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この世をば、、、



1167年に太政大臣になってから少しして、病で死にかけたことがあった。殺生道に生きる者である自分もいつかは死ぬ。殺されるかも知れない。そう思っていたが病とは。しかし回復しまた時子や重盛の顔を見れた。

「佛のお助けがあったのか。」

若い頃に南都北嶺の強訴に馬上から弓を射て鎮圧していた自分がと思ったが、思考が馬鹿に冴えてきた。何か自分にまだ成すべきことがある、それを成せと言いたいのか?清盛、超越との接触であった。この時、髪を下ろし「相国入道」とも言われるようになる。その時より都には赤い直垂を着て髪を切りそろえた12〜16の禿達が出没し出した。平家への悪口雑言を言うものがいれば彼らが聞き知らせ、捕縛されるそんな締め付けが始まった。まだ無知で純粋な若者を用いた親衛隊であった。平家を率い、この日の本六十八国を切り回す自分は正しくあるべきだ。いや正しい。ならば批判をするものはそれを邪魔する許しがたい者達だ。許してはいけない。まだやるべきことは多いのだから。


「この世に思いのままにならぬもの、、、」

事が破れてウンザリと言い始めてやめた。僧兵は平家が圧倒した。賽の目、賀茂川の流れはそう言って長い。後白河法皇は世を伺っている。まさか36年前には盗賊を捕まえて走り回ってた者が太政大臣とは。そして大陸との貿易も侵食している。朝廷の公卿は清盛の方ばかりを見ている。成り上がりものが。

「もし徳子の産んだ子が皇太子になるのなら清盛めはそれほどの力を得る?」

そして上皇である自分は?焦ってはいけない。仕掛けるには局面がある。それを知るのは日本一の大天狗である私だ。

「しかし、つまらぬ奴よ、、、。」

俊寛のことだ。非平家平氏や北面の武士を巻き込んで大がかりな事を企んでいたが、事がバレて捕まった。祖父の大納言源雅俊は怒りっぽく偏屈な人間だったが、孫もそれに似て気性が激しく驕り高ぶった奴だった。鹿ヶ谷の別荘に顔を出したがその時のふざけっぷりでこれはだめではと思ったものだ。惜しいとすれば平家へ反感を持つものが大量に捕まり追放されたことだ。まあこの世は騒がしい。政治の中心の平家に対立するものは幾らでも出てくる、機を待つさ。なんなら奥州藤原というのも居るしな。


鹿ケ谷の陰謀論は5年間も準備された、平家討滅計画だ。それがバレた1177年のことだ。

藤原師高という者が加賀守に任官されたが、任地の加賀国で神社仏閣や地元権力家の荘園を強引に没収し騒ぎを起こした。またその弟も慣例を破り寺院にヅカヅカ立ち入り騒ぎを拡大した。それに怒った僧兵団が都に押しかけ警備の軍勢(源氏、平氏を問わず!)と衝突したのだ。結局この騒ぎは原因を作った藤原兄弟、僧兵に矢を射かけた重盛配下の幾人かを処分することで収まった、、、と思った矢先に次は大火事だ。都の多くが焼け人死も多くでた。不穏な世の中、人々は夢に比叡山から数千匹の猿が松明を持って駆け下り都を焼く様を見た。この時代、人々は昼はぼんやりと覚め、夜も浅く眠っていた。よってよく幻を見た、と言うより現実のもう一つの姿を見ていたと言った方が良い。

火の不始末で起きたにしても人の間に何か巨大な存在に睨まれている様な感覚が広がる。誰がそれを招いた?天下を動かす平家ではないか?声に出さない思いが積もりだす。

それを大天狗が伺っている。


「天台宗座主が追放だと?」

清盛は言った。法皇が近侍する西光法師の讒言を受けて追放、それにより比叡山が激怒。衆徒、僧兵が前座主となった明雲大僧正を奪還し気勢を上げている、という。

「側仕えの西光は藤原兄弟の親だろう。加賀国での息子たちの失態を山門に被せた、と。」

それを本当に信じたのか?火のないところに煙は立たないと理屈をつけて面倒事を押し付けようとしているのでは?ついそう思った。

大僧正は自分を奪還してくれた衆徒に涙を流して感謝している。しかし彼らに累が及ぶことも心配している。衆徒もではどうするかという展望はない。我の世をかき乱すな!清盛憤怒である。

時子、、、、清盛の妻(二位の尼)

徳子、、、、平徳子、清盛の娘。安徳天皇の母

重盛、、、、平重盛、清盛の嫡男

「日本一の大天狗」は、清盛が後白河法皇をそう評した。

六十六国、、、、旧国は「延喜格式」では六十六国と二島


「禿髪」、「鹿谷」〜「一行阿闍梨之沙汰」

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