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この度、妹にペットされまして……双子の兄弟は先輩の大根と妹を愛育しながら旅をする!  作者: 三田黒兎素
第4章 せんとう

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せんとう6

 村長宅で一夜を過ごし、夕食をごちそうになった後、疲れからすぐに眠ってしまった。

 起きたのも、朝と昼の丁度真ん中くらいの時間で、遅い朝食を食べて、ようやく約束の収納袋の確認となった。


「これが、一回使い切りの倉庫1棟分の収納袋か。悪用を防ぐ陣が……コレか。よくこんな複雑な陣を組み合わせて刺繍にするなんて、見事としかいいようがないな」


 商業ギルド長のオーシャンは、フウタから渡された未使用の収納袋を解体し、隠していた魔導の核となる陣を取り出し、見様見真似では簡単に複製できない刺繡の陣を見て、絶賛していた。

 ちなみに、悪意のあるものが解体すると、陣は消滅する仕様になっている。


「ミミのふうちゃは、すごいの。これもこれも、そしてこれもみんな、ふうちゃのお手せいなの。このポシェットはふうちゃとひーたんのがっさくなんだよ。すごいでしょ?」


 ミヒメは、リュックやポシェット、今着ている服などをオーシャンに見せて自慢している。


「ボクもここまで複雑な魔導はひけないし、ほんと凄いよね!」


 ミヒメとヒナタに褒められたフウタは、照れながらポリポリと頬を搔いていた。


「これは刺繡できるのなら、誰でも作れるのかい?」

「収納魔法が使えて、最初から最後まで無心で刺繍できれば誰でも作れると思う、ます」

「じゃ、いくつ売れる? この陣も売ってくれると、おっちゃん嬉しいんだけど?」


 フウタは目を瞑り、収納魔法に収めてある、収納袋の数を数える。


「倉庫1棟分は、今のが最後の1枚で全部使い切ったか……後は……4分の1が5個と、8分の1が10個、だな?」

「フウタ、陣の方はどうするの?」

「師匠のジンじっちゃんが、絶好の機会が巡ってきたら、その時に思い浮かんだ値段で売れ! みたいなこと、言ってたような?」

「それで、今、浮かんだ値段は?」

「あ、え~と……金貨1枚? でいい?」

「う~ん、妥当じゃないかな?」


 金貨一枚だと、ミヒメたち家族が大体1年暮らせる。高騰している砂糖だと、1㎏購入できる値段ではあるが、購入する必要もなくなったので、ミヒメたちの服や防具代になるだろう。


「金貨1枚は、安くないか? おっちゃんとしては助かるけどさ……」

「そもそもあの陣は、魔導具師のじっちゃんからすると、どうしてあの陣で発動するのかありえねぇと言われてるんだよな。陣としてはメチャクチャなんだって。偶然の産物で、そういう陣だと判るというか、発動したらそうなったというか。そういうものだって信じないと発動しないというか。辻褄が合わない陣なんだってさ。それに、満杯になる前に途中で取り出したら、入れることもできないし、出し切ったら、効果も切れるしで、使い勝手が悪い。オレもそればっか作ってるのも面倒だし、金貨1枚でいいよ。在庫の方は、要相談?」

「それでいいんじゃない? 作り手とか、販売とか、全部商業ギルドに丸投げできるし。特許もいらないかな? それこそ、神聖教会に目をつけられたくないしね。うん、ギルドに丸投げしよう。そうしよう」

「うん、そうしましょう!」


 ミヒメも理解しているのかは定かではないが、一緒に賛成していた。

 ミヒメの必殺技、『お願い』が効いたのか、「丸投げか……」とオーシャンは顔を引き攣らせながら、反論することもなく金貨1枚で商談は成立した。

 フウタは腕の銅の冒険者証とオーシャンの黄金の商業ギルド長証と照らし合わせ、金貨1枚を冒険者証に送金してもらっていた。


「さてと、そろそろ解体に行くか。お前たちも手伝ってくれるよな? 駄賃として、銭湯と食事宿代は無料だ。3日程、泊っていけ。その方が、身体も休まるだろ。素材の換金も、解体しなければ、支払い金額も確定できない。ただ待つのも暇だろ? 解体で身体動かそうぜ」

「分かりました。手伝います」


 ヒナタの返答に、フウタも肯いて同意した。


「オレたちは商業ギルドに行くけど、ミヒメはどうする? 一緒に行くか?」

「ミミは、ルルちゃんとここのお庭であそぶおやくそくしたから、ここでおるす番する」

「――あ、ミミちゃん、ここにいたんだね。お父さん、用事おわった?」


 オーシャンの娘――ルナリーナがミヒメを迎えに来た。オーシャンと同じ青金石の瞳で、白金色の髪をを頭の横でお団子にしていた。

 ミヒメに「お団子にして」とお願いされたものの、初めての試みで、なかなか綺麗なお団子にならずに苦労した朝のひと時を思い出していた。ヒナタは即戦力にならず、すぐに撤退していた。


「行ってきま~す」

「行ってきます~」


 ミヒメはルナリーナと手を繋ぎ、庭へと駆けて行った。その後を、どらちゃんを乗せたくぅちゃんが追いかけていった。


「さてと、おっちゃんたちも行くか」

「はい」

「は~い」


 ヒナタとフウタは各々専用の解体道具が入っているか魔導鞄を確認し、オーシャンの後をついて行った。

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