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隣の席の美少女転校生の家がダンジョンだった件~謎の世界ランカーが一家揃って隣に越してきました。美少女に懐かれて気付いたらつよつよアイドル探索者って……何で!?~  作者: 八月 猫
第3章 カレンダーズ本格始動

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第67話 オーガvs熊 決着!!

「きゃ!」


 2人の拳の衝突で起こった衝撃波が私を襲ってきた。

 一瞬吹き飛ばされそうになったけど、すぐに阿須奈が私を庇うように前に立ってくれたことで事なきを得ることが出来た。

 拳を合わせたまま睨み合う熊とお父さん。

 全身黄色に赤の胸当ての熊と、短パンにポロシャツ姿のお父さんというシュールな光景だったけど、2人の周囲は互いの放つ闘気のほとばしりで溢れかえっていて、その圧力に耐えきれなくなって砕けた地面の石くれが舞い上がっている。前に漫画でこんなシーン見たことあるな。


 次の瞬間2人の姿が消えたかと思うと、フロアのあちこちから「ガン!」、「ゴン!」、「バキッ!」という鈍い音が聞こえ、波紋の様な衝撃波が四方八方から飛んできた。

 その度に私は右に左にと体を弾かれる。阿須奈も懸命に私を庇おうと動いてくれているけど、波の様に襲ってくる衝撃波の全てを防ぎきることは出来なかった。

 鏡花ちゃん?ああ、ちゃんとお母さんの張った不思議な結界みたいな中にいるよ。

 それ、もう少し大きく出来ないですかね?


「ウオォォォォォ!!」


「ガアァァァァァ!!」


 獣の様な叫び声を上げながら戦い続ける2人。

 ちなみにより獣っぽい声がお父さんだ。

 魔物同士の縄張り争いかな?と思ったのは墓の中まで持っていこうと思う。


「はっはー!!本当に何者だお前!!元の世界にも俺とここまで素手で戦える者など見たことがない!!それも人族の身でなど、この目で見てなお信じられぬわ!!」


「私も喋る熊と殴り合うことになるとは考えたことも無かったね!!」


 相変わらず私の目には映らない程のスピードで戦い続けているにも関わらず、その合間に普通に会話をする余裕すらある2人。

 お父さんも楽しんでない?


「ね、ねえ、阿須奈!今の内に向こう側に行って出られないかな?」


 熊がお父さんと戦っている今なら抜けられるんじゃない?

 そう思った私は、ほとんど影分身のように残像を残しながら私の周りを守ってくれている阿須奈に言った。


「そそれれはは無無理理だだとと思思ううよよ。ああののくくままががここここののボボススななんんだだっったたらら――」


 ああ!あちこちから声が聞こえてきて鬱陶しい!!


「そっか、一回ボス部屋に入ったら、そこのボスを倒すまで出られないんだった……」


「それに、あの人たちを置いていけないでしょ?」


 そう言って阿須奈のお母さんが私たちの入ってきた方の通路に目をやる。

 あ……忘れてた……。

 そこにはフロアに入らないように伝えて待機させていた苑子さんと康平さんが、放心状態で口をあんぐりと開けたままでへたり込んでいた。


「まずは今の内にあの人たちをここに入れないと駄目ね」


「え!?」


 入った瞬間に死んじゃうよ?多分、衝撃波一発で壁にぐしゃ!だよ?


「ちょっとそれは難しいかと……」


 阿須奈とお母さんは手一杯っぽいし、素人の2人にはさすがにこの場所に飛び込ませるのは厳しいと思う。


「でも、そうじゃないと、お父さんがあの熊さんを倒したとしても、二人が入ってきた瞬間にまた出てくることになっちゃうし」


 忘れてた!そうじゃん!また新しい戦闘ってことになるってことじゃんね!

 ウザッ!リポップウザッ!!


「鈴ちゃん、そんな顔しなくても大丈夫よ。阿須奈、少しの間強化を頼める?」


「え?う、うん」


 2人がそんなやり取りを終えると、鏡花ちゃんがとことこっと私のところに移動してきた。

 あれ?鏡花ちゃん、結界なくても大丈夫そうじゃない?


「じゃあ、私が合図したら、阿須奈はあの人たちをここまで連れてきてね」


 お母さんはそう阿須奈に言うと、自身の結界を解除して歩き始めた。

 相変わらず2人の戦闘は続いているんだけど、そんな衝撃波を涼風のように受け流しながら前に出ていく。


拘束バインド


「ぬおっ!」

「うわっ!」


 お母さんが拘束魔法を行使した途端、熊とお父さんが空中に姿を現し、全身を光のロープで雁字搦めにされた状態に降ってきた。


「阿須奈」


「はい!」


 分身していた阿須奈の姿が消えたかと思ったら、すぐに苑子さんと康平さんを両脇に抱えて戻ってきた。2人はとっくに気を失っていたようだ。

 カッコいいんだけど、カッコイイんだけど……何か女の子としては逞しすぎる立ち姿な気がする。


「ぬおぉぉぉ!くそ!解けん!!何だこれは!?」


 芋虫のような体勢でもがく熊。

 その隣では大人しく転がっているお父さん。

 しかし私は見た。さっきはこちらを向いていたのに、お母さんの姿に気付いた瞬間に向こう向きに転がったところを。


「お父さん?」


「……はい」


「楽しそうですね?」


「いや……そんなことは……」


「私、前にも言いましたよね?そのダンジョンの中で遊ぶ癖は直してくださいって?そのせいで腕を無くして泣きべそかいたの忘れたんですか?」


 腕を無くしたんだったら泣きべそくらいかかせてあげて。

 てか、それくらいで済んでる事を褒めてあげて。


「それに私はこれでも怒っているんですよ?あなたがついていながら、お預かりしている大事な鈴ちゃんを危険な目に遭わせて」


「あ、あれは急な事だったんでどうしようも――」


「言い訳は帰ってからゆっくり聞かせてもらいます。ですから、ここは私がやりますね」


「え……。ちょ、ちょっとお母さん!それならこの拘束だけでも外し――」


「おい!夫婦喧嘩してないで、早くこれははず――」


 抗議していた熊とお父さんの声が同時に固まる。

 でしょうね。私はそんな感想しか浮かんでこなかった。

 お母さんの全身を黒いオーラのようなものが包み込んでいる。ここにいてもちびりそうになるくらいの濃厚な魔力のみなぎり。すぐ傍にいる2人が感じているのはこの程度じゃないだろう。


「か、母さん!待って!待って!私も巻き込まれるって!」


「おい!止めろ!動けない相手に攻撃するなど武人のやることではないぞ!」


 そんなことを言いながら体をくねられせ離脱を試みようとしている2人だったけど――


「巻き込むつもりですから問題ありませんし、私は武人ではないので、そちらも関係ありませんよ」


 当のお母さんは2人の命乞いに聞く耳を全くもっていないご様子。


「阿須奈……。あれ、大丈夫なの?」


「……多分、大丈夫なんじゃないかな?」


 多分!?いや、お父さんの命への心配が軽い!


「お母さんこわい……」


 鏡花ちゃんもお母さんの普段とは違う様子に怯えて、私の腰に腕を回して抱き着いてくる。


 あのね鏡花ちゃん。


 今一番怖がってるのは私なのよ……。





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