その日はとても暖かい朝だった
僕もう眠いよ。疲れたよ。体が痛い。瞼が重いんだ。すぐにも瞼は閉じてしまう。体が火照ってる。お風呂入ったからだ。もう疲れた。でも、眠れないんだ。寝ちゃったら終わっちゃう。何がって。何がだろう。何が終わるんだろうね。例えばさ、今のように眠くてだるくて夜の寝る時間って普通は眠ればいい。夜更かしは辛くなるからね。でも、違うんだ。そういう時にこそ、何も考えない言葉ってのが生まれてくるんだ。この言葉は本音。嘘偽りのない紛れもない真実だ。何か意味があるのかなんて自分にも分からない。ただ、僕はこの言葉が好きだ。こういう何もない状態から生まれる言葉は僕は凄いと思う。なんでこんなにも自由に思えるんだろうって。凄いと思う。でも、やっぱりね。そんな状態でも欠点はある。それは、辛いこと。浮かぶ言葉はどんどん連なり積もっていく。けれどそこに楽しさはない。僕はなんでこんなことをしてるのか分からない。何もかもが辛く思えてしまうし、ある時はなんでもっとこういう時間を費やさないんだって思う時がある。これができるのは決まって疲れているとき。脳が考えることを停止してありのままに従ってるときだけ。これでいいのだろうか。こんなのでいいのだろうか。
さすがに何かしないといけないよね。こんな内容のない言葉で何が生まれるんだって。どうせなら世界観が欲しい。例えば、僕は夜風に当たるため外に出た。夜は真っ暗だ。それもそのはず。この周辺には家がない。畑しかない。だから星はとても綺麗に輝いている。綺麗だ。上を見上げたらね。少し視線を下げるとそこには何もない広い闇が広がっているんだ。僕は必然的に空を見上げて星を見ていることしかできなかった。光を掴みたかった。もう僕の心は堕ちていたのかもしれない。いや、堕とされた気分だ。誰かに拾って貰いたい。誰かと一緒にいたい。僕はずっと一人なんじゃないかって。そう思うと眠れないんだ。今この世界を閉じたら僕は真っ暗な闇の中で何もできずに立ち竦むかもしれない。僕は暗闇の中悩み続けるかもしれない。もう僕に明日は訪れないんじゃないかって。だからこの瞼は閉じられない。ずっと眺めてたら光が見えてくるんだ。朝になる。太陽の光は僕に勇気をくれる。小鳥の声も風も雲の色も。僕にとってはとても嬉しいこと。僕に向かってしてくれていることじゃないとしても、僕はその存在に安心するんだ。僕の視界は今日も晴れたって。雨の日とかは辛いんだけどね。雨は暗いし、音が僕の心とリンクしてしまう。心が削られて寒くなってしまう。辛い。雨の日は辛い。反対に晴れの日は大好きだ。朝日があったかい。光が僕を鼓舞する。生き物の姿を見て僕は自分を重ねる。心は読めなくても動きの仕草一つ一つが僕の喜びになる。
今日は、晴れの日だ。暗闇が入れ替わる。明るい日差しが空を染め上げる。太陽の光が眩しすぎるほどに僕の瞼を焼き付ける。今日も生きたんだ。小鳥が鳴いている。風が気持ちいい。僕は立ち上がった。背伸びをする。風が僕の背中を押してくれた気がした。安心したせいか、夜更かししたせいだろうけど、安心して眠気がきてしまった。でも、今度はこのまま眠れそうだ。太陽が僕を見ていてくれる。僕の体は守られたんだ。僕は横になった。風が僕を包み込み、太陽が僕を温める。ありがとう。僕は幸せ者だ。太陽はただ自分の仕事をしているだけだとしても、僕にとって太陽は最高の友達だ。だから心に刻み、声に出すんだ。もう一度。聞こえなくても僕の心を風が運んでくれると信じて。眠りにつく前に、一言だけ。いつもありがとう。