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スイマセン、遅くなったうえに今回短いです。
「君クビね」
藪木療の一日はその一言から始まった。
「えぇ?」
目の前にいる男はいったい何を言っているのだろう。身長の関係で、薄くなった頭髪を見降ろしながら藪木は困惑した。
「いやだからさぁ、クビ、明日から来なくていいから」
「ちょっと待って下さい!どういう事ですか」
このコンビニのバイトは初めてまだ一カ月だ。そこまで大きなミスだってした覚えはない。
「俺結構まじめにやってましたよね?」
「君ねぇ、それ本気で言ってるの?」
店長は、言うのも面倒くさいと言わんばかりに藪木を睨みつける。
「たしかに君は勤務態度はまじめだったさ」
「なら」
「でも休みすぎ」
それは、と藪木は言葉に詰まった。正直自覚していたことでもある。しかし――
「でもそれは事前に伝えていたじゃないですか」
バイトの面接の際に藪木はそのことについて確認を取っていた。どうしても必要な都合でバイトを休むことがあるかもしれないと。
「いや確認はとったしこっちも了承したけどさ、程度ってもんがあるじゃない……君週に何日仕事入れてた?」
「月水金ですね。一日八時間ずつで」
「前に仕事に来たのいつか覚えてる?」
「……二週間くらい前」
「正確に言うと二週間と三日前だよ」
言い訳のしようもない。しかし藪木の用事というのは不定期なものだったし、忙しい時と忙しくない時の差が激しいものだった。
「……わかりました。お世話になりました」
「すまんね、うちの店もそんなに余裕がないんだ」
――あまりすまないとは思ってないんだろうなぁ。
そんなことを考えながら薮木は特に何の思い入れもない勤務地を後にした。夜であろうとなかろうと、こんな世の中では一歩先は真っ暗闇だ。
「はぁ……クールじゃねぇなぁ」
話はゆっくりすすみますよ!本当にゆっくりとね。