6話 昇格試験
昇格試験当日。目覚めは良かった。
ルミナは試験会場に入れない。
「じゃあ、行ってくるね」
家族とルミナにそう告げ、俺は家を出た。
「昇格試験を受けたいのですが」
「昇格試験ですね。まず、ギルド証の提示をお願いします」
俺はギルド証を差し出す。
「はい、確認いたしました。突き当たりを左に曲がると会場があります」
最初の筆記試験まで、40分ほど余裕がある。
俺は外に出て、深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
「初め!」
その合図とともに試験が始まった。
筆記試験は思ったより簡単だった。これまで本で勉強してきた成果が出せようだ。
次は実技試験。魔法を撃つように指示される。
俺は二重詠唱で魔法を放つ。すると、周りがざわつき始めた。
「おい、いまの見たか? 二重詠唱だぞ」
試験会場の空気が少し熱を帯びる。
緊張もあったが、俺は平常心を保った。
最後に、模擬試験。
対戦相手はランダムでくじで決まり、俺の相手はあいにくも剣士だった。
ーー最悪だ。
開始の合図が出ると同時に相手は猛突進してきた。
ルミナとは違い、鋭い目つきで俺を見る。
俺は平常心を保ちながら、未来予知を使う。
未来予知で見えたのは、次の一瞬、剣士の剣が斜めに振り下ろされる軌道。俺は瞬時に横に跳び相手に隙ができたところ、俺は風魔法で相手を吹き飛ばした。
相手は場外となり戦闘終了の合図が。
そして、俺の試験は幕を閉じた。
後日、ギルドから手紙が届く。
「おめでとうございます。本日より、ブロンズランクです。後日、ギルド証を取りに来てください」
無事合格。
2ヶ月で俺は着実に強くなっている。
それが証明されたようで自然と笑みが溢れた。
*
朝起きると、いつもと違い街が少し騒々しい。
どうやら森で多くの魔物が出現したようだ。
ブロンズ級に昇格した俺にも、ギルドから出動要請がかかった。
出没した魔物は、今の俺でも太刀打ちできるという。だが、数が多すぎて人数が足りないらしい。
ルミナを連れてギルドへ向かう。
話によると、大量発生しているのはゴブリンとのこと。緊急事態のため、それ以上は聞けず森へ向かった。
森に入ろうとすると、そこにはすでに戦っている人たちと大量のゴブリンがいた。
血の匂いが漂い、恐怖心が俺の足をすくませる。
それでも、俺は戦闘に加わった。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
何度も魔法を放つが数は全く減らない。
少しずつ俺たちは押し返される。
ーーこのままでは、村に被害が…
あれを試すしかないな。
そう思い、練習していた初級魔法を試してみる。
「フレイムサークル!」
ゴブリンの群れに二重詠唱で火魔法を放った炎が広がり、周囲のゴブリンを倒した。
血の匂いも焦げた草の匂いに変わる。
ルミナの支援もあってか、戦況が少しずつ変わった。
なんとか全てのゴブリンを倒しきった頃、俺の魔力は枯渇し、日も沈みかけていた。
家に着くと、疲労でそのままベッドに倒れ込む。
翌日、ギルド嬢が家を訪れた。
「アレンさん、お時間ありますか」
「大丈夫です」
そう答え、俺はギルドへ向かった。
ギルドに到着すると、俺は客間へ案内され、落ち着かないまま席に座った。
ギルド嬢は話を切り出した。
「昨日の戦いを覚えてる?」
黙ったまま、俺の顔をじっと見つめる
「何かまずいことでも…?」
不安げに聞くとギルド嬢が笑みを浮かべた。
「いや、そうじゃないの。君、二重詠唱したらしいね。しかもフレイムサークル。ブロンズ級の実力じゃないわ。」
「そう、それで、特別に昇格試験を受けてみない? 実力はわかっているから、筆記試験だけでいいの」
俺は一瞬、言葉を飲み込んだ。
「受け…たいです。」
「じゃあ、いつ頃がいいかしら。早くても、2週間後とか?」
ーー受けられるなら今すぐにでも受けたい。
思わず口に出す。
「今からでもいいですか。」
ギルド嬢は驚いていたが、すぐに試験会場へ案内してくれた。
会場には俺とギルド嬢の二人だけ。
そこに以前感じた緊張はなかった。
俺は、今回も本での知識が役に立ち、筆記試験の時間半分を残して提出した。
ギルド嬢が採点して言った。
「すごい全部あってるわ。」
「おめでとう、シルバー級合格よ。」
結果は見事合格。
こうして、俺はシルバー級に昇格した。
前日戦った成果を評価されたとはいえ、ブロンズからシルバーまで一気に上がるなんて、少し信じられなかった。だが、ここから俺の本格的な任務を受けられる。――そう思うと、胸が少し高鳴った。
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