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第十四話・ロムア制圧-2

【西暦2042年 9月3日 未明‐‐‐レンツ帝国領ロムア バラント平原】


レンツ帝国の植民地ロムアは、世界最大級の半島であるアドレヌ大陸のベリナ半島、その根本に位置する。


二つの大洋を隔てるベリナ半島は、大陸との接続部が狭く、そこから南進するにつれて肥大化する。そして、半島の中央部には広大な山岳地帯が広がっている。


対してレンツ領ロムアがあるベリナ半島の北部、アドレヌ大陸とベリナ半島をつなぐ接続部では、平坦な地形が広がっているのだ。


直線距離で約4,800kmと、運河を通せる程幅は狭くないが、半島の他の地域と比べて岸同士の距離が近く、ほとんどを平原で構成されるこのロムア地峡では、どんな輸送方法が重宝されているか。


『こちらニンジャ。ペッパー4へ、誘導位置、配置完了。誘導準備完了です。えぇ我が方の位置伝えます、目標鉄道基地の東南東2000メートル地点。えぇグリッド、8810、EGですover』


「ペッパー4よりニンジャへ、えぇ誘導準備完了、了解しました。こちらも目標を確認してます。レーザ照射待ちますover」


詳細は知らされていないが、今回の作戦の参加部隊には「陸もいる」と伝えられていた。恐らく中央特殊作戦軍だろう。前線航空管制資格を持っているのだから、少なくとも通常の国防陸軍部隊では無い。


『こちらニンジャ。レーザ照射、cleardAttack』


前線航空管制から攻撃の許可が下りて、すぐに爆弾の投下にかかる。


「ユーム1、2、cleardAtteck. Fire,ready now. Bomb’s away.」


ペッパー4のユーム1、2ことFU−32B無人戦闘機が2機。


それぞれが腹に抱えるのは、39式1000型爆弾が3発だ。


『‐‐‐5、4、3、2、1。Impact. 』


東西から計5本の鉄道路線が合流する、鉄道基地。付属する施設に敵軍の兵站拠点があるとの、フリト帝政国からの情報であった。


実際に、機関車が引く客車から敵歩兵部隊の下車がするのを確認しているそうだ。


人口1,500人の街から1㎞も離れていない場所であったため、ここだけはレーザー誘導による精密誘導爆撃となった。


真っ暗の空にオレンジ色の光が上り、黒煙が噴出する。連続する計9発の爆発は、恐らく鉄道基地を木っ端みじんに粉砕したことだろう。


『‐‐‐BAD確認。』

__________


夜風になびく草の中、黒い作業服装の集団はひっそり身を潜める。国防陸軍の普通科の編成規則を準用した一個分隊規模、つまり11人の集団だった。


所属は中央特殊作戦軍、水陸機動混成戦闘軍の第2師団隷下、第103水陸空中機動連隊であった。


「5、4、3、2、1。impact.」


分隊の8人で周囲を警戒し、その中心でコントローラーを操作する隊員が2人いる。


今回のレーザー照射では、通常の拳銃型照射装置ではなく、ドローンを使用して遠隔でレーザー照射を行っていた。


「BAD確認。」


レーザー照射を済ませた後、レーザー照射を行ったドローンと、待機していたもう1機で攻撃の評価を行う。


コントローラーは、2本のスティックと数個のボタン。そして中央の液晶画面と、まるで高級なラジコン玩具のコントローラーだ。


真夜中、突然の空爆で混乱の最中にある敵施設にドローンが飛んでいても誰も気づかないだろう。気づかれてもドローンだ。対した被害にはなり得ない。


隊員はスティックを傾けて、たった今爆撃した敵施設にドローンを向かわせる。


40メートルという超低空をゆうゆうと飛び、効果を評価する。


5つの路線、計7本の線路は、そのすべてが爆撃によって寸断されていた。地面はえぐれ盛り上がり、瓦礫が散乱している。


早期の復旧は困難であろう。


駅の乗降設備は全壊。駅舎も付近の倉庫群も、停車していた列車も全てがぐちゃぐちゃに破壊されている。


「目標は機能を完全に喪失と判断。」


レーザー照射による誘導、そして攻撃の評価と任務は遂行した。


後は行きと同じように、セリトリム聖悠連合皇国の”協力国”であるルロード共和国の領土を介して、沖の国防海軍部隊と合流するだけだ。


「では撤収かかれ、ドローンはポイントCにて破棄する。」

__________


【新生歴1948年 9月3日 朝方‐‐‐フリト領エルトラード帝国 西部国境地帯】


「ギュンター軍団長!日本から入電です!テグラ軍港、ルボ基地、そして後方のバラント拠点は壊滅とのことです!!」


急造の掘っ建て小屋で、机にグリッド表示の地図を広げながら煙草をふかす男は、少々不服そうに答える。


「そうか、わかった」


喜々として報告する部下とは対照的だ。


「何かありましたか?」


「いいや何でもない。全軍、すぐに動けるな?」


「はい、命令があれば今すぐにでも。」


フリト帝政国陸軍、西部第7軍の軍団長、ギュンター・U・ルクセンブルクは日本に対していい印象を持ってはいなかった。


「では命じる。現時点をもって第7軍は国境警備の任を破棄、越境しテグラ、ルボに向け前進、これを制圧する」


「了解!」


お久しぶりです。[虎石_こせき]です。


ロムアを占領するのはフリトでした。フリト陸軍の西部第7軍です、ギュンター軍団長再登場!(第二章・第六話参照)


ところでアドレヌ大陸の地図覚えてますか?ロムアの位置すごいですよね~

東にフリト、北にエルテリーゼ(大公国)の残党、南にセリトリムの衛星国、、、(当章・第七話参照)


次から舞台はナマール海です。

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