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魔女と精霊の契約者  作者: 音羽琴
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第1話-4 白銀のアラルカータ

 翌朝起きてみるとお腹が空いていないことに気がつく。多分だが僕の主食は夢の雫になってしまったんだろう。1人暮らしの家だから1人分の朝昼晩の料理を作らなくなったのはいいんだが…。お弁当だけは食べないと心愛に不審に思われる可能性がある。僕は速攻キッチンに向かって慌てて調理をする。出来た弁当の惣菜は卵焼き、目玉焼き、ゆで卵と何故か卵づくしになってしまった。別にそんな卵が好きなわけではないんだが…鞄に教科書を詰めて家から出ようとした時だった。

 玄関先から呼び鈴の音が聞こえた。鞄を持って出てみると、心愛が立っていた。

 「い、一緒に学校行こ?」

顔を赤らめて立つ心愛ここあ。僕の願いで世界の記憶が変わっているのならもしかしたら心愛の記憶も変わっているのかもしれない。そう思うと僕の叶えた願いはなんだったのかが気になる。

 「晴翔はると?」

 上目遣いで僕を見ている心愛。正直言って可愛い。昨日戦ったアラルカータを思い出し、心愛と重ねて見る。青い瞳が似ているような……

 「早く一緒に学校行こ? 晴翔」

 「あ、ああ」

 突然手を握られて僕は顔を赤く染める。

 「心愛、手」

 「あれ? 手を繋ぐのいや? 昔はよく一緒に手を繋いで遊んでたのに……」

 「いつの話だ……」

 「いつの話って……ああっ!! そっか、晴翔思春期だもんね……恥ずかしいのも分かるけどそんなに私と手を繋ぐの、いや?」

 「嫌じゃないけど……」

 押しに弱いな僕……。僕と心愛は手を繋いだまま学校に行った。学校に行く途中の道中で色んな人に見られ、恨まれたり妬まれたりうらやましがられたりした。

 「おっはよー☆ はーるーとーくんっ☆」

 教室の扉を開けたら都姫が待ち構えていて僕に飛びついて来た。

 「おわっ都姫みやび!?」

 「都姫…いつの間に2人は名前を呼ぶ仲になったの…?」

 繋いでいた手を離し、心愛は震える声で言う。確かに一日二日ばかりで名前を呼び合う仲は不自然かもしれない。

 「お名前なんていうのっ?」

 「天羽心愛ですけど」

 「ここあちゃんかぁ☆ 可愛い名前だねっ☆」

 「ありがとうございます……」

 心愛は都姫の事が気に食わないらしく睨んでいる。僕との関係を誤魔化そうと出した新しいキャラ設定が追加されたようだった。やっぱり、都姫は学校でのキャラを作っている。

 「アタシは都姫っ!! 都姫ちゃんって呼んでねっここあちゃん!!」

 「はぁ…」

 心底うざったそうな顔をする心愛。都姫のこのキャラは心愛にウケが悪いようだった。キャラの方向転換した方が良さそうだ……。

 予鈴がなり、席につく。いつも通りに授業を受けて昼休みになった。卵だらけになったお弁当を持って心愛の席に行く。

 「一緒に飯食べようぜ」

 「うんっ」

 「みやーびも入れてっ☆」

 都姫が乱入してきて僕と心愛の間に割って入ってきた。若干嫌そうな顔をする心愛だが、受け入れ3人で屋上に行く。屋上には昨日と同じく、天気が良く暖かくて眠たくなりそうだった。お弁当を出し、3人で食べる。

 「なんでアンタはそんなに卵づくしなのよ…」

 「本当にね。偏った栄養バランスだと身体を壊すよ?」

 思わず素でツッコミを入れる都姫に正しい事を言う心愛。なんでこういうところで意気投合するんだ……。

 「そういえば晴翔、目が悪くなったの?」

 「あ、ああ。この包帯のことか? ものもらいが激しくてな」

 「そっか……せっかく治ったのに」

 「……何がだ?」

 「あっ……えーと風邪だっけ?」

 つい最近風邪を引いた記憶はない。身体の不調は最近までなかったはずなんだが……何か頭に引っかかる。居心地の悪さを感じる。

 「それより晴翔、お菓子作ってきたよ!!」

 心愛のお弁当とは違うタッパーをどこからともなく取り出し広げる。タッパーの中にはピーチタルトが3つ入っていた。

 「えっ、これってここあちゃんが作ったの!?」

 「そうだよ。私、お菓子作りが好きでいつも作ってるの。ピーチタルト3つ持ってきて良かった」

 ピーチタルトを3人で分けて食べる。やっぱり心愛の作ったお菓子は美味しい。残りの授業を頑張れそうな気がした。都姫も心愛が作ったピーチタルトを大絶賛し、また食べたいと感想を言った。ここまで美味しいお菓子が作れるならケーキ屋さんやら珈琲ショップを経営出来そうだ。

 お弁当とお菓子を食べた後、教室に戻り授業を受けた。放課後は都姫と2人でまた都姫の住んでいるマンションに行った。昨日と同じく片付いていないリビングの椅子に座りまたコーヒーを淹れてもらった。

 「昨日話し忘れていたことがあるわ。魔女を殺す事によって得られる特権について」

 「特権?」

 魔女を殺す事によって得られる特権ってなんだろうか。考えながらコーヒーを飲んでみるが答えは出なかった。

 「不老不死になれる」

 「ブホォッ!!」

 突拍子もない答えに思わずまたコーヒーを吹いてしまった。不老不死って現実に体現している人間はいないと思ってたが……

 「私は実際魔女を殺して不老不死となったわ。夢の雫なんて食べなくても生きられる身体になっちゃったのよ」

 「都姫は不老不死、なのか……」

じゃあ、見た目に反して結構年がいってる可能性が生まれてしまった。

 「なりたくなんかなかったんだけどね…。まあ、いつか…アンタが契約者として立派に育ったら教えてあげなくもないわ。…私の願いが生んだ悲劇を」

 暗い表情を見せる都姫に何かしろの因縁が絡んでいるのかもしれない。魔女と契約者は決して相容れないのだろうか。

 「魔女、…というより魔法使いと話し合って戦わない方がいいんじゃないか?」

 「話し合いが出来ればね。でも、話し合いじゃ上手くいかないのよ」

 何度も話合いにチャレンジしたのか都姫は諦め気味で話し合う気はなさそうだった。白銀の魔法使いアラルカータ…この街にいる僕が初めてあった魔法使い。彼は一体どんな目的で動いているんだろう。話が出来ればいいんだがそうはいかなそうだった。


To be continued


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