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この度、妹にペットされまして……双子の兄弟は先輩の大根と妹を愛育しながら旅をする!  作者: 三田黒兎素
第4章 せんとう

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終幕

 残りの魔物の解体も全て終わり、ワスレナグサ村へ問い合わせた甜菜の件も、順調に取引できたオーシャンはホクホク顔だったが、その裏では増えすぎた悩みに憂う顔もあった。

 柚大根も盗難未遂もまだ解決していない。黒幕が裏で手を引いたのか、捕らえた冒険者たちは姿を消した。

 それよりも何よりも、娘のルナリーナが、柚甜菜(ゆーたろう)と契約してしまった。

 新種のマンドラゴラの誕生。祝いたいが、素直に祝えない。

 祝福がこれからだったルナリーナのスキルが『しゅご』だったことが先に知れたのは、幸いだった。属性魔法が『けっかい』であることも判明し、近い将来、『しゅご』は『守護』に。『けっかい』は『結界』になるのではないかと思われる。

 神聖教会で祝福を受けなくてはならなくなったとしても、レインが『隠蔽スキル』で祝福したので、当面は誤魔化せるだろう。


「オーシャン、心配しなさんな。大丈夫じゃ。レインさんが教えてくれたじゃろう。向日葵の種を村を囲うように植えて花咲かせていくと、結界のような働きがあるかもしれないと言っておった。向日葵も南瓜の種も栄養あるし、フウタくんからは悪者を撥ね退ける陣を譲ってもらい、ヒナタくんからは陣を発動する魔導に関する教えも請うた。そう簡単にはルナリーナも攫われることはないじゃろう。ゆーたろうという頼もしい家族もできたのだし、なんとかなるじゃろう」


 レインは急用ができたと、夜が明ける前に出発していた。


「それに柚大根たちもおる。甜菜を広めて、あいつらの権力を削ぐんじゃろ。わしもまだまだ元気じゃ。あの種、食べたら元気になった。オーシャンも食え」


 オーシャンの父親である村長がオーシャンに向日葵の種と南瓜の種を差し出した。娘の愛が籠った守護の種でもある。


「父さん、ありがとう」


 オーシャンは目をゴシゴシしながら、向日葵の種と南瓜の種を食べる。元気が湧いてくるような気がする。

 おっちゃんと呼ばれることが多くなり、自らもそう言ってしまうこともあるが、父親だけは変わらずに今でも「オーシャン」と呼んでくれる。それがどんなに有難くて嬉しい事か、改めて感謝していた。


「ミミちゃん、また遊びに来てね」

「ルルちゃん、またね」


ルナリーナとミヒメが手を取り合う、その真下で、大根(どらちゃん)柚甜菜(ゆーたろう)も身を寄せ合って挨拶を交わしていた。


「お世話になりました」

「収納袋、上手く使ってください」


 別れ際に、フウタがオーシャンに収納袋が詰まった、普通の袋を渡していた。

 悪用が防げる収納袋、色々と切り札にも使えるだろう。


「ありがとうな。色々と村を助けてくれてありがとう」


 オーシャンの後ろで、解体師の親子も大きく肯いていた。

 冒険者たちも、補水液を片手に見せつけるように高く掲げている。

 補水液は解体でたくさん汗をかく者たちにとって、欠かせないものになった。この先、解体の技術も向上していくだろう。


「行ってきま~す」

「行ってらっしゃい」


 ミヒメたちの新たな旅が始まった。



 フウタは、得物が解体包丁をアレンジした刀とはいえ、所詮は包丁だと恥ずかしく思っていたが、今回の魔物討伐で、恥ずかしくもない、立派なんだと()った。ようやく胸が張れるようになった。

 それに守る方が結構大変だと気づいた。弱くては守ることもできない。

 先陣を斬るのも殿を務めるのも、どちらも優劣はないのだと。

 フウタも強者から比べるとまだまだだが、今回の経験を通して前よりも強くなったことを実感した。

 守る方が得意というか、そういう資質が強いと自己分析したが、偶には先陣を斬りたいと思ってしまう。


「ヒナタ、暫くオレが先陣斬るから!!」


 ヒナタを追い越して、フウタは魔物へと駆けて行った。その手に握る解体包丁の刀が太陽の光に反射して、煌々と輝く。

 その一方で、太陽の光を雲が覆い隠し、フウタを背を追うヒナタの顔に影が射した。その表情は一層(くら)く見えた。

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