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隣の席の美少女転校生の家がダンジョンだった件~謎の世界ランカーが一家揃って隣に越してきました。美少女に懐かれて気付いたらつよつよアイドル探索者って……何で!?~  作者: 八月 猫
第1章 隣の席の転校生は黒髪ロングの超絶美少女

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第2話 転校生は天然?

「……鈴原さん……鈴原さん」


「――へひゃ!ほふぇ!ふぁい!」


 突然、近くから小鳥遊《たかなし》さんに声をかけられて、人生初の変声が喉から出た。

 人間て、こんな音出せるんだ……。


「へひゃ?ほふぇ?ふぁい?」


 あ、出せるんだ。


「あの、教科書見せてもらっても良いかな?」


「え?教科書?」


 私が黒板の方に目をやると、そこにいたはずの立華先生の姿はなく――代わりに、しかめっ面でこちらを睨んでいる、現国の仁王像こと、年齢非公開の東海林《しょうじ》女史がいた。


 あれ?立華先生は?てか、ホームルームは?


「鈴原さん、早く教科書を見せてあげなさい」


「は、はいい!!」


 静かに怒る仁王像。

 触らぬ神に祟りなし…くわばらくわばら……。



 1時限目が終わった休み時間。

 小鳥遊さんの周りに群がるクラスメートたち。

 その人の圧に押されて、私の机が徐々に離されていく。


「――鈴《りん》、鈴《りん》」


 机を必死に抱え込んで抵抗していた私の背後からそんな声が聞こえた。


「あ、すいません。どうぞお通りください」


 私はそう言って席を立つ。


「鈴?何してんの?」


「いや、通行の邪魔だって鳴らされたのかと思って避けた」


「――誰が自転車のベルだ!!違うわよ!あんたを呼んでんの!何で私があんたの椅子の上をわざわざ通り抜けてどこに行くって言うの?」


「変わった人だな?とは思った」


「違う!思うな!」


「冗談よ、冗談。今じゃなくて――前から思ってるから」


「よし、喧嘩だな。買ってやろうじゃないか。表出ろ」


 この喧嘩っ早い女は、同級生の阿比留《あびる》空《そら》。


「あんた、また何か失礼な事考えてるだろ?」


 ソフトボール部で、趣味が筋トレという脳筋女だ。


「絶対に考えてるな?」


「考えてない、ない。で、どうしたの?」


「……まあ、そのうち拳で聞きだすか」


 でも、そんな事も3歩も歩いたら忘れるナイスガールだ。



「どうしたのって、転校生の事に決まってるでしょ!で、何か話したの?」


 この子も転校生に興味津々の様子。


「いや、特に話はしてないよ。さっきまで授業中だったし」


 何か話しかけられた気もするが、全く覚えていない。

 仁王様の授業内容もだ。


 あ、それはいつも通りか。


「なんだ、直接聞くのは難しそうだから、あんたから情報を得ようと思ったのに」


 人が授業中にそんなことをすると思っている時点で脳筋だと思う。


「どうせあんたは授業なんて聞いて無いでしょ?いつも」


 よし!今日から私も筋トレしよう!

 そしていつかその鍛え上げられた腹筋をこの拳でえぐってやる!!

 まあ、言ってることは間違ってはいないけれどもさ。


「じゃあ、何か情報を手に入れたら教えてね」


 そう言って空が離れていったと同時に、2時限目のチャイムが鳴った。



「鈴ちゃん、鈴ちゃん」


 小鳥遊さんが2時限目が終わったと同時に話しかけてきた。


 え!?鈴ちゃん!?

 いきなり名前呼び!?

 てか、何で私の名前知ってんの?


「は、はい!なんでございましょうですか!!」


「ございましょうですか?それって、ここの方言か何か?」


 んなわけない。


「えっと……何で私の名前を?」


「何でって――1時限目の時に教えてくれたじゃない?」


 え?私が?


「それで、名前で呼んでも良い?って聞いたら、ハイって言ったでしょ」


 ええ?私が?


「で、私の事も阿須奈って呼んでねって言ったら、ハイって言ったよ」


 えええ!?私があぁぁぁ!?


「お互いに下の名前で呼び合うんだから、もう私たちは親友よね」


 いや、距離の詰め方がエグイ。


 なんか…急に冷静になったな……。


「鈴ちゃんて、鈴原鈴だから、下から読んでも鈴原鈴だね」


 いえ、読んだら「んりらはずす」ですが。


 あれ?この子って……。


「私は下から読んだら、「奈須阿《なすあ》遊鳥小《しなかた》」だからうらやましい」


 羨ましがるほど惜しくないね。

 そういうのは、もう1文字で回文になるとかの人が羨ましがるもんだよ。

 知らんけど。


 それに自分の名前をその読み方するなら、私の名前が回文じゃないって分かるんじゃない?


 ああ、やっぱりこの子……。


「あ!奈須阿って苗字の人と結婚したら良いんだ!それか養子に行くとか!」


 天然さんだ。


 そして、残念美人さんだ。


「鈴ちゃんの知り合いに、奈須阿さんて人いないかな?」


 この瞬間、私の中の彼女への浮ついた気持ちはどこかへ消えていった。







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