初幕
ダンジョンコアは、聖女の心臓だ。
そして、そのコアを維持するために、聖職者だけでなく、高魔力を持つ者も生贄にしている。その犠牲者の多くは冒険者だが、今後は町民や村人など、高魔力を持つ者は狙われるかもしれない。
ヒナタもフウタの魔力は平均よりは高い。旅を続けている中、日々、魔力が多くなってきているのを感じていた。生贄の対象として当て嵌まるだろう。
それはミヒメも例外ではない。下手したら、生贄よりももっと酷い犠牲者にもなり得てしまう。
ミヒメはダンジョンコアを浄化し、コアに封印された魂を解放してしまった。それが可能である唯一であるかもしれないという結果を残してしまった。
ミヒメたちの目的地は、『始まりの地』だ。リゼットの母――ミヒメたちにとっては祖母の墓参りをすることになっているが、その目的が、『始まりの地』に奥深く眠る『始まりの聖女』の魂の浄化と解放になるだろうことは、ミヒメがその身で証明してしまった。
ヒナタもフウタも覚悟を決めなくてはならなくなった。ただ旅を楽しむだけではなくなってしまったのだと。
ミヒメに『ペット』されてしまったことに最初は納得できなかった。しかし、今は――必要だったからそうなった、そう許可した。
ヒナタとフウタがダンジョンコアに呪われ、ミヒメが二人を『ペット』することで呪いからは解放された。
花蜜蜂と契約する『養蜂スキル』を持つニールとの出会いも、ただの偶然ではないのだろう。
全ては運命の導き――それが答えだろう。
――両親はいつ合流するのだろうか?
ヒナタとフウタは両親に思いを巡らせながら、ワートル村に無事に辿り着くための策を講じていた。
行く先には、ヒナタの天敵ともいえる、錫魔蜂が待ち受けている。何度も地図を確認するも、避けて通ることは無理なことが分かった。
「よし、できた!」
ヒナタは『鍛冶スキル』を活かして、様々な魔導具を制作した。
「みんな、これ身に着けてね」
ヒナタはフウタやミヒメ、従魔の大根に白狼、そして、ワートル村までの旅の仲間であるニールと花蜜女王蜂(+兄弟蜂が住まう巣箱)に、黒曜石を加工したペンダントを配っていった。
黒曜石はくぅちゃんとの出会いの場所に落ちていた記念すべき大切な石で、ペンダントとして身に着けることで小さな結界が張れるように魔導を施した、丸1日を費やしたヒナタの一級品だった。
「2~3回くらいの衝撃なら身を守れるけど、それ以上は結界の効果が切れてしまうから、注意してね」
「うん」
「はい」
ヒナタの説明に、皆が一斉に揃って肯いた。
「こっちも準備OKだ」
フウタは掃除魔法で散らかったゴミや出したままの調理道具を拾い集め、結界内を綺麗に清掃していた。
ヒナタが最後に結界箱のスイッチを切り、魔導鞄に仕舞った。
「しゅっぱ~つ!」
ミヒメたちはワートル村に向けて出発した。




