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8話 資金集めと力の差

俺は建星祭に向けて資金集めをする。

ここ数年は魔物の出現が多いせいで、討伐任務はなくならない。1つあたりの任務は銀貨3〜5枚が相場だ。

魔物が落とす魔石も売れると、良い日は7枚にもなる。

マジックバックを買うお金だけでなく、余分な分を持っていったほうがいいだろう。そう思い、俺は毎日のように任務をこなした。


しかし、このままだと建星祭に間に合わない。

焦っていた俺の目には高額報酬の依頼書が飛び込んできた。



討伐任務

報酬 金貨1枚

対象 オーク1匹

期限 1週間



高額報酬の依頼書を見た瞬間、理性は吹き飛んだ。

考えることをせず、霧がかかった沼地へと足を向ける。


前に討伐したことのあるオークを倒すのは簡単だった。

だが、後から嫌な予感がした。


そこには――斧を持ったミノタウロスがいた。


俺の視界には全身が収まらず、見上げた首が痛くなるほどの高さ。

俺は予知を駆使して、動きづらいながらも攻撃をかわす。

降りかかった斧が大地を二つに割る。

そして、ミノタウロスの一歩一歩が水飛沫をあげ俺の視界をさらに悪くさせる。


ーーおそらくミノタウロスを倒すには、ゴールド級相当の力が必要だろう。


俺とルミナで猛攻撃を仕掛けるが、びくともしない。


しかし、俺は諦めなかった。

ミノタウロスわ俺の左脇腹を目掛けて降りかかるの予知し、後ろに下がる。

そして、ルミナに合図を出しすかさず魔法を打つ。

だが、予知した先に、勝ち筋が一つもなかった。


「くっ…」


それでも、俺は足を止めなかった。

ただ、手応えとなるものは一つもない。

沼地というコンディションが俺の体力を徐々に削る。

そして、魔力が底をつきそうになっていた。


俺は気を緩めてしまい、足元を取られた。


「あっ…」


予知の世界ではミノタウロスの持つ斧が俺の鼻先まで迫っていた。

その先に待つのは…

考え始めると少しずつ無力感が増していった。


俺がこの戦いから逃げなかった理由は勇気じゃない。また、何もしなかった人生に戻るのが怖かっただけだった。


ーーあ、死んだ。


虚無感に包まれ、死を覚悟する。


前世と同じ後悔が胸を締めつけ、自分への苛立ちが込み上げてきた。


目を閉じる俺の耳に、ルミナの声がかすかに届く。


「アレン!!」


「るみな…にげ…」


すると、聞き覚えのない声がした。


「ファイヤーボール」


聞いたこともない爆音に目を開けると、腹が丸くなっていたミノタウロスが立っていた。

そして、俺の元に一人の少年が。


「君、大丈夫だった? ミノタウロスに会うなんて災難だね」


ーー全く気配を感じなかった。霧と水音に満ちたこの場所で、それはあり得ないはずだ。


「き、君が倒してくれたの?」


「うん、そうだよ」


辺りを見渡すが、周りには誰もいなかった。


「今打ったのって、ファイヤーボールなんだよね…」


「うん!」

この実力を持つにしても対して威張る様子もなかった。俺と大して年齢が変わらない外見をしている。

しかし、小さいながらもどこか頼りがいがあった。


「そう…」


2人の間で、少し沈黙が続く。


「君って何者なの?」


この子のことが気になって、俺は尋ねてみた。


「うーんと、僕はただの吟遊詩人かな」


――いや、違う気がする……背中にはリュート。


素性を知られたくないのかと思い、これ以上は言及しなかった。


「ミノタウロスの魔石はもらってくね」


一瞬にして起きた出来事に理解が追いつかなかった。

我に返った時には、その少年の姿は見えなくなっていた。


ファイヤーボール…本当に、あれはファイヤーボールだったのか。

俺と大して年齢は変わらないはずなのに、どうしてこんなことができる――実力か、それとも、生まれ持った才能か。

リーファ村では感じることができなかった、自分の未熟さと限界を突きつけられた。


そんなことを考えていると、眠りについていた。



そして建星祭当日を迎える。 

母と父にお金をもらった金貨2枚を合わせて軍資金は金貨4枚になった。


昨日のことが頭から離れなかったが、俺は大金を大事に持ち、目当てのものを買いに、家を後にした。

読んでくれてありがとうございます。至らないところも多いと思いますが、お手柔らかにお願いします。

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