだろう。何故なら彼は日本国を滅ぼした英雄の生き残りなのだから。
「これで……藍那の仇も討てる…!!」
自分の初めての友達を殺したあの男を殺せることに修司はただ喜びを感じる。その顔を見た者がいるのなら口を揃えてこう言うだろう、狂っている、と。
『修司、復讐に燃えないで。今は仕事だよ』
「……わかってるよ」
『それじゃあ移動開始……慎重に部屋まで移動して』
修司はその言葉に従って部屋まで移動する。ウルネスト・バーミットの部屋の前に着いた時にまた違和感を感じるが、もはやそんなことはどうでもいい。ただ殺す。邪魔な奴は殺す。今の修司は狂気に染まった人間なのだから。
『それじゃあ修司、ここからは君の領域だ』
「あぁ、大丈夫だ。安心してくれ」
『………………御武運を』
そして修司は扉を開き中に入る。