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2話 婆さん

事件のひと段落がついた頃、未来予知について、母に聞いてみた。


「僕、未来予知できるみたい。」


俺は少し自慢げに話した。


「未来予知? そんなの聞いたことないわ」


俺はわからずじまいだった。



後日、王国から父宛に手紙が届いた。

――あの事件で表彰したい、とのことらしい。


「表彰か…」


隣の部屋で、父と母の会話が聞こえてきた。

どうやら、父は元貴族で訳ありという事情があるらしく、仲間と右腕を失った後悔もあり、父は王国と距離を置きたがっているらしい。


そんな事情を抱えながら、俺たちは家族全員で表彰式前日に王国へ向かった。


時間に余裕があったので、フィンを抱いている母と国立図書館に立ち寄った。

そこには、一生をかけても読みきれない量の本が並んでいた。


「おぉ…」


思わず声が漏れる。


俺の腕に収まりきらないくらいのたくさんの本を取り出し、机に並べた。


「魔法には6つの階級に分かれている。

初級魔法、中級魔法、・・・」


色々な本を読み進めていると、ふと一冊の怪しげな本が目に入った。

表紙には「潜在能力の向上」


気になって中を覗くと、自分で潜在能力を強化できる方法が書かれていたのだ。


その方法は、潜在能力を発生させる回数を増やすことが重要である。


しかし――どうやって自発的に潜在能力を使うかが、まだ腑に落ちない。


俺はまだ本を読み進めたかったが、時間も遅くなったため、母に無理やり連れてかれて、宿へ戻った。



翌日になり、父の表彰式へ向かう。


父の手元に賞状が渡される。壇上で微かに光る父の瞳が、どこか遠くを見つめているように見えた。喜びに満ちた表情の中に、ほんの少しの影――悔しさが混じっていた。


右腕を失ったこと、あの時仲間を助けきれなかった後悔。表彰されること自体は名誉なのに、父の胸の奥には、達成感だけでは満たされない思いがあるのだろう。


「……かっこいいな」


壇上の父は、たしかに強くて頼もしい。でも同時に、人間らしい弱さも抱えている――その背中を見て、少し切ない気持ちになった。


拍手が鳴り響く中、父は深く息をつき、賞状を大事そうに胸に抱えた。その仕草ひとつひとつが、父の誇りと悔しさを同時に物語っているように思えた。


リーファ村へ帰る途中、昨日の続きを見に図書館に立ち寄った。

すると、怪しげな本は見当たらなかった。


俺は気になって職員に尋ねてみる。


「すいません。「潜在能力の向上」って本はどこにありますか。」


「そんな本はうちにはありませんよ。」


職員に尋ねても取り扱っていないという。


――昨日、確実にこの手で持ったのに…



俺の夢で見た光景が、現実になるまでに、わずかな猶予が生まれるようになった。

それに伴い、予知した光景は以前よりはっきりとした形を帯びてきている。

昨日届かなかった未来が今日届いている。

俺は、毎日成長する自分に胸をざわつかせる。

ーー確実に、変わっている。


未来予知をして、目が覚めると毎回少し疲労を感じた

ーー魔力でも消費しているのだろうか。


最近は、毎日魔法の練習をしている。

とはいえ、まだ誰かに教えてもらうような本格的なものではない。

手探りで、少しずつ確かめるような日々が続いていた。


そんなある日、ここらではあまり見かけない婆さんに声をかけられた。


「坊や、こっちへおいで」


――この人には会ったことがない。


けれど、どこかで会ったことがあるような、そんな妙な違和感があった。


知らない人にはついていかないのが常識だが、この優しな声に俺はふとつられた。


婆さんは優しく微笑みながら、俺の目をじっと見つめる。


「あんた、いい能力を持ってるわよね」


――なんのことだ。未来予知か?


いや、その話をしたのは、せいぜい母さんだけのはずだ。


「なんで知っている。」


俺は婆さんと少し距離を取り、声を荒げて言った。


婆さんは不吉な笑みを浮かべ、何事もなかったかのように去っていった。


俺が一番に違和感を覚えたのは、母さんとの秘密を知っていたことだ。


家に帰って母に聞くがその人の正体はわからなかった…

読んでくれてありがとうございます。至らないところも多いと思いますが、お手柔らかにお願いします。

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