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隣の席の美少女転校生の家がダンジョンだった件~謎の世界ランカーが一家揃って隣に越してきました。美少女に懐かれて気付いたらつよつよアイドル探索者って……何で!?~  作者: 八月 猫
第3章 カレンダーズ本格始動

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第60話 殺るか殺らないか

 ボス部屋を抜けてからはひたすらに上への出口を目指した。

 幸い?と言うべきか、私たちの迷い込んだ階層は小鳥遊家でいうところの9階程度。普段、阿須奈から借りている武器が無くても今の私には問題ない難度だった。

 それに――


「よいしょー!!」

 潰れるクリスタルもどきスライム(角ばった見た目の柔らかいスライム)


「こらしょー!!」

 吹っ飛んでいくチキンドッグ(飛べない羽のある犬型の魔物)


「どっこいしょー!!」

 拡散して消えていくファイヤースモッグ(炎のような見た目をしているだけの霧)


 鏡花ちゃんから借りたピコピコハンマーがあるし、そもそも鏡花ちゃんがいる以上は何の問題も無く進んでいける。

 とはいえ、主に私が先頭で戦って、鏡花ちゃんは苑子さんと康平さんの守りについてもらっている。

 いくら鏡花ちゃんの方が強いだろうとはいえ、5歳児に代わりに戦ってとは年長者としては言えるはずもないよね。


 そんなこんなで1時間ほど歩いただろうか。

 ふと2人の歩くペースが落ちてきているような気がする。


「2人とも疲れました?」


 私がそう声をかけると、苦笑いのような表情で頷いた。

 足場の悪いところを魔物に怯えながら緊張して歩いて来たんだから、そりゃあ疲れるか。

 ちなみに私は全く疲れていない。鏡花ちゃんもどうしたの?みたいな顔で見ている。


「じゃあ、ここで少し休んでいきましょうか。鏡花ちゃん、お水か何か飲むもの持ってないかな?」


「あるよー」


 元気にお返事をして偉い鏡花ちゃんは、何もない空中からペットボトルに入った水を3本出してくれた。


「わたしはグックルー」


 鏡花ちゃんは小さな容器に入った乳酸菌飲料を出して飲みだす。

 この子にとっては家の中で遊んでいるのと同じ感覚なんだろうなあ……。


「2人は全然疲れてないみたいね……。さすがは探索者……と、不思議な子供ってことなのかしら……」


 苑子さんの中では、鏡花ちゃんは魔法少女とかと同じ分類に仕分けられた模様。

 でもそれは思考からの逃げだからね。

 この世の全てが不思議だねえで解決しちゃうから。


 しかし、もしここが9階だとしたら、このペースだと何日もかかりそうだ。

 小鳥遊ダンジョンだったら何故か下の階へ降りる階段は近くにあるし、六本木ダンジョンとかだと踏襲されている階層には1階まで戻る転送ゾーンが設置されている。

 でもここにはそういったものが見当たらないということは、ここは未発見のダンジョンだと考えられる。

 そもそも私たちに残されている食料や水は鏡花ちゃんの持っている物だけなんだから、そんなに悠長なことをしていられない。

 私か鏡花ちゃんが1人で抜け出して救助を呼びに行くという手段もあるけど、全く道の分からないダンジョンなので不安はある。そもそも出た先がどこなのかも分からない。なのでこれはあくまでも最終手段。

 2人の体力を考えつつ、出来るだけ早く脱出する。

 今はこの方針で進むしかないんだけど……。


 あ、そうだ!

 私はあることを思いついた。


「ちょっと3人はここで待っててもらえますか?」


 3人にそう告げると、私は1人で先へを歩き出した。


「トイレかな?」


 康平さんのそんな声が聞こえたと思った瞬間、ぱちーん!というビンタの音が聞こえた。

 鏡花ちゃんじゃなくて命拾いしたね。



「お待たせしました。――苑子さん、康平さん」


 私は2,3分くらいでみんなのところへ戻ってきた。

 2人にそう声をかけると、何故か怯えたような目で私を見ていた。

 あと、康平さんの左頬には見事な紅葉が。


「鈴ちゃん……それは……」


 苑子さんは私が両手に持っているものを震える手で指さしている。


「ドレッドダック(ドレッドヘアーのような髪型のあひるの魔物)です」


「ぐぇ!ぐぇ!」


「うるさいな」


――ぎゅ。


「ぐぇぇ!!」


 私はドレッドダックの首を鷲掴みにして持って帰ってきた。

 いやあ、ちょうど持ちやすいのがいて良かったー。


「まさか、それを食うのか……」


 信じられないといった表情の康平さん。

 失礼だな!いくら私でも魔物は食べない!


「違いますよ。これを――《《2人に倒して》》もらおうと思って捕まえてきました」


「ふへ?」


 間の抜けた声を漏らす康平さん。

 魔物なんだから倒すのが当然でしょ?

 いや、食べたいっていうなら止めはしないけどさ。


「ちょ、私たちがそいつを倒すってどういうこと?!」


「えっと、パワーレベリング?」


「何故疑問形なの?!」


「お前たち、これ倒す。レベル上がる。疲れなくなる」


「いろいろと不安になるからカタコトで言わないで!」


 私、賢い。


「お2人にも探索者資格を取ってもらおうと思いまして」


「探索者資格?!俺たちが?!」


「いや、それは無理よ!私たちが魔物と戦うとか!!」

「無理無理無理無理無理無理!!」


 全身全霊をかけて拒絶する2人。

 疲れも吹き飛んだようで良かった。


「あ、別にお2人に戦ってもらいたくて言ってるんじゃないですよ。レベルが上がったら体力とかも上がるんで疲れなくなります。そしたらもう少し早く進めるかな?と思いまして」


 私の言葉に顔を見合わせる2人。


「じゃあ、早速()りましょうか」


「え?!いや、私たちはまだやるとも何とも……るって言ってない?」


 否定しないのは肯定の証ですよ?

 さ、殺るならとっとと殺りましょうね。




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