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この度、妹にペットされまして……双子の兄弟は先輩の大根と妹を愛育しながら旅をする!  作者: 三田黒兎素
第5章 ハニー

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初幕

 左右を森に挟まれている行路を、フウタ、ミヒメ、白狼(くぅちゃん)、ヒナタの順で歩く。

 柚大根が特産のスカビオサ村を出発してからずっと、この並びで進んでいる。

 先頭を歩くフウタは、生き生きと輝いている。

 その後ろを歩くミヒメは、新調した靴の履き心地が良いのか、体力もついてきているようで、自分の足で歩く距離が長くなってきている。くぅちゃんの身体がまた大きくなり、胴環の調整も難しくなり、乗り心地が悪くなってしまったのが原因でもあった。

 弟妹の背中を視界に入れながら歩くヒナタの表情は陰りを見せていた。時折、ため息を零すも、内側で燻ぶっている昏く重い感情が上手く表に出せないからか、息も少量しか吸えていないような気がして、苦しさを感じる。

 スカビオサ村に到着する前のフウタの憂う顔を思い出し、今の自分も同じ顔をしているのかと思うと、自嘲が口から洩れた。誰も見ていないからこそ、容易に出てきた。


 フウタが元気になって良かった。ヒナタは素直にそう思えた。

 ミヒメも笑っている。


「ひーたん、この靴歩きやすい。いつもより、いっぱい歩けるよ!!」


 作った甲斐がある。ヒナタは嬉しいと思う反面、後ろ暗い感情も芽生える。

 可愛い妹だと思うからこそ、憎しみも同時に生まれる。

 ヒナタが『鍛冶』に特性があることを気づかせてくれたのは、ミヒメだ。成長を導いてくれたのも。だから、恩も感じているし、感謝もしている。それなのに、時々、憎いとも思ってしまう。

 それが何故なのか分からなかったが、フウタとミヒメを後ろから見ていると、その理由に気づく。


 ――フウタに守られるミヒメが気に入らない。


 確かにヒナタは守るのは苦手だ。攻める方が得意というより、好戦的だと自覚している。

 全ての敵を討ってしまえば、守る必要がなくなるからと、先頭に立っていた。

 しかし、それは絶対に無理だとスカビオサ村で痛いほどに実感してしまった。魔獣が大量発生してしまえば、自分を守る余裕すらなかった。守るはずのヒナタは、フウタやミヒメに何度も助けられた。

 先頭で数を減らすと言いながら、実際は大した役目も果たせていなかった。情けなさを見せただけだ。


 ミヒメが生まれてから、フウタはミヒメの面倒をよく見るようになった。

 リゼットの産後の体調も思わしくなく、乳の出も悪いからと、母乳が出すぎて困っているという母親のところに余った母乳を譲ってもらいに行くのはヒナタの役目で、母乳を入れた哺乳瓶をミヒメに飲ませるのはフウタの方が得意だからか、いつのまにかフウタの役目になっていた。

 離乳食だって、フウタの方が作るのも味も美味しいから、それもフウタの役目になった。面倒見がいいのか、チマチマ離乳食を食べるミヒメに付き合うのも、フウタが適していた。


 ――ミヒメが生まれるまでは、フウタの傍にいつも居たのはヒナタだったのに。


 フウタがヒナタよりもミヒメを構うようになってから、ヒナタは面白くない。

 だから、ミヒメを守るフウタを見なくてすむように、ヒナタは先頭を走った。

 それなのに今は――先を歩く、フウタとミヒメの姿ばかりが目に入る。

 襲ってくる魔物も数匹くらいで、ヒナタに辿り着く前に、フウタとミヒメで片付いてしまう。

 影魔法を操るミヒメも充分に強かった。


「ナイス、アシスト!」

「イエ~イ」


 フウタとミヒメがイイ笑顔でハイタッチする。

 ヒナタの助けは不要だった。それを目の当たりにするのが辛い。

 ヒナタが無理やり参戦しても、上手く連携は取れないような気がする。

 ヒナタは、居ても居なくても、フウタとミヒメの二人旅でも大丈夫かもしれない。そんな考えばかりが浮かんでくる。


 ヒナタの存在意義が大きく揺らいだ。

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