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怪盗と霧
遅筆過ぎるので連載の次が書けてない。ちょっとなんか出しとこうよ。
ということで、過去に書いたものを引っ張り出してきました。
時計の針が十二時に差し掛かる。
人々の悲鳴が夜の暗闇を貫く。
それみたことか、と義賊と呼ばれる男は獲物を抱え、いびつに笑った。
今日の獲物は大事に、大事に保管しよう。
だれかの血肉が乾くまで、そうっと仕舞っておこう。
わめく声が聞こえるまで。
涙の一つが地面に落ちるまで。
この目が見るまで、大事に保管していよう。
男の朗々とした声がそこかしこで鳴り響き、やがて人々に聞こえるときには、その正体ともどもなんなのか判別つかなくなっていた。人々の悲鳴の間をぬって行く国家保安官たちは耳に痛い反響音に眉根をひそめ、より音の大きい場所を目指して走っていく。
下水管へ滑り込んだトカゲは、月に輝く青い身体を潜り込ませ、舗装された道の端にあらかじめ切っておいた自分の小さな尻尾をじっと見つめる。ちろちろと細く小さな舌を抜き出すと、密度の薄い水蒸気が辺りを漂い、走り行こうとする国家保安官たちを包んだ。