09話.[集まりたかった]
「悪かった」
全部篤希任せにしてしまったことを謝罪した。
「俺は受け入れてもらえただけで十分嬉しいですけどね」
「篤希……」
「それに燃えるじゃないですか、振り向かせるためにチャンスを貰えただけで最高ですよ」
俺と関わってくれている年下は強かった。
俺にも少しぐらいそういう強さがあればもう少しぐらいは変わっていたかもしれないのにと考えてしまうぐらいには。
「なので、先輩さえよければもっと一緒にいてください」
「当たり前だ、それはこれからも変わらないよ」
先程から突っ伏して寝ている虹花に対してもそうだ。
来てくれるということなら相手をさせてもらうつもりでいる。
もちろん、去りたいと言うなら追わないようにするから安心してほしい。
「ふぁぁ……」
「寝不足か？」
「またテストがくるから」
「ああ、俺も頑張らないとな」
無理だとか決めつけていないで上げていく努力をしなければならない。
幸いなのは叩かれているわけではないと知ることができたことだ。
これまでと違ってこっちがそわそわすることもなくなるし、前回と違って虹花を誘いづらいということもないからよっぽどいい。
「今回は虹花ともやれるからいいな」
「前回もやったよ？」
「そのほら、毎回というわけじゃなかったからさ」
「そんなに一緒にやりたいんだ」
珍しく虹花らしくない揶揄するような顔だった。
なんかそういうのも魅力的だなと思っていたら篤希君に邪魔をされてそれ以上見ることができずという展開に終わる。
「篤希君はすぐに嫉妬する」
「違いますよ、先輩から虹花さんを守ってあげようとしているんです」
「でも、私は一正君といられた方が嬉しいよ？」
「それでもです、気をつけなければ狼に食べられてしまいますよ」
篤希君はブーメランを投げるのが得意なようだった。
で、彼女はそれを一切気にせずに「狼さんは篤希君でしょ？」と聞いている。
正直それには笑うのを我慢することはできなくてつねられることになった。
「虹花、あんまり篤希に近づかない方がいいぞ、篤希こそ本物の狼だからな」
「分かった」
同性にも興奮できるんだから大げさや嘘だということではない。
流石に彼女的にはよくないから見せることはしないだろうが、家などのふたりきりになれる場所になったらすぐにがばっとくるから。
「あ、無理なら無理でいいからな？」
「ん？ 大丈夫だよ、帰ってからひとりでやればいいんだし」
「そうか、じゃあよろしくな」
「うん、よろしく」
あんまり迷惑にならない範囲でやっていこうと決めた。
だけど三人に一組みたいな認識になっているからやっぱりこうして集まりたかった。
