3話 出会い
数日後、母と買い物をしに王国を訪れた。
――俺の目的は図書館だ。
図書館へ行く前に、仕方なく母の買い物に付き合う。
ようやく、買い物を終えた頃空は赤くなり日が沈む頃だった。俺は数分後には閉店する図書館で、あの本を探した。
すると――ある本がひとりでに動いた。
「ガタガタガタ」
思わず火魔法を放ってしまった。
しかし、焦っていたのか、ライターの火ぐらいしか出なかった。
ーー本に燃え移ったら一大事だった。
安堵していると、古くなった本棚と擦れ合い、嫌な音が鳴った。
今の俺には周りの音なんか聞こえていなかった。
俺は恐る恐る近づいてみる。
すると表紙には潜在能力の向上の文字があった。
「あっ!」
思わず声が漏れる。
ここで自分のものにしないと後悔する気がする。
そう直感した俺は、母にこの本を購入できないか頼んだ。
だが、図書館の本は購入できないとのこと。
これは譲ってもらうしかない。
俺は係員のもとへ向かった。
「どうかされましたか?」
「この本が欲しいんですけど……」
すると係員は、首をかしげて言った。
「…ちょっとお待ちください。」
すると別の係員が来た。
「この本は扱っていないです。」
「前例はないのですが、周りの人に秘密にしていただけばお譲りします。」
ーー扱っていない…
前にも同じことを言われた。
しかし、俺は本を抱え、気分良く家へと帰り、その本を本棚にしまった。
ーーこの時、俺は完全に見逃していた。この本のことを。
*
本を持って帰ってきた日の翌日には、あの怪しげな本のことはすっかり忘れていた。
数日後、本棚を見ると、見覚えのない一冊が置いてある。
手に取ると、表紙には「アレン・アルヴィス」と書かれていた。俺のアルバム…?
中を覗くと、真っ白なページが広がっている。
本を閉じた、そのときだった。
「坊や、久しぶりだね」
ーーこの口調は…
どこからか、あの時出会った婆さんの声がする。
「こっちじゃ。」
辺りを見渡すが、誰もいない。
息が詰まるような静寂の中、思いもしないところから声が聞こえ、体が震えた。
「どこだ!」
ーーいざとなったら…
俺は少し身構えた。
「まぁ、そう身構えるんじゃない。」
「おぬしに、潜在能力なついて教えてやろうかと思って。」
「それをしてお前に何の得がある!」
「ただの慈善活動じゃ」
ーーそんなはずはない……
俺の手のひらに冷や汗がにじみ、心臓が耳まで響くように鼓動した
「とりあえず出てこい。」
俺は怒鳴りつけた。
「……目の前にいるじゃないか。」
俺はその瞬間、手に持っている本がしゃべっていたことに気づいた。
婆さんはこの本だったのだ。
俺はすかさず詠唱し火魔法を放つと、婆さんはいとも容易く俺の魔法を打ち消した。
「はやくあけんか。」
本の両端を親指と人差し指で摘み、恐る恐る開くと、
目の前が光り輝いた。
本には、文字が浮かび上がった。
「まずは潜在能力について説明しよう。」
なぜか俺に教えてくれるかがわからないが、何か手掛かりが掴めるかもしれないーーそう思いばあさんの話にのめり込んだ。
「潜在能力は生まれ持った力じゃ。
発動するときには魔力を使う。」
やっぱりそうなんだ。予知したときにやけに疲れたのは、魔力を消費していたからか。
「そして、潜在能力を向上させるには、発動回数が肝なんじゃよ。」
――そう言えば、前にも同じことが書かれていたな。
この本に尋ねてみる。
「でも、自分からは使えないよね?」
すると、目を疑うような文字が。
「はっはっは。
それが、実は潜在能力は自分でコントロールできるのじゃよ。」
しばらくすると、文字は静かに消え、白紙のページだけが残った。
潜在能力のコントロールについては、手がかりがつかめなかった。そして、この本、いや、婆さんの素性も漠然としたままだったーー嘘を言ってるかもしれない。
だが、ばあさんの言葉を信じる他に道はなかった。
ばあさんによると、魔力総量が大事だということしか分からない。
――その魔力総量を伸ばすには…
以前、王国の図書館で読んだ本を思い出す。
魔力の総量は、己の器に依存する。
器を大きくするには、体と精神を鍛えることが大事だ。
さらに、魔力総量自体は増えないが、消費を抑えることで実質的に増やすこともできる。
父は警備隊、そして母はプラチナ級の賢者だ。両親に聞けば、何か手がかりを掴めるかもしれない。両親に稽古を頼むことにした。
父は快く受け入れてくれたが、母は猛反対だった。
どうやら魔法は危険で、俺には使ってほしくないらしい。
何度か頼み込んだ末、母も折れてくれた。
こうして、俺の特訓が始まった。
体を鍛え、魔法の訓練をし、読書をして知識を蓄える。前世ではできなかったことだ。
初めは3日でやめて投げ出すこともあった。
それでもせっかくの転生を無駄にせず、続けていた。
そんな日常が当たり前になっていき、気づけば中級魔法を少しだけ使えるようになった。
初めての小説です!
読んでくれてありがとうございます。至らないところも多いと思いますが、お手柔らかにお願いします。
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