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隣の席の美少女転校生の家がダンジョンだった件~謎の世界ランカーが一家揃って隣に越してきました。美少女に懐かれて気付いたらつよつよアイドル探索者って……何で!?~  作者: 八月 猫
第3章 カレンダーズ本格始動

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第65話 鈴vs熊 決着!!

「ワハハハハハハ!!」


 起き上がった熊は歓喜の声を上げる。

 そして離れていても感じられるほどの恐ろしい程の気配。あれは魔力?いや、闘気とでも呼ぶようなものか。

 そのあまりの迫力に私の全身が硬直した。

 そしてそれからの戦闘は一方的で、およそ戦いとは呼べるようなものではなかった。


――ガスッ!!

――ドゴッ!!

――バキッ!!


 広場に激しい打撃音が響く。

 その度に私の身体は宙を舞い、地を転がり、全身を激しく地面に打ちつけ続けた。


「――ガッ!――ダアッ!――ガハッ!!」


 体のあちこちに痛みが走る。息が詰まる。目の前の景色がもの凄いスピードで流れていく。

 それでも大きなハンマーのお陰で直撃を受けることなく、何とか致命傷にはなっていないようだ。


「ハッハー!!面白い!面白いぞ娘!何故当たらぬ!どうして受けられるのだ!?」


 笑いながら私をいたぶるように攻め続ける熊。

 どうして受けられるか?

 知らん!!お前がわざとハンマー狙ってるんじゃないのか!?


 何度も何度も身体を地面や壁に打ちつけるが、それでも私はハンマーを持つ手を離すことはなかった。

 これを手放すことは死に直結するのだということは分かっているから。でも、どうしようもないくらいの力差があることも分かっていた。このままだと遅かれ早かれられるのは間違いない。

 どうする?もし私が負けたとして、鏡花ちゃんならこいつを倒して脱出することが出来るだろうか?もしそうならそれでも構わない。でもそうじゃないとしたら……。


「くっ!」


 ハンマーを杖代わりに立ち上がる。

 熊は離れた場所から首を動かしながら私を興味深そうに観察していた。

 今の私に出来ることは、少しでもあの熊にダメージを与えて、鏡花ちゃんの勝率を上げること。

 ハンマーを正面に構えて熊を睨む。

 最初の恐怖はすでに無い。多分体中が痛すぎて恐怖を感じなくなっているんだろう。それか頭のどこかを打って感情が麻痺してしまっているのか。どっちでも良いや。お陰で身体が動くんだから。

 ふうっと大きく息を吐く。

 よし!行くか!!


『俊敏性上昇』


 2度目のスキル発動。

 これは私の限界を超える行使。おそらく身体はもたないだろう。

 でもそんなことは関係ない。どのみち散る命なら、それは誰かの為に使わなきゃ。

 右足を思いっきり踏み込み、一気に駆ける。

 全身に強い風圧を受けながら、それを突き破るように突進する。

 左右の景色が溶ける様に流れていき、熊の巨体が目の前に迫る。

 これが私の出せる最速。

 私自身も初めて体感する速度。

 最後の最後にして私は私の限界を超えることが出来たみたいだ。

 それでも――


 熊には私の動きが見えていた。

 間合いに入った瞬間に、高速で最速の私よりも超速のカウンターの拳が顔面目掛けて突き出された。


――ドガァァァァン!!


 何かが爆発したような凄まじい音が轟く。


「お前!!」


 それは熊の驚愕の叫び。

 粉々に砕け散ったハンマーの破片と一緒に私の身体も宙に舞う。

 その視界に見えたのは、肘の辺りから折れ曲がった熊の右腕。

 そして苦痛に歪む熊の顔。

 ああ、最後に熊の表情の違いが分かるようになったよ。


 私の狙いは最初からカウンターで繰り出されるだろう熊の拳。

 そこにこちらも全力のカウンターを合わせること。

 そして作戦は成功した。

 片手なら鏡花ちゃんの勝率も上がるでしょ?


「見事だ!!」


 熊はそう叫ぶと、指一本動かすことも出来なくなったままで落下する私目掛けて残った左の拳を繰り出した。


 ――ざまあみろ。

 私は少しだけ口元を歪めて笑ってやった。




――ガン!!


「――ツッ!」


 私は受け身も取れないまま仰向けに地面に落ち、後頭部を強かに打ちつけた。

 あれ?生きてる?

 後頭部と全身が痛い。痛いのは生きている証拠だ。


わらべ……お前、何者だ?」


 熊の戸惑ったような声が聞こえる。


「りんお姉ちゃんをいじめたら、くまさんでも怒るよ!」


 え!?鏡花ちゃん!?

 いたたたたっ!首動かすのも痛い!!

 何とか見えた先には、私と熊の間に立つ鏡花ちゃんの姿があった。

 その手には巨大な大鎌デスサイズを持ち、熊の前に仁王立ちしている5歳児。

 全てのサイズの違いに遠近感がバグる。


「きょうか……ちゃん?」


「りんお姉ちゃんをいじめるわるいくまさんはきょうかがおしおきするね」


 普段の鏡花ちゃんの声よりもトーンが低い。

 ちょっとご機嫌斜めの様子。

 いや、お仕置きって。その鎌で?お仕置きの前に死んじゃうよ熊さん。


「えい」


――ゴオォォォン!!


 鏡花ちゃんの可愛らしくも恐ろしい掛け声と同時に振られた大鎌は、目の前にいた熊を横なぎに吹っ飛ばした。

 ええ……あれでも斬れないんだ……。


「ウオォォォォォォ!!」


 直ぐに起き上がると、獣の雄叫びのような声を上げて突進してくる熊。

 斬れないどころか全然元気じゃん!!


――ガン!!


 突進してきた熊は勢いそのままで鏡花ちゃんを殴りつけた――らしい。私には見えん!

 しかしその拳は大鎌によって受け止められていた。


「よもやそのような童の見た目で、中身が化物とは思わなかったぞ!!」


「人のわるぐちはいったらだめ!」


 2メートルを超える熊と、1メートルにも満たない5歳児が、拳と鎌をぶつけ合って睨み合う。

 悪夢かな?


 鏡花ちゃんが鎌を振ると、熊は拳を引いて距離を取る。

 ああ、そっちに行ったら見えないじゃない。

 くそっ!動け私の首!ぐぎぎぎぎ――いだっ!!


「さあこい!童!!全力で我と死合え!!」


 熊が叫ぶ。

 見えなくても分かる。

 さっきまで私と戦っていたのが全然本気じゃなかったんだと思い知らされる程のプレッシャーが伝わってきた。

 あれ?私ここにいたら巻き込まれるんじゃ……。


 しかしそんな私の不安は杞憂に終わることになる。

 鏡花ちゃんと熊の戦いが始まろうとした時――


「鈴ちゃん!!」


 聞こえてきたのは女神の声だった。




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