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この度、妹にペットされまして……双子の兄弟は先輩の大根と妹を愛育しながら旅をする!  作者: 三田黒兎素
第5章 ハニー

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幕間

「――ハニーダンジョンのダンジョンコアは見つかったのか!!」


 神聖教会大本部の地下室で、大神官長の怒声が響いた。


「それがまだ……」

「何をやっている、今すぐ探せ!!」

「か、畏まりました」


 大神官長の命令に、神官長が慌てて部屋を出て行こうと扉に手をかける――その前に扉が開く。


「その必要はない。どうやら――浄化されたようだ」


 教皇は足も立てずに部屋の中へと入ってきた。


「浄化されたと!? 何者がですか?」

「さあな。誰かは分からないが、始まりの聖女よりも遥かに強い力を持つ者であろうな」

「だとすると――」


 ――魔王。


 それぞれの頭の中に同じ文字が浮かんだ。


「そういえば――『始まりの地』は今、どの者が担当している?」

「今はおりませんね。あそこは人気がありませんから。20年ほど前に、期待外れの聖女と神聖力が僅かばかりの下級の聖騎士が派遣されたのが最後ですな」

「その者たちは今、何処に?」


 教皇と大神官長の会話を基に、神官長が記録簿を探していた。


「――記録によれば、魔獣大量発生の犠牲となり急逝、となっております」

「そうか……いずれにせよ、ダンジョンコアを浄化した者は『始まりの地』を目指すであろうから、そこで対峙するとしよう」


 教皇はゆっくりと外に繋がる扉に向かっていく。やはり、足音はしない。


「あ、そうそう。ハニーダンジョンを探る町長はどうした?」


 教皇は扉の前で振り返ると、鋭い視線を大神官長に向けた。


「だ、だ、ダンジョンの大崩壊の犠牲になりました」


 虹色の瞳で睨まれた大神官長は、どもりながらも何とか答えた。


「――そう」


 実際は、犠牲で命を落としたわけではない。そう見せかけて始末した意図に気づいた教皇は、それ以上、詰めることはなかった。落としどころとしては充分だったのだろう。


「最近のダンジョンコア、制御しきれていないようだけど、無理そうなら――」

「心配は不要です。わたくしめが自ら赴いて、制御して参りますので」

「そうか、期待してるよ。良い知らせを待ってるよ」

「お任せください」


 教皇が部屋を出ていくのを、大神官長と神官長が頭を下げて見送った。

 教皇が部屋を出て行き、完全に気配がなくなったところで、大神官長が自身の爪を噛んだ。その瞳は白く濁んでいて、生まれ持った色は隠れている。あれでは、目先の欲のことしか見えないに違いない。


「まずいぞ、まずいぞ……最近は質の良い神官も聖女もいないのに……聖騎士を減らすわけにもいかんし……」


 最近のダンジョンコア生成の失敗が続いていた。しばらくは成功することもないだろう。

 管理していたダンジョンコアのいくつかは行方知れず。

 まるで――ダンジョンコアそのものが反抗しているかのよう。

 数個のダンジョンが大崩壊し、ハニーダンジョン以外のダンジョンコアは回収できているが、その管理していたはずのダンジョンコアすらも暴走し、制御するのに困難を極めている状態だった。


「おい、お前が何とかしろ。任せたからな」


 大神官長は唾を吐きながら怒鳴り散らすと、神官長を残し、部屋を出て行った。


「神官長まで上り詰めたのいいが、真実は恐ろしいし……サトウキビ畑の問題が先、か……」


 残された神官長が哀愁を漂わせ独り言ちた。

 神聖教会の企図とは関係なく、サトウキビ畑のほとんどは壊滅した。


 ――あれは酷い質の砂糖だったから、あの近くのダンジョンコアの怒りに触れたのかもしれない。


 特に、あのダンジョンコアの暴走を鎮めるのが大変だったと、神官長の顔色は苦労を滲ませている。

 ため息を吐きながら、琥珀色の瞳で壁の向こうを見つめていた。


 ――瑠璃の聖女、無事に逃げられたかな。


 心の中で呟きながら、神官長も地下室から出て行った。

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