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この度、妹にペットされまして……双子の兄弟は先輩の大根と妹を愛育しながら旅をする!  作者: 三田黒兎素
第6章 かいとう

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かいとう2

 夜が明けると同時に、リンリンリンと鈴の鳴る音が結界内に反響し、脳も揺さぶられて夢見の途中であっても、半ば強引に覚醒させられた。特にミヒメは、家族全員でピクニックを始める直前で目覚めさせられてしまったものだから、すこぶる機嫌が悪かった。


「ヒメちゃん、朝ごはん食べようか」

「やっ、いらない」

「ミヒメ、甘い卵焼きだぞ」

「ふん!」


 ヒナタとフウタがなだめるも、ミヒメはそっぽ向いて朝食には目もくれない。


「ミミはお花のごはんが食べたいの!」


 ミヒメが眠っている間に、兄たちが花束に彩られたボウの愛妻弁当を食べたことを偶然知ってしまい、それを全て食べきってしまったことで、更に機嫌は悪化してしまっていた。

 ご機嫌斜めなのは、ミヒメだけではなかった。


「父ちゃん、酷いよ~。母ちゃん、ぼくのために作ってくれたのに~なんでないの~」

「あ~いや~、なんでないのか、父ちゃんにもさっぱり分からんというか……」

「父ちゃんの嘘つき~。夜中に一人で食べたくせに~~~~」

「あ~すまん」

「父ちゃんのばか~」


 向かいでは、ボウがニールをなだめすかそうとしていたが、墓穴を掘っていた。

 ヒナタとフウタが眠り、独り寂しく夜番していたところ、口が寂しくなったボウは、残りの花束弁当を食べつくしてしまっていた。それがなければ、ミヒメとニールの分もあったのだが……。


「う~苦いよ~」


 どらちゃんが身を剥いで作った薔薇の大根は、やっぱり大根の味だった。エキスは健康的ではあったとしても……ミヒメの涙声にどらちゃんの茶色の瞳から涙が零れる。

 そして――どらちゃんのミヒメへの重い想いが、奇跡を呼び起こした。


「うわ~、野イチゴがいっぱい~。わ~い、わ~い。すっぱいけど、ん~甘い~」

「ハナちゃん、みんなも、野イチゴの花がいっぱい咲いてるよ~」


 どらちゃんの想いは愛の花を開かせた。

 ミヒメのニールは不機嫌も忘れ、笑顔を取りもどした。

 花蜜蜂たちもクルクルと飛び回り、花の蜜を集めていた。

 ヒナタとボウは野イチゴを収穫し、フウタはミルクジャムを作り、野イチゴと収納していたバナナとキウイの切り口が花束に見えるサンドイッチで幼子たちのハートをキャッチした。

 多少のゴタツキで出発が遅れたものの、ボウを先頭にミヒメたち御一行はワートル村に向かった。


「父ちゃん、凄~い!」

「ボウさん、カッコイイ~」


 道中の魔物は鳥系が多く、空から襲い掛かってくる魔鳥を、ボウが次々とクロスボウで撃ち落としていった。

 ボウの張り切りで、ヒナタもフウタも出番はなかった。

 父親としての威厳や挽回の機会にもなるからと、ヒナタとフウタは最後尾で並んで歩きながら、微笑み合った。

 自分たちの得物も、錫魔蜂たちの戦闘で消耗しており、研磨も不十分なこともあり、積極的には参戦しなかった――という理由もあるが、ボウのクロスボウの闘い方にも学ぶべきことがあり、重視していた。

 ボウのクロスボウの矢は、予め魔導で組んでいるようで、矢を射ると次の矢が現れる。魔鳥が素早く矢が間に合わない時には、クロスボウを器用に振り回してミスリル線で斬っていた。それを実際に目にして、錫魔大王蜂をどのように討ち倒したのかがようやく判明した。

 ヒナタもフウタもボウの闘い方を観察して、サイレントを『リーダー』と呟いていたのを思い出し、ただのダチではなさそうだと、モヒカンと坊主の冒険者のどちらであるのか推測していた。

 その推測は当たっているだろうと確信しながら、ボウのクロスボウと蜂の巣のような頭を見つめていた。

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