不安と登校
夕飯前になると妹が帰ってきた。
俺と同じ高校の女子生徒を見なかったか?と聞いたが、見ていないとの事だった。
本当に悪い夢でも見たのではないだろうか。
翌朝、不安を抱えつつ学校に行くことにした。
(会長に出会いませんように……)
心の中で何度も祈る。
駅から学校まで歩いている生徒は沢山いる。
その中に身を潜め、周りを気にしながら登校する。
いつもなら紅輔と出会う時間だが今日は人混みから見つけることが出来なかった。
(朝練でも始まったかな?)
陸上部には朝練の日がある。
とはいえ強制ではなく自主的な判断に基づいて行っているものではあるが。
どうやら会長に出会わずに学校にたどり着くことが出来たようだ。
あとは今日が無事終わることを願うのみである。
学校に着いてから授業が始まるまでいつも読書をする。
これは趣味で、という訳では無い。
中学の頃お世話になった先生からの受け売りをつづけているだけである。
しばらく読書をしているといつもなら紅輔が話しかけてくる。
しかしホームルームの時間が近づいてもその時はやってこなかった。
(珍しいな……遅刻するタイプじゃないんだけど)
朝練がある日でも遅刻したことは無い。
それは昨年同じクラスだったから知っている。
チャイムがなると同時に「セーフ!」という声が聞こえる。
どうやらギリギリ間に合ったようだ。
「本当にギリギリでしたね、清水くん。しかし廊下は走ってはいけませんね。さて、ホームルーム始めますよ。席に着いてください。」
紅輔が入室してきたドアと反対のドアから先生が入ってくる。
どうやら走ってきたところはばっちり見られてしまったみたいだ。




