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隣の席の美少女転校生の家がダンジョンだった件~謎の世界ランカーが一家揃って隣に越してきました~  作者: 八月 猫
第3章 カレンダーズ本格始動

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第53話 落ちて回って突撃した先は……

 お尻の下からくる振動が、まるで死へのカウントダウンのように感じる。

 視界の先に広がる青空。

 ゆっくりと天国へ向かっていってるみたい……。


「きゃあぁぁぁぁ!!」


 ひいぃぃ!!

 前の組のコースターが落ちていったんだろう悲鳴が聞こえる。

 でも垂直に上がっていっている私には見えない。見えないから余計に恐怖を掻き立てられる。

 ああ、頂上が見えてきた。あそこまで上がったら後は落ちるだけ。地獄の底まで真っ逆さまに落ちていくだけ。私死ぬんだぁ……。


「わあ!高い高い!ねえ!りんおねえちゃん!気持ち良いねえ!!」


「うん!そうだね!!高いって気持ち良いねえ!!」


 今にも吐きそうなほど気持ちが良いよ!!

 助けて―!!


 視界がゆっくりと水平に向かっていく。

 とうとうてっぺんに到着した。――してしまった。

 園内が一望出来るんじゃないかってくらいの見晴らしの良さ。おそらく世界中で私が一番高いところにいるはず!!


 そしてとうとう執行される時がきた!!


「きゃあぁぁぁ!!」

「ぎゃあぁぁぁ!!」


 鏡花ちゃんの絶叫と、私の悲鳴が響き渡る。

 コースターは体感したことがないスピードで落下していく。

 時間にしたら1秒ちょっとのはず。しかし私には永遠に続くかと思われるほどの永い時間。

 その恐怖の時間は頭から被ってきた冷たい水と、落水した衝撃によって終わりを告げた。


「冷たーい!!」


 鏡花ちゃんのはしゃぐ声が聞こえる。

 私は濡れた前髪が目にかかって全く前が見えない。

 とりあえず怖いのは終わったみたいでほっとし――


 ――たところで、再びコースターが加速する。

 何で!?

 風圧で私の髪が後ろへ飛び、ようやく視界が確保された。

 あ……そうだ、忘れてた……。

 そんな私の目に飛び込んできたのは螺旋状に続いているレール。

 このドラム洗濯機が残ってたあぁぁぁ!!


「ぎゃあぁぁぁぁ!!」


 猛スピードで回転しながら進んで行くコースター。

 怖い怖い怖い怖い!!

 ぐるんぐるんと視界が回る。

 遠心力で髪の毛が逆立っていく。

 誰か教えて!!

 このコースター!エンジン無いのに、どうやって加速してたのー!!


 コースターは猛烈に回転しながら海賊の洞窟へ突入していく。

 洞窟内は僅かながらの照明があるけど、こんな状態で何が見えるというのか!!

 止めて!!吐く!!魂出ちゃう!!


「わあ!海賊さんだよ!!」


 鏡花ちゃんは見えるのね……お姉ちゃんはもう駄目だよ……。


 意識を失いかけた時、地震のような強い揺れが襲ってきた。


「――何!?」


――ブブー!!


 警告音のようなブザーが鳴り、私たちの乗っていたコースターはゆっくりと水平の位置で停止した。

 地震?それで非常装置が作動したの?

 すでに揺れは感じない。周りも特に変化はない。

 宝箱に入った財宝を前にして宴をひらいている海賊たちの人形が同じ動きを繰り返していた。


「りんおねえちゃん……」


 鏡花ちゃんが不安そうな顔でこちらを見ている。


「大丈夫。多分、地震で止まっただけだと思う。すぐに館内放送があるか係員の人が来てくれるからね」


 ここから急に動き出すことはないだろう。

 それなら救助を待っていた方が安全だと思う。

 最悪降りて歩いて帰ることも出来なくはないだろう。

 私は鏡花ちゃんの手を握って、救助が来るのを待つことにした。



 待つこと5分。

 何の放送も、誰も迎えに来ることもなかった。

 ネズニ―ランドのような大きなアミューズメントパークで、これはさすがにおかしくないかい?

 後ろの組には阿須奈とお父さんが乗っていたはずなんだから、すぐに係員にそのことを連絡しているはず。

 というか、洞窟内でコースターが止まっていたら、管制室とかで分かりそうなものじゃない?

 救助に来れない理由……。

 外でそれどころではない何かが起こったのか、それとも別の何かの理由があるのか……。


 肩にかかっていた安全バーに手をかけて押してみると、カチカチという音と共に上げることが出来た。


「鏡花ちゃん。お姉ちゃんと一緒に歩いて戻ろうか?今だったら、あの海賊さんたちのところに近づいても怒られないよ?」


「え?本当!?」


 何か嫌な予感がした私は、一刻も早く外の様子を知りたかった。

 鏡花ちゃんの安全バーも外して、自分の腰のシートベルトに手をかけ――


「鏡花ちゃん……」


「なあにおねえちゃん?」


「鏡花ちゃんは……身体に何かおかしなところはないかな?」


「ん?えっと、別にどこも痛くないよ?お家に居る時と一緒!!」


「そっかあ……《《お家に居る時と一緒》》かあ……」


 私は自分の手の中にある千切れた――いや、私が力で引きちぎったシートベルトを見ながら呟いた。

 多分、安全バーも本当なら上がらないはずなのに、私の力に耐えられなくて上がっていったんだね。


「りんおねえちゃんどうしたの?」


「ううん、何でもないよ……。とりあえず降りよっか?」


 私の頭の中は、さっきの落下の恐怖すらもどこへやらの混乱状態になっていた。



 私たち、どうして突然ダンジョンの中にいるの!?




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