表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の席の美少女転校生の家がダンジョンだった件~謎の世界ランカーが一家揃って隣に越してきました。美少女に懐かれて気付いたらつよつよアイドル探索者って……何で!?~  作者: 八月 猫
第3章 カレンダーズ本格始動

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/67

第54話 とーれとーれ♪ぴーちぴーち♪

「おお~~!!」


 目の前でリアルに動く海賊のロボットに感動している鏡花ちゃん。

 普段ならこんな近くでじっくり見ることが出来ないからね。

 回転しながら進んでいくコースターから見るだけなら、こんなに手間をかけてリアルに作る必要ないと思うんだけどなあ……。


「りんおねえちゃん!見てみて!」


 宝箱の中に入っていた大きな宝石で出来ているネックレスをつけて嬉しそうに私に見せてくる。

 可愛すぎる!!どこの世界からきたお姫様だ!!

 いや、今はそんなことに浮かれている場合ではないのよ。

 私たちの乗って来たコースターが来た方向へ歩いてきたんだけど、そこにあったのは岩の壁。

 レールはそこで完全に途切れていた。

 しかもセットとして作られているアトラクションのはずなのに、いつの間にか周囲の壁も全部固い岩のようなものに変化していた。

 私の身体に感じている感覚からしても、ここは絶対にダンジョンの中で間違いない。

 何故?どうしていきなりダンジョンの中に?

 とにかくここから脱出する方法を探さないといけない。鏡花ちゃんも一緒だし、今は武器も食料もないんだから、こんなところにいつまでもいるわけにはいかないのだ。


「鏡花ちゃん。ちょっと歩くことになるけど良い?」


「ん?いいほぉ」


 何か口をもぐもぐさせながら返事をする鏡花ちゃん。


「あれ?何か食べてるの?」


「ほぉい、りんおふぇえちゃんにほあげる」


 可愛らしくほにょほにょと喋りながら私にチョコクッキーの入った大きな缶を差し出してくる。

 え?こんなのどこに持ってたの?!


「あ、ありがとう……」


 私はその中から一枚クッキーを受け取る。

 どう見ても普通のチョコクッキーだ……。


「食べたくなったらいつでも言ってね!」


 そう笑顔で言うと、鏡花ちゃんの持っていたクッキーの缶はすっと姿を消した……。


「え?!鏡花ちゃんも空間収納使えるの!?」


「うん、使えるよ。お母さんが、食べた後のお菓子とか遊んだ後のおもちゃとかはきちんとお片付けしなさいっていって教えてくれたの」


 それはお部屋の収納ボックスじゃないぞ!?

 そんな理由で五歳児に教えるんじゃない!!


「じゃ、じゃあさ、その中に武器とかって入ってないかなあ?」


 ここがダンジョンの中である以上、魔物が出てきた時に素手では心もとない。

 その魔物だって今の私が対応出来るレベルの相手だとは限らないし、普段は阿須奈の武器あっての私なのだから。


「武器?あすなおねえちゃんが使ってるようなやつ?」


「うん、そうそう。ああいう剣とか刀みたいなの!」


「う~ん、入ってないかなあ。お菓子とかおもちゃは入ってるけど」


「そっかあ……」


 なら、出来るだけ魔物に出会っても戦わずに出口を探すしかない。

 そして鏡花ちゃんだけは何としても守らないと!!


 私がそんな決意をしていた時――


「うわあぁぁぁぁぁ!!助けてー!!」


 そんな男の叫び声が聞こえてきた。


「鏡花ちゃん!!ここから動かないで待っててね!!」


「ん?うん、良いよお」


 その返事を聞いた瞬間、私は通路の奥へと走り出した。




「いやあぁぁぁ!!」


「うわあぁぁぁ!!」


 高速で走った私は、ものの数秒でその悲鳴の主のところへと到着した。

 こちらへ叫びながらレールの上を走ってくる二人の男女。

 体力の限界が近いのか、今にも足がもつれて転びそうに見える。


 そしてその後ろから迫ってきているのは巨大なカニ。

 某カニ料理屋の看板サイズのカニが横走りではなく、正面を向いて走ってきていた。

 気持ち悪っ!!


 それほど動きは速くない。

 あの二人が走っていて追いつかれないくらいの速度だけど、疲れて倒れたらお終い。

 あの巨大なハサミでチョキン!か、掴まれてパクっと食べられるか。

 口がどこにあるか知らんけど。


 女の人が何かに躓いたのか転んだのが見えた。


「ラピスラズリ!!」


 男がそれに気づいて足を止めて叫ぶ。

 って、何?外人さんなの?


「いやあぁぁぁ!!」


 女の人にカニのハサミが迫る。

 まあ、確認は助けてからにしよう。

 とおー。


 私は走ってきた勢いそのままに跳び上がり、天井を蹴り、カニのどてっ腹に蹴りを入れる。


――バキッ!!


 蟹の外骨格が砕ける音がして、カニは回転しながら吹っ飛んでいった。

 蹴った手ごたえ?足ごたえ?からしても、あれなら素手の私でも十分に勝てる魔物だ。

 そう感じた私はトドメを刺すべくカニが転げていった方へとダッシュしたのだが……。


 カニはすでにさっきの一撃で絶命していたようで、その身体がダンジョンに吸収されていくところだった。


 後に残されていたのは大きなカニの足が6本。

 鍋にしたら美味しそうなドロップアイテムをゲットした。

 食料ゲットだぜ!!


「あ、あのお……」


 私がカニの足を抱えてニヤニヤしていると、さっきの女の人が話しかけてきた。

 叫んでいた男の人も一緒だ。


「はい。あ、大丈夫でしたか?」


 ボブで明るめの茶髪に派手目のメイク。

 男の方は、短く刈り上げた髪をソフトモヒカンにしている硬派そうな感じの人。

 私よりは年上だけど、大学生くらいかなあ?

 あ、どこかで見た顔だと思ったら、この人たちは私たちの前に並んでいた人だ。


「あ、はい。助けてくれてありがとうございます……」


「いえいえ、困っている時はお互い様ですから」


 ちょっと使い方違う?

 だってこういう時って他に何て言えばいいのよ。


 でも、さっきラピスラズリって呼ばれてた割には、どう見ても日本人に見えるんだけどなあ。


「あなたは探索者の方ですか?さっきのはどう見ても普通のカニじゃなくて魔物だと思うんですけど……ここってまさかダンジョンなんですか?」


 男の方が震える声でいろいろと聞いてくる。

 まあ、いきなりあんなのに襲われたら怖かったよね。


「私は探索者です。それとここがダンジョンの中なのは間違いないと思います」


「やっぱり……。じゃ、じゃあ!ここから出る方法は分かりますか?!」


「それは……分かりません。私にもここがどこなのか、何故ここにいるのか分からないんです」


「そんな……」


 私の言葉に一気に絶望の淵に立たされて膝から崩れ落ちる2人。

 ああ、そうか。こういう感じに普通はなるんだ。

 ダンジョン慣れしてしまっている私は、普通に出る方法を考えていたけど、もっと怯えるのが普通なんだ。



 ……くそっ!いつの間にこんなに非常識に染まってしまったのか!!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ