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エピローグ
「私と一緒にニセモノを探してくれないか?」
高校2年生になって1週間が経つ日、よく見知った通学路で物陰から姿を現した少女はそう言う。
見知った顔、生徒会長。
彼女はそういうと唐突に手を差し出す。
今まで1度も接点などない、何を言っているかも分からない。
人違いしているのだろうか?
「えーっと、人違いですか?探し物?この近くでなにか無くしたとか?」
「人違いなどではない、私は君に話に来たんだ、2年4組齋藤青葉くん。これは君にしか頼めないお願いだ。」
容姿端麗成績優秀、悪い噂なんて聞いた事がなくその上実家はお金持ちと聞いた、そんなお方に話しかけられたら誰だって萎縮するものだ。
しかも言っていることがよく分からないときた。
この場を逃げたい気持ちでいっぱいになり、咄嗟に家に向かって走り出す。
まるで不審者にでも出くわしたかのように慌てて自宅に入り鍵を閉める。
(今のは一体なんだったんだ。)
これは夢だ。
そう思うことにした。