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この度、妹にペットされまして……双子の兄弟は先輩の大根と妹を愛育しながら旅をする!  作者: 三田黒兎素
序章

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始まりの聖女

 『そら』が世界に落ちてきた――。


 生まれ落ちた世界には瘴気が生まれた。

 そして、瘴気を浄化する『始まりの聖女』が生まれた。


 聖女が生まれてからずっと『ソラ』は観ていた――。


 聖女は、この世界で唯一人、瘴気を浄化できる存在となった。

 やがて、聖女は旅に出て行った。


 その旅路を『空』が観ていた――。


 聖女は瘴気に侵された土地を、人を、獣を浄化していった。

 救われた土地に住む人々は聖女を称賛した。


 その様子を『天』は観ていた――。


 聖女は瘴気に侵された魂をも浄化していった。

 救えなかった命に残された人は聖女を罵倒した。


 その様子も『宙』は観ていた――。


 聖女の傍には守護者が現れ、その者は聖騎士と呼ばれるようになった。

 聖騎士は襲ってくる魔獣から聖女を守った。

 魔獣を斬り、瘴気に侵された剣を、聖女は浄化する――その身を犠牲にしながら。

 聖騎士は魔獣に襲われている貴人たちを救っていく。

 瘴気を斬る剣は聖剣と名づけられ、聖騎士も称賛されるようになった。

 だが、その剣は瘴気を喰らうだけで、浄化はできない。

 瘴気を喰らった剣を、聖女が浄化していく――また、その身を犠牲にして。

 聖騎士はどんどん魔獣を斬り、聖剣は瘴気を腹いっぱいに喰らっていく。

 聖女の浄化は追いつかなくなった。

 それでも聖騎士は聖剣に瘴気を喰わせていく。

 聖騎士は英雄となって、お姫様と結ばれたかったから。


「さっさと浄化しろ!」


 聖騎士の命令に聖女は応えた――聖騎士を慕っていたから。

 聖女が身を犠牲にしてでも聖剣を浄化したのは、聖騎士に幸せになって欲しかったから。

 けれども、やがて限界がきた。


「もう無理。できない……」


 聖女は涙ながらに訴えた。

 瘴気を取り込みすぎて浄化が追いつかなくなった身体のどこにも瘴気は入らない。


「浄化しないなら斬るぞ」


 聖騎士は脅すつもりが、手元が狂い、聖女の足首まで伸びている白い髪を肩口で斬ってしまった――聖女の証でもある純白の白い髪を。

 瘴気を繋ぎ止めていた純白の髪を失った聖女の髪は漆黒へと変化し、柘榴の瞳も皮膚も爪も身体中全てが漆黒に塗り替えられた。


「うわぁぁぁぁぁぁぁ、化け物――」


 瘴気そのものになった聖女を聖騎士は聖女の心臓目掛けて、聖剣を突き刺した。

 聖女は瘴気を喰らい過ぎた聖剣と一緒に、聖騎士ごと喰らい尽くした。

 すでに聖騎士の身体は手の施しようがないくらいに瘴気に侵されてしまっていたから、それが聖騎士の幸せだと聖騎士を慕い続ける聖女が下した最後の慈悲だった。


 聖女と聖騎士、そして聖剣はひとつになり、瘴気の核になった。

 瘴気の核は地中深くへと沈み、地上から姿を消した。


 その様子をたくさんの『宙』が観ていた――。

 そして――たくさんの『宙』が時空を超えてこの世界へと落ちてきた。


 聖女が聖騎士と聖剣を瘴気で喰らい尽くした様子を見ていた人たちの誰かが、『聖女』を『魔王』だと叫んだ。

 それで、『聖女』は封印され、『魔王』と上書きされてしまい、『魔王』と名付けられてしまった。

 聖女を消し去ってから、瘴気は溢れて行った。

 この世界が瘴気で崩壊するその直前、白い髪の聖者が現れ、瘴気を浄化していった。

 次第に白い髪の聖者が増えていき、瘴気で穢れた土地も人も獣も浄化されていった。

 どの聖者たちの白い髪には純白の白いリボンが結ばれていた。



 数千年後経った今でも、瘴気の核である『始まりの聖女の心臓』は、瘴気が地上に溢れ出ないようにと(こいねが)う聖女の祈りによって地中深くに眠っている――。

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